龍神様がいらしたの
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
しっかりと自分の地位を確立しておりました。
そしてお仲間が増えたました。
家の龍神様の話です。
龍神様が家に来た。最初は家族から悪気のない粗末な扱いを受けていたけれど、今では自分の地位を確立して、臺から下界を見下ろしている。
強い神様なのだと思った。他を押し退けてでもその場に君臨する様は、とある方を浮かべた。
とろとろと降り続ける雨は五月の様だった。そして今日もそれは続き、窓硝子に蛞蝓が這ったような後を那由多に残す。全て洗い流してしまえば良い。私の穢れも厄も何もかもを。
「龍神様が居らしてから、雨が多くなりましたね」
「なんだ、不快か? 小娘」
窓硝子越しに緋色の君に向かって声を掛けると、真後ろから声が飛んで来た。言葉全てに濁点が着いた様なエッジボイス。これだけ何方か存じ上げる。
私は窓硝子から視線を逸らして、返事をする。
「いいえ。今までご縁が無かった分、嬉しゅう御座いますよ。飆靡様」
黒のよく跳ねた癖っ毛に、つり目、ギザ歯。その外見に反する事無く、内面も荒々しいその方は、大股で間合いを詰めると、その大きな手で私の髪を掻き乱す。手で竜巻を起こす様に。
動作の一つ一つが荒々しいのは、この方の特徴である。指摘したところで直してなんかくれないし、お前が慣れろ精神で寧ろ執拗に攻めて来る。
「でも……多分……一年きり何だと思います」
辰年に姿をお見せした我が家の龍神様。きっと長く留まる事はせず、時期が来たら颯爽とその場を去る。きっと塵の一つ残す事無く。それはまるで嵐の様に。 その分、御利益もきっと桁違いに強いのだろう。
「暴風なんて、んなもんだろ。互いが互いに刹那的な関係のが良いんだよ」
「そうですね」
御前らしい一言だった。きっとこの一年は激動になるだろう。なんせ家に龍神様が居らしたのだから。
オマケ
「飆靡様、私の高校時代に嵐みたいな授業をする方が居らしてね。ちょっと天気を見ていたら思い出したんですよ」
吹き荒ぶ風と、踊り狂う雨を見ていたら、台風の日に授業をしていた彼を浮かべた。
あの、相手のことを特段考えていないような、早口と、手早い板書。誰も彼もが理解してないあの授業。
「名前が……名前が……あぁ……あはは!!」
「なんだよ。気持ち悪ぃな」
人のベッドの上で横たわると、珍しく眉間に皺を寄せる。
「お名前が『龍』でした。嵐みたいな人でした」
我が家の龍神様が三つに増えてました。
何時の間にか臺から見下ろす様になりました。
他の干支の神様は行方知らずです。
物凄い、飆靡様を浮かべました。
以上です。
あんまり龍と縁がなかったんですよ。
前までは見ないし、聞かないし。
でも最近目に、耳に入る様になりました。
年が明けたら颯爽といなくなってしまいそうなので、大切に時を過ごしたいと思います。