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ある店
志武海は白洋に背を向け、窓から夜の街を見下ろすと「くれぐれも頼んだぞ」とだけ口にした。
白洋はその言葉にいつものように「ああ」と頷くと、深く腰掛けたソファーからゆっくりと立ち上がり、部屋を出た。
無愛想な数人の手下はもういなかった。
やれやれ「用が済んだらさっさと帰れ」か……。
いつもの事だ。
白洋はしばらくその二枚の写真を眺めた。
写真に写った絢を見つめていると何か不思議なものを感じた。
志武海のコントロールタワーを出ると、白洋は繁華街をしばらく歩いた。
人生を諦めたホームレス、発狂しているヤク中、それを無視する事に慣れた一般人。
お世辞にも治安がいいとはいえない。
梅雨の強い湿気で風に吹かれた身体は、若干肌寒くも感じた。
白洋の足はある店へと向かった。




