戦隊の裏方です。
緑や茶色の忍者服で消音装置付狙撃銃を構えた2人の男が、眼下に見える道で行われている犯罪を眺めていた。
眼下に見える人里離れた山道では、黒ずくめの服装の7〜8人の男たちが街でカージャックしてきた菊池幼稚園の送迎バスを停車させて、乗っていた幼稚園児たちや引率の幼稚園教諭に運転手を縛りあげている。
「まだかぁ?」
緑の忍者服の男がそう言ったとき彼らは現れた。
「「「「「悪党ども神妙にしろ!」」」」」
周囲に声が響き渡る。
突然周りに響いた声に驚きながら黒ずくめの男たちが周りを見渡す。
2人の男が見下ろしてる側とは反対側の土手の上に人影が5つ。
「なんだお前らは?」
黒ずくめの男たちの1人が発した問いかけに、5つの人影のうちの1つが掛け声と共に土手から飛び降りて着地しポーズを決めながら答えた。
「菊花ー赤! 参上」
土手の上の人影は次々と土手から飛び降りポーズを決めながら着地して名乗る。
「菊花ー白! 参上だぁー」
「菊花ー黄色! 参上です」
「菊花ーピンク! 参上よ」
「菊花ー紫! 参上しました」
「「「「「菊池家に仇なす者を成敗する菊池戦隊、キクカー!」」」」」
赤白黄ピンク紫の忍者服を着た男女が1人1人自己紹介してから、声を揃えて戦隊名を名乗った。
黒ずくめの男たちのボスらしき男が他の黒ずくめの男たちに命令する。
「俺たちの邪魔をする奴らをやっちまえー!」
「「「「オウ!」」」」
送迎バスの周りで乱闘が始まった。
赤い忍者服が黒ずくめの男を殴ろうとして空振る。
透かさず緑の忍者服の男が狙撃銃の引き金を引く。
消音装置付狙撃銃の弾倉内の麻酔弾が黒ずくめの男に命中し、撃たれた男は即座に意識を失った。
ピンクの忍者服が黒ずくめの男を蹴る。
だが黒ずくめの男はその弱々しい蹴りを物ともせずにピンクの忍者服に掴みかかろうとするが、茶色の忍者服が放った狙撃銃の麻酔弾で意識を失う。
十数分後、送迎バスの周りには赤白黄色ピンク紫の戦隊に倒された、では無く、麻酔弾で眠らされた黒ずくめ男たちが横たわっている。
菊池戦隊キクカーの面々は、幼稚園児たちや幼稚園教諭らにVサインしてから、縛られている彼らの紐を解いてやる事もせずに笑顔で道の向こうに駆け去っていった。
笑顔で駆け去っていく5人とは逆に、人里離れた山道に縛られたまま取り残された幼稚園児たちや幼稚園教諭らの顔はドンドン暗くなっていく。
「オイオイ、紐くらい解いてやれよ」
「ヒーローに憧れてる、菊池家直系の坊っちゃん嬢ちゃんにそこまで期待するな」
崖上から道に滑り降りてきた2人は、縛られてる幼稚園児たちや幼稚園教諭らの紐を解いてやり、解いた紐で黒ずくめの男たちを縛りあげる。
「ありがとうございます。
あの、あなたたちは?」
「俺たちは菊花の裏方。
だから、警察やマスコミには俺と相棒の事は喋らないでくださいな。
悪党を退治してあんたたちを解放したのは全て、あの赤白黄ピンク紫の5人がやったって事にしといてくださいね。
子供たちにも言いきかせておいてください。
お願いします」