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『投票が終了しました。』
1(かおる)→19
2(圭太)→6
3(朱理)→19
4(利喜)→6
5(仁)→19
6(颯太)→4
7(達也)→6
8(庄治)→19
9(泰裕)→6
10(哲也)→19
11(翼)→19
12(拓也)→19
13(裕太)→19
14(巽)→6
15(健斗)→6
16(翔馬)→6
17(早紀)→6
19(廉)→6
20(美加)→6
…思ったより廉に入れてる人が多い…?
達也は、思った。
ということは、恐らく今の颯太の話に同情し、巽の強硬な姿勢に危機感を覚えた人が多かったということだろう。
だが、一歩及ばなかった。
『No.6は追放されます。』
颯太は、ギュッと目を瞑った。
「…後は頼む!」
そして、すぐにガクッと力を抜いて、椅子の上にダランと倒れた。
「…颯太…。」
両隣りの仁と達也は、椅子から落ちないように颯太を支えた。
声は、言った。
『No.6は追放されました。夜時間に備えてください。』
もはや悲鳴も上がらず、女子達は目に涙をためて下を向いている。
「…運ぼう。」仁が、言った。「手伝ってくれ。」
達也は無言で頷いて、哲也、圭太、泰裕、裕太、拓也が寄って来て、颯太を持ち上げる。
…真だったら。
達也は、険しい顔をしていた。
もし、颯太が真だったら、明日は大変なことになるかもしれない。
場は、重苦しい空気に包まれていた。
7人で颯太さん二階の部屋へと連れて行き、そこに寝かせた。
颯太は、全く身動きもせず当然呼吸もしていなかった。
今回は巽や廉が確認することはなかったが、一目で颯太は死んでしまったのだと分かっていた。
部屋から出ると、下から上がって来た廉が言った。
「圭太は一度下に戻って来て欲しいって。占い先を指定するからって。」
圭太は、頷いた。
「わかった。」
そして、廉についてかけ降りて行く。
仁が、言った。
「オレ達も行くか。誰を指定するのか見ておいた方が良いだろう。」
達也は頷いたが、疲れ切っていて足取りは重い。
哲也が、それに気付いて言った。
「達也、大丈夫か?」と、他の人達に言った。「先に行っててくれ。達也がしんどそうだ。」
拓也、仁、裕太、泰裕は頷いて、降りて行く。
達也は、言った。
「ごめん。なんかさ、体より精神的に疲れちゃって。颯太が真だったなら、悪いことしたなって。実際、廉にも票が集まってたし。」
哲也は、頷いた。
「分かるよ。オレは廉に入れた。颯太があまりに必死だし、それに…利喜も真っぽかった。精査つかないから、勢いで。」
達也は、頷く。
「分かるよ。究極の選択だよな。」
すると、哲也はぐっと達也に寄って来て、小声で言った。
「お前は確白だ。村で唯一の。」
達也は、急に何だろうと若干退きながら頷いた。
「そうだけど。」
哲也は、さらに声を落とした。
「オレ、狩人。」え、と達也が目を丸くすると、哲也は続けた。「先に言っとく。昨日は巽さん守り。霊媒じゃない。」
達也は、目を見開いた。
ということは、巽さんが真…?!
「え、じゃあ真なんじゃ。」
哲也は、首を振った。
「わからない。誰も霊媒護衛を疑ってなかった。明日巽さんが噛まれたら、巽さんは真だ。でも、別の所に噛み変えたら…もしかしたら狐噛みかもしれない。それとも霊媒噛んだら狐だったのかも。」
達也は、そうなると全く推理が変わって来ると、慌てて言った。
「それ、狼目線じゃどうなる?」
哲也は、答えた。
「オレも朝から考えてたんだ。巽さん噛みなら巽さんを狐だと思ったかもしれない。というか、巽さんが狐かもしれないのはオレ達目線でも同じだ。霊媒噛みなら護衛入ってたと思って同じ所を噛むだろうな。で、また護衛成功で、狐だと分かるわけだ。それを危惧して別の霊媒を噛むかもしれないけどな。何しろ、結果が確定したらヤバいし。どちらにしろ、オレと狼の勝負だよ。」
達也は、ただただ呆然とした。
じゃあ…どうしたら良いんだろう。
「…それ、オレがみんなに話す?」
哲也は、顔をしかめた。
「どうするかな。どう思う?狼に情報渡すのもなって思ってて。今夜は止めておこう。明日からはまた考えないか。」
また考えるのか。
達也は、知ってしまった事実に頭が混乱した。
…巽は昨日、自分が噛まれるかもと言っていた。だが、生き残った。仮に噛まれていたとしても、哲也が守っていたのだから死ぬことはなかった。
狐であったら、そもそも襲撃は通らない。
霊媒噛みなら、霊媒に護衛は入っていなかったのだから、霊媒に狐が出ているということだ。
だが、狼目線からはそれが護衛成功なのか、狐噛みなのか分かっていない。
今夜は絶対に霊媒を噛むだろう。
そうしないと、颯太の完全な結果が村に落ちることになるからだ。
占い師の人外が、透けて見えることになるのだ。
昨日霊媒を噛めなくても、今夜噛めたら狼は破綻しないので、確かに昨日は占い師の真っぽい所を噛む可能性はあった…。
達也は、大混乱の頭の中で、必死に考えていた。
そんな中でリビングへと入って行くと、皆がまた椅子に座って話していた。
「じゃあ、翼さんは仁さんと翔馬?」圭太が言っている。「オレは初日から言ってるように、泰裕を指定先に入れて、確白作りたい時は朱理さんにするからその二人にしたいな。」
すると、健斗が言った。
「オレも泰裕は寡黙位置だし占いたいと思ってたんだ。圭太は確白作って欲しいから朱理さん一択にしたら?」
圭太は、首を振った。
「別に他にって今思い付かないし、初志貫徹したいんだよ。健斗は別の人にしてくれないかな。」
哲也が、達也と共に椅子に座りながら言った。
「じゃあ、翼さんは仁さんと翔馬にしたのか?それはなぜ?」
翼は答えた。
「仁さんの色は初日から気になってたし、翔馬も疑われていた位置だからどっちか迷ってるところなんだよ。だから指定した。」
哲也は、頷く。
巽が言った。
「圭太は初日から泰裕を気にしていたんだからここは指定させてやれば良いだろう。健斗は、他に誰かないのか?ならば私が先に指定しても?」
健斗は、急いで言った。
「でも…じゃあ、美加さんと、哲也にするかな。ホントに圭太は確白作る気はないのか?村目線で有利になるのに。」
圭太は、ため息をついた。
「まだわからない。そんなに確白にこだわるなら、考えるよ。」
健斗はあくまでも確定白を作ることにこだわるようだ。
巽が、言った。
「残った所を私が占うのか…では、私は早紀さんと庄治にしよう。私は確定白にこだわらないので、恐らく早紀さんを占うとだけ言っておくよ。」
早紀は、ホッとした顔をした。
「…巽さんが真なら、私に白しか出ないから良かった。黒だったら、私目線で偽が確定するしね。」
「白だからといって、巽さんが真とは限らないだろうが。」翼が言う。「呪殺が出たら信じられるから、オレはそれを祈っているがな。」
それぞれに考えがあるのだ。
早紀は初日に疑われていた位置だし、確かに呪殺も黒も出そうな位置だったが、早紀の表情を見る限り、特に構えている様子もないし、狐ではなさそうだ。
仮に巽が狼であったとしても、早紀を噛んで呪殺を装うことも今夜はできないだろう。
何しろ、霊媒が三人共に残っていて、このままでは明日の結果が確定してしまうからだ。
狼は、間違いなく襲撃を入れるのは、霊媒師だと思われた。
とはいえ、黒打ち合戦のようになっている翼と健斗の二人を見ていると、どちらかが狼陣営で、巽はあっても狐ではないかと思われた。
真であって欲しい、というのは、達也の希望でしかないのだ。
達也がため息をついていると、巽が言った。
「…どうした?何か気になることでも?」
達也は、目ざとい巽に、ハッとして首を振った。
「あ、いやこれで呪殺が出るんだろうかって。早いとこ真占い師を一人でも確定させたいから。」
圭太が、言った。
「そうだよな。村人から見たらそうなるよ。オレは自分の真を知ってるけど。」
圭太は信じられる気がするんだけどなあ。
達也は、哲也の横顔をチラと見た。
今夜は、哲也の守り先が重要だった。
だが、ここに居る誰も、哲也が狩人だと知らないのだ。
達也は、知った事実に確白の重さを感じていた。