ヤスという手下
夜の街はそんな中でも相も変わらず華やかだ。
白洋は道の片隅を歩いた。
別にそいつらが億劫なわけじゃない。
街のにぎわい自体が苦手なのだ。
白洋は一つため息をついた。
以前は酒屋だったコンビニを右に曲がり、左手四件目のビルの三階。
店の名は「ラッシュ」
白洋の店だ。といってもただのラウンジ。
白洋はそこの幽霊部員ならぬ幽霊店長だった。
日本が世界中のスパイの休憩所であるようにラッシュは白洋のための休憩所。
ついでにいうとショボい仕事の受注場所で、店の経営自体はヤスという手下に任せている。
手下のヤスはヤク中で白洋とは真逆。
"シロ"の白洋が殺し屋で、ヤスというその手下が"クロ"。
まったく世の中というのはおもしろいものだ。
その割、仕事はしっかりとこなす。
白洋も白洋でそれ相応の報酬を払う。
白洋からの報酬でクスリをむさぼっているのだろう。
以前、見たことがある。
ヤスが目の色を変えてクスリに溺れているところを。
白洋は黙って見過ごした。
彼がクスリで溺れようが、仕事に支障がなければ問題はない。
いい関係だ。
ヤスは痩せ型の身長一七五ほど。
黒髪のロン毛をいつもポマードでオールバックに固めているが、顔自体が優しいため全く怖くは見えない。
ヤク中を除けばどこにでもいる好青年だ。
人当たりもいい。
小綺麗な階段を上り、重厚感のあるドアを開けた。




