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冷めたコーヒー
とにかく撃つ。
絢は目を静かに閉じたまま「いいわよ、いつでも」と呟いた。
絢の余裕がまた鼻についた。と同時に白洋は背筋を一瞬、ゾッとさせた。
まるで心の中の隅々まですべて見透かされているかのような感覚に陥った。
「ちっ……」
残念ながらその日、白洋は身を引く事にした。
収穫はあった。
絢が不死身だというとんでもない事実と彼女の性格が知れた。
「また来るの?」
絢が問いかけた。
「知るか!」
そう言葉を吐き捨てると白洋は早々に部屋から出ていった。
カーテンの隙間から朝の光がこぼれ落ち、口をつけられる事のなかったコーヒーは、クラシックの名曲が終わる頃にはすっかり冷めていた。
白洋が部屋を去ってしばらく。
絢はもてなした冷めたコーヒーをキッチンまで運んだ。
どっと疲れた感じがした。
絢は部屋に残った白洋の残像にため息をつきながらベッドに潜り込み、眠りについた。




