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2(圭太)→3
3(朱理)→16
4(利喜)→5
5(仁)→3
7(達也)→5
8(庄治)→3
10(哲也)→3
11(翼)→16
12(拓也)→3
14(巽)→5
16(翔馬)→3
17(早紀)→3
19(廉)→3
20(美加)→3
朱理さんと翼さんがが翔馬に入れてる…?
達也は、それを見て思った。
完全グレーから吊りたいと達也は思っていたので、そうなると入れる先は仁になるはずだった。
翼は、翔馬に黒を出しているので分かる。
だが、朱理はそれなのに翔馬に入れているのだ。
それが黒いのか白いのか、達也には判断できなかった。
『№3が、追放されます。』
朱理は、さっきあれほど抵抗していたのに、冷静に言った。
「…やっぱり。」と、皆を睨むように見回した。「私は白よ。明日分かるわ…、」
そこまで言った時、本当にスイッチを切ったように、そのまま朱理は目を開いたまま、ガクと力を抜いて椅子にもたれ掛かった。
『№3は追放されました。夜時間に備えてください。』
達也は、言った。
「…完全グレーに入れるのが普通なのに。人外だったら、票を合わせないと吊られるのにどうして朱理ちゃんは翔馬に入れたんだ?」
廉が、朱理の目を閉じてやりながら言った。
「そんなの分からないよ。でも、僕は朱理ちゃんが人外だと思って入れたからね。もしかしたら朱理ちゃんは、覚悟ができたのかもしれないよ?仲間を守るために自分が吊られようって。翔馬に入れてるのも、だからパフォーマンスなのかも。自分が入れてるんだから、黒じゃないよって。」
圭太が、言った。
「それは、翔馬が黒かもしれないってことか?」
廉は、肩をすくめた。
「分からない。でも、たった2票だったでしょ?吊れないって分かってるのに翔馬に入れてるのが臭いんだよなあ。ま、明日にならないと分からないしね。翼さんも入れてるわけだし。拓也に生き残って欲しいけど…圭太に護衛が入るだろうし。まあ、狩人には一応悩んで欲しいってだけ言っておくよ。」
廉は、辺りの数人に目で合図して、朱理を運ぶのを手伝わせ、リビングを出て行った。
残ったのは、圭太、巽、利喜、哲也、達也だった。
巽は、それを見送りながら言った。
「…圭太。君はどこを占うのだ?」
圭太は、答えた。
「オレは、朱理ちゃんの票のこともあるから翔馬か、今夜朱理ちゃんを吊ってしまってるから早紀ちゃんのどちらかを占いたいけど。巽さんは?」
巽は、答えた。
「では、私は仁か廉を占おう。」と、利喜を見た。「そうメモして置いてくれ。圭太は翔馬か早紀さん、私は仁か廉。」
利喜は、頷いた。
「分かりました。」
巽は、頷いてリビングを出て行った。
哲也が、言った。
「利喜。なんで仁さんに入れたんだ?」
利喜は、巽を見送りながら答えた。
「オレは、完全グレーから一人吊っておくべきだと思ったからだ。達也が言う事ももっともなんだよ。なんで狼が巽さんを狐陣営だとあんなにハッキリ判断してるのか分からないから、本来なら巽さんの白というより、圭太のグレーという認識で皆のように朱理ちゃんから吊る判断をするべきだったのかもしれないが、そもそもが狼から見たら、狐だけでなくオレ達村人だって敵なんだ。翼さんから見たら、どっちでも敵だから、追い詰めて縄を使わせようとすると思った。だから、まだ真の可能性だってあると思った。完全グレーで唯一残っていた仁さんを、吊っておいて損はないと思ったんだ。」
哲也は、顔をしかめた。
「確かにそうかもしれないが…。」
達也が、言った。
「翼さんは狼なんだから、もっと疑ってもいいと思うぞ。巽さんのどこが悪いって、ここまで何も無いじゃないか。ただ、みんなが頭が良いって先入観から、怖がってて疑ってるだけだ。そこに付け込まれてるのかもしれないのに。オレは、巽さん真も追うよ。思考ロックして良いはずはないんだ。健斗が背徳者で素直に狐の廉を囲ったのか、それとも廉が狼で偶然囲ってしまっててそれを狼に利用されてるのか、オレには分からない。でも、多分そんな感じなんじゃないか。明日の結果で、またいろいろ分かるだろうさ。」
達也は、巽さん目線だったらもう見えているのにと、プリプリ怒りながらそこを去った。
もう、皆を説得するのはどうしたら良いのか分からなかった。
五日目にもなると、もう達也は淡々と朝の行動を済ませた。
目が覚めて自分が生存している事を確認し、バスルームで顔を洗って用を済ませて、干しておいたパンツの乾き具合を確認する。
乾いていたら取り込んで、たたんでクローゼットにしまった。
そして、淡々と鍵が開いた扉から、廊下へと出た。
全員が、やはり淡々と落ち着いて出て来て、顔を合わせる。
圭太は、哲也の宣言通り無事だった。
「…圭太。」
圭太は、頷いた。
「オレは無事。結果を持ってる。」と、廊下の向こうを見た。「他は?」
昨日、朱理が吊られてこの階は6人だった。
数えてみると、きちんと6人生存していた。
「上だ。」仁が言う。「行こう。」
皆は、黙って頷く。
そして、全員が三階へと上がって行った。
すると、端の方で人が集まっていたので、どうやら護衛成功とはならなかったようだと達也にはわかった。
側の早紀が、振り返って言った。
「…拓也さんなの。今、廉くんと巽さんが中に確認に入ってるわ。」
達也は、頷いた。
すると、中から廉が出て来て言った。
「…拓也は死んだよ。口の中に結果の紙とか無い。どうもゲームが乱れると思ったのか、こじ開けられて持ってかれた感じなんだよね。かおるちゃんの時の事を知ってるから、拓也もやってたんじゃないかな。口がパッカリ開いたままでこれまでの犠牲者とは明らかに違うんだ。」
運営が、ここへ来て細工しているということだ。
巽が、言った。
「そうそう同じ方法が通るとは思っていない。ところで私の結果は、仁が黒だ。」
圭太は、驚いた顔をした。
「え、オレは早紀ちゃん白。」
ということは、早紀は囲われた狐ではない。
早紀も白、村人なのだ。
仁が、言った。
「もしかしたらと思っていたが、巽さん真は無かったか。オレは白だ。狼じゃない。」
巽は、仁を見た。
「そう言うしかないだろうが、私目線ではもう、詰まっているのだよ。」と、見回した。「仁が黒だったので、翼、颯太、仁で3狼。裕太が狂人。狼陣営は、後一人だ。私のグレーは残り廉と翔馬しか居ないので、ここに狐と狼が居て、吊り切って終わり。もちろん、今夜どちらかを占って呪殺か黒を確かめてからにするので、今夜は翼吊り一択だがね。」
翔馬は、言った。
「オレは狼でも狐でもない。やっぱり巽さんが偽だ!って事は、朱理さんが黒だったのか?早紀さんは白だし…。」
仁が、考え込む顔をした。
「…圭太目線ではどうなるんだ。」
利喜が、言った。
「圭太のグレーは今、誰だ?」
圭太は答えた。
「オレのグレーは、仁さん、翔馬、廉だけだ。朱理さんの色が分からないから…巽さんが偽だとしても背徳者でしかないし、巽さんが生きてる限り、朱理さんは狐ではあり得ない。だから、あったとしても狼だろう。とすると、颯太と翼さんが狼だって分かってるから、後2狼。朱理さんが狼だったら後1狼がこの3人の中に居る事になる。だから、巽さんが言ってる事が正解の可能性もあるし、誰かを庇うために仁さんに黒を打った背徳者って事も考えられるんだけど…。庇うとしたら、翔太しかないかな。だって巽さんが偽なら、健斗が真だから廉は白だろ?翔太が狐…ってことか?」
翔太が、言った。
「なんでオレが狐なんだよ。オレは村人。だったら巽さんが真を取れてないって知ってるから、仁さんにわざと黒を打って囲っておいて、他を吊らせようと思ってるんじゃないのか?もし、真を追われたとしても狼だから飼われる事になるし、どうせ他から吊る事になるし。でも、だったらオレ目線黒が居なくなるからなあ…。」と、ハッとした顔をした。「まさか、だけど、巽さん自身が黒って事は無いよな。」
え、と皆が顔を見合わせる。
巽が、面白そうに言った。
「ほう。私と翼が狼ということか?」
苦笑していたが、哲也が言った。
「いや、無いとは言えない。」と、黙っている翼を見た。「おかしいんだよ、真っ向から対立してるっていうのも。健斗が噛まれてしまっているし、呪殺されてないから狐陣営の背徳者だろうって思ってたが、もし黒を見せたくない噛みだったら?そもそも、占い師に2狼出てるなんて誰も考えないじゃないか。最初から、どっちかが生き残ったらいいって考えで両方が出て、対立しながら片方が狼COしたら、片方は残るじゃないか。背徳者だと思わせておいて、村は狐を探して必死にグレー考察をする。だが、そこに狼は居ない。居ても1狼。狐は知らない間に消えてってるのかも。美夢ちゃんだって、そうしたら背徳者とか狐だったって事もあり得るからな。そういう事なんじゃ?」
わざと対立を演出していると。
達也は、翼と巽を見た。
普通ならあり得ない戦法だが、この二人ならやる可能性はある。
どちらかが真を取って、どちらがか犠牲になろうと話し合い、村に向かって盛大に相手を吊り殺そうと議論を交わすのだ。
巽も翼も無表情で、ただ黙っている。
そうなって来るとこれまでの事が全部一から考え直さなければならなくなり、朱理の色が見えないので、余計に分からないのだ。
「…なんか、しっくり来るよなあ。」廉は、考え込む顔をした。「巽さんが真だったら、あまりにもすんなりグレーが詰まり過ぎてる気がするしね。健斗が噛まれてるんだから、やっぱり真だったんだと思うけどな。巽さんの色を見せないためにわざわざ健斗を噛んだとしたら、本当にその通りだと思うから。狐と背徳者、いつの間にか居なくなってるんじゃないの?あと1狐で。美夢さんか、朱理さん辺りが怪しかったからね。背徳者から徐々に居なくなってたら、分からないもの。」
廉目線ではそうなる。
利喜が、頭を抱えた。
「もう、なんかわからない。とにかく後で話し合おう。8時にリビングに。解散だ。」
そこで黙って聞いていた皆が、困惑した顔で去って行く。
達也は、ため息をついた。