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翼が、言った。

「…巽さんは、村を思うように動かす天才だな。」翼は、呆れたような、馬鹿にしたような仕草で言った。「そうやってグレーを占われても吊られても問題ないような発言で村の気持ちを翻弄させて。オレを飼うなら健斗が襲撃されているんだから、村目線でも巽さん吊りが安定なんじゃないのか?オレからしたら、巽さんが狐陣営の可能性が高いから、どうしても吊って置いて欲しいけど。」

利喜が、言った。

「…狼の言う通りにはしない。」と、巽を見た。「巽さんはあって背徳者。まだ真の可能性もある。もし背徳者だったら残りの狐が居なくなれば一緒に消えるから、そんな事に縄を使う必要はない。だったら先に翼さんを吊ってもいいぐらいだ。圭太が占って明日黒が出たら、そこを飼えばいいんだからな。狩人が圭太を守ったと思ってるのかもしれないが、そんな分かりやすい事はしない。偶数なのに狼が、グッジョブを出したくないことぐらい分かってたからな。明日の朝も圭太は生き残って結果を落とせるんだ。だから、今日は圭太目線のグレーから吊る。つまり、仁さん、朱理ちゃん、哲也、翔馬、早紀ちゃん、廉の6人から一人を吊って、一人を占わせる。その方が圭太目線が詰まるからだ。あと6縄ある。余裕だ。」

圭太は、頷いた。

「そうだな。でも…廉は噛まれた健斗の白だし、翔馬は翼さんの黒。そもそも、狼が狐を庇ったらマズい事になるから絶対しないだろうし、そうすると健斗が真だと主張しているのを見ても廉は必然的に白っぽく見えるよね。だから、仁さん、朱理ちゃん、哲也、早紀ちゃんから選ぼうかな。4人に話してもらいたい。」

朱理は、困惑した顔をした。

「…私は巽さんの白なのに?狼がこんなに吊れと推すのはおかしいと思わないの?真だからこそ、吊れってうるさいんじゃないの?」

利喜は、言った。

「健斗を噛んでるんだぞ、翼さんは。それって絶対真占い師だと思っていたからだと思う。教えてくれないけど、何か根拠があるんだと思う。狼目線でしか分からない、ね。もしかしたら、狼に白でも打ってるのかもしれない。巽さんの白先は、達也と朱理ちゃんと早紀ちゃん、健斗だ。知らずに囲っているとしたら、朱理ちゃんと早紀ちゃんしかあり得ない。だから、特に朱理ちゃんと早紀ちゃんから話が聞きたいと思ってたんだよね。」

朱理は、叫んだ。

「私は狼じゃないわ!狼だったら、真っぽい占い師の巽さんの占い指定に入って落ち着いていられないわよ!翼さんが囲ってるわけでもないのに。だったら、黒囲いを考えて私は翔馬さんが怪しいと思うわ!」

早紀が、言った。

「でも、占い指定されたのは二日目でしょ?狼が巽さんを噛んだ次の日なのよ?偽だと知ってる狼なら、怖くなんかないはずよ。偽ならボロが出るわけなんだし、そこをつつけば仮に黒を打たれたとしても回避できるでしょう。狼の仲間が居るんだもの。」

哲也が、頷いた。

「その意見は白いな。というか、裕太を庇うようなことを昨日言ったよな?投票で殺すのはおかしいって。あれ、同じ陣営だから自分と被ったからじゃないのか。自分も吊られる未来が見えて、怖くなってあんなことを言った。結局夜には裕太に投票してたのに。」

仁が、言った。

「とはいえ、思考ロックは良くないぞ。オレも、この中に人外だと言うならそれは確かに朱理ちゃんのような気もして来たが…。圭太のグレーの二人が責めてると、なんか違うのかと思って来るじゃないか。冷静に考えよう。まず、朱理さんが狼なら狼に入れてるのか?颯太の時はどうだった?」

利喜が、パラパラとノートをめくった。

「…19。朱理ちゃんは廉に入れてる。というか、哲也、仁さん、朱理ちゃんは廉。早紀ちゃんだけが颯太に入れてる。」

早紀が、勝ち誇ったように言った。

「ほら!私は狼に入れてるわ!」

「巽さんと同じ票だけどね。」廉が言う。「つまり、早紀ちゃんは狐の可能性は残ってるよね。」

朱理が、言った。

「私をどうしても狼だと思いたいみたいだけど、違うわ!私は村人よ!この中に狼が二人居る可能性があるなら、仁さんと哲也さんが狼で、早紀ちゃんが狐なんじゃないの?!」

哲也が、フンと鼻を鳴らした。

「それはない。」皆が哲也を見る。哲也は続けた。「オレは狩人だ。やっぱり朱理ちゃんが人外なんだ!ということは巽さんが背徳者で、早紀ちゃんが狐なんじゃないのか。」

出るのか。

達也は、息を飲んだ。

確かに、狩人を噛んでいる暇はない。

少なくとも、後二日は。

何しろ霊媒と占いの真が確定したまま残っているし、それを放置できない状況だからだ。

だが、このゲームの中ではかなり勇気のあるCOだっただろう。

誰にも守られることなく、いつ襲撃されるのかわからなくなるからだ。

「…哲也は狩人だ。」利喜は、息をついた。「まあ、もう出ないとな。哲也に任せてたが、グレー詰めになって来てオレもヒヤヒヤしてたから良かった。」

哲也は、言った。

「今夜は絶対に圭太を守る。昨日利喜と考えて、狼は圭太を噛んでは来ないと賭けに出たんだ。結果、賭けに勝った。だからもう一日圭太の結果が見られるんだ。圭太、頼んだぞ。」

圭太は、緊張気味に頷く。

つまり、もう一日寿命は伸びたが、明日には噛まれる可能性が高いということだからだ。

朱理は、言った。

「だったら!私は村人なのよ、だから仁さんと、早紀ちゃんが狐ならきっと翔馬さんが黒なのよ!どうして信じてくれないのよ、私は狼じゃない!」

…感情的になったら、良いことはない。

達也は、必死に否定する朱理を見ながらそう思っていた。


結局、朱理は必死に否定していたが、村の空気は変わらなかった。

言葉ではまだわからないと言いながら、朱理の主張をまともに聞いている村人は居ないように思った。

朱理を吊るなら、巽を偽だと決め打った進行になる。

巽はしかし、健斗に占われても死ななかったので、人外でも狼と対立しているのだから、背徳者になる。

だが、達也は思った。

巽の動きは、背徳者のそれではない。

あれだけ占い指定を最後まで待ち、早紀が狐なら昨日まで囲わず待ったなど、あり得るのだろうか。

巽は何も言わないで、ただ村の議論を聞いているだけだ。

翼も村に情報を落としたくないようで、巽が偽だと言う以外は、一切議論に入って来なかった。

夜の投票前の議論になって、やっと利喜が、言った。

「…それで。巽さんはどう思いますか?」

巽は、答えた。

「私目線ではスッキリしている。なので何も言うことはない。君達も分かっていて議論しているのだろう?哲也が狩人なら、私目線では他は全て人外だ。つまり、仁、翔馬、廉が人外なのだ。健斗が背徳者で廉を囲ったのだろう。つまり、廉が狐で、仁、翔馬が狼なのだ。君達が今夜、吊ろうとしている朱理さんは白だからな。早紀さんが狐だと言うのなら、圭太に今夜占わせたらどうか?色が見えて早紀さんは死なず、必然的に私が言っていることが嘘ではないことが分かるはずだ。」

やっぱり背徳者の動きではない。

達也は、思った。

「…あのさ、まだオレのこと疑ってる?」皆が、達也を見る。達也は続けた。「疑ってるんならと発言控えてたんだけど、オレは人外じゃないよな。圭太の白だしあって白人外、背徳者だ。でも、巽さんが背徳者なら、オレは村人だろ?」

言われて、利喜は頷いた。

「そうだな、達也はやっぱり村人だ。ごめん、疑ってて。で、なんだ?」

達也は、言った。

「オレ、やっぱり巽さんが真の気がする。だって、背徳者の動きじゃないだろ?囲ってない背徳者なんか居るか?今巽さん目線の人外位置を話してもらって思ったけど、朱理さんのことも早紀さんのことも庇ってもいない。占えば良いって言う。だから、なんか今夜朱理さんは違う気がしてて。巽さん目線でも、圭太目線でも人外がある位置を吊っておくべきじゃないか?両方真だった時の事を考えてないだろう。縄が無駄になるのに。」

哲也が、言った。

「でも、いくら縄があるからって仁さんだって初日からしっかり発言してるし、翔馬は翼さんに黒を打たれてるしな。廉は健斗が白打っててその健斗が噛まれてるし。となると人外位置って巽さんの白位置に居るようにしか見えないんだよ。」

達也は、それでも言った。

「でもさ、だったら健斗が背徳者で間違って狼の廉を囲ってしまってて、それで翼さんが健斗が偽だと分かって巽さんを陥れようとしてるって考える事も出来るよね。そうと思わずに廉が囲われてるから、それを利用して廉を守って、自分諸共巽さんを吊らせてしまおうと考えてるとか。」

翼が、顔をしかめた。

「巽さんが真だって?まあ、別にそう思うならそれでもいいが、圭太の命も風前の灯なのに、狐を処理できなくて大丈夫なのか?オレ目線じゃ分かりやすいけどな。巽さんが残っている限り、狐はどこかに居るって見えてるわけだから。まあ、お前達の勝手にすればいいさ。オレは狐っぽい所を潰して行くから、そこへ投票するつもりだがね。」

達也が言い返そうとした時、モニターがパッとついた。

『投票10分前です。』

遂に、4日目の投票の時間がやって来た合図だった。

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