第18.5話「タメ口コーチング」
式守くんの敬語が矯正されるきっかけはこんな感じでした。
合宿2日目の夕食後ー
朝から続いた長い練習も終わり、ようやく一息つく。
食堂で休憩しながらおしゃべりに興じる部員たち。
「…そういや式守さあ。いい加減敬語止めね?」
「え?」
「そうだよ!もう1カ月以上経つのに…。距離感が縮まらなくて寂しい!」
「みんなタメなんだしさ〜。タメ口の方がケッソクリョク?出るよ〜。」
「いや、おれ同級生の友達いたこと無くて…。タメ口苦手なんですよね…。」
「(どういう学生生活送ってきたんだよコイツ…。泣けてくるぜ…。)じ、じゃあ、あーしたちがタメ口コーチングしてやるよ。合宿中に敬語止められるように矯正しよーぜ。伊都!オメーもだ!気配消して逃げようとしてんじゃねーぞ!」
「(ギクッ!)え、えー…わ、わたしはみんなにタメ口で話してるよ…。」
「うちらにはタメ口だけどさ〜。しゅうくんには敬語だもんね〜。2人まとめて直そうよ〜。」
「う、うん。じゃあ式守くんが大丈夫なら…わたしも敬語やめる…ように努力する…。」
「は、ハイ…。おれも善処します…。」
「かてー。やり直し。『わかった。おれも敬語止める。』だ。」
「ワカッタ。オレモケイゴヤメル。」
「なんか感情が…。下手すぎない?」
「ワカッタ。オレモケイゴヤメル。」
「なんか怖いんだけど〜。」
「(面白いから動画撮っとこう…。)式守くん!もう一回チャレンジしてみて!」
「わかった。おれもけいごやめる。」
「お!ちょっと自然になってきた!いいね!グッと距離感縮まった気がする!」
「い、いや…ちょっと待ってください。そんな急に【I】から【T】に変えるみたいな事…。すぐには無理なんで…。段階的にやらせてもらえませんか…?」
「(なんでも格ゲーに例えるなコイツ…。)まあ一理あるか…。」
「それはそうかも…。わたしもいきなり【T】転向は無理だし…。少しづつ直していこっか!」
「だね〜。」
「あ、ありがとう…ございます。がんばります…。(あぶねー!乗り切った…。)」
合宿2日目…新たな課題が見つかる式守だった…。