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「まず、僕目線じゃ絶対に翼さんは偽物だから、翼さんの偽要素を言うね。」廉は、翼を睨んだ。「そもそも昨日からおかしかったんだよね。僕を攻撃するってことは、健斗が偽だとあの時点で思ってたわけだろ?なのに健斗の事は何も言わなかったばかりか、圭太の事を狂人か背徳者だとか言ってた。それなのに、今日は、巽さんがもしかしたら狐?ってどういうこと?あれから圭太の結果で何か真が上がるような事があったっけ?圭太は巽さんの白の達也を占って白だったよ?それは、つまり巽さんは偽だとしても囲ってなかったって事だよね?思考が変わった理由を、何も言ってないじゃないか。別にね、昨日と今日の意見が変わってても良いんだよ。でも、明確な理由もないのに変わってるのはおかしい。今日、翼さん目線じゃ健斗が偽だと確定したわけだけど、圭太が白人外から相方の真占い師に昇格したのはどうしてなの?おかしいよねえ。なんか、村人にはない情報を持ってる人外なんじゃないかって思うよねえ。僕目線じゃ、まだ健斗の真贋は分からないよ。っていうのも、僕は確かに白だけど、人外が囲わず白を出してただけって事もあるからね。だから僕から見て、まだ翼さん以外の三人のうち、どの二人が真占い師なのかは分かってない。颯太を吊って、もし黒だったら限りなく健斗が真なんだろうなって思うだけ。それから、」と、一人一人指を差した。「僕から見たら、昨日の投票翼さんと同じ、美夢ちゃんに入れてる人って一気に怪しく見てるよ。僕目線じゃ翼さんは人外、多分だけど狼陣営の方だと思うから、結果として美夢ちゃんが確白だった今、間違いなくこの中に狼が集中してると思うな。これって翔馬を庇おうとしてるように見えてるんだ。昨日翼さんが翔馬をそこまで黒いと思わないと発言している事から、僕は翔馬に入れた。村の投票が真っ二つに割れてるし。グレーで狼だと思ってる位置はだからとりあえず、翔馬。で、仲間が颯太、翼さん。もう一人はまだ分からない。狐も全く分からないな。とりあえず以上。」
言われてみたら、翼さんって翔馬を怪しく感じないって言ってたっけ。
達也は、記憶を掘り起こして考えた。
圭太は、発言を頑張ってる人が頑張らねばならない理由があると感じて黒いかなと言っていたが、翼は確か、意見が伸びていない位置を黒いと思うと言っていた。
どちらかと言うと達也も翼の考えの方なので、それは分かる。
だが、翔馬は確かにグレーの中のグレーという感じで、怪しくないとは言えなかったはずだ。
現に、達也は結果的に悩んだが、美夢ではなく翔馬に入れた。
今日ももし、縄に余裕があったらグレー吊りで、争っていたのだから美夢の対抗の翔馬に投票していただろう。
美夢が黒だったらこの限りではないが、美夢は白だったのだ。
「…なんかわかる。」
達也は、ついポツリと口にした。
隣りの庄治が、頷いた。
「だな。美夢ちゃん白だったもんな。それを吊るし上げたわけだし、今日もグレーだったらオレは翔馬に入れてたよ。」
達也は、頷いた。
「オレも。」
それを聞いた、翔馬が言った。
「そんなの、オレに分かるわけないじゃないか。謂れのない疑いを掛けられたんだぞ?美夢ちゃんは発言も薄かったし、白だっていってももしかしたら狐だったかもしれないじゃないか。それなのに、どうして今日もオレが怪しまれるんだ。」
哲也が、言った。
「縄に余裕があったらオレだって翔馬に入れてるよ。いや待て。」翔馬が言い返そうとしたので、哲也は続けた。「考えてもみろ。美夢ちゃんが黒だったら考えたよ。でも、美夢ちゃんは白だった。仮に狐だったとしても、お前が黒の可能性はオレ達目線じゃ充分あるんだ。狼と狐の争いもあり得るだろ?だから、白だったんだからお前は引き続き怪しまれる位置なんだ。心配しなくても、今日はお前吊りにはならない。お前まで白だったらまずいし、ここは黒が出たところどっちか吊って、明日結果見て占い師の審議ってなるだろう。その間に、占われてお前もグレーじゃなくなるだろうよ。」
翔馬は、黙り込む。
颯太が言った。
「翔馬は関係ないんだから邪魔しないでくれよ。次はオレが話すぞ。」と、廉を睨んだ。「好き勝手言ってくれたけど、オレは猫又。潜伏してたのは健斗の占い先に入ったから、黒を出すんじゃないかって引っ掛けてやろうと思ったからだ。だが、利喜が出て来て狼の間では、もし役職が出て来たら対抗COするって決めてたんじゃないかって思う。狐は数が少ないからこんなことはできないだろうから、絶対利喜は狼だ。まあ狂人かもしれないけど、そうなると霊媒はどうなんだってなるから今は追わない。それから、健斗はオレ目線じゃ当然偽だよ。だから狼だろう。狐でこんな目立って黒打ちなんかして来ないと思うし。初日から廉を囲っていて、相互占いとか言って白目を稼ごうとして、真占い師の翼さんに占われて黒が出たんだ。昨日、こうなった時の保険もかけてたよな?覚えてるだろう、翼さんが指摘していたんだ。だから、今日はオレに黒を出すしかなかったんだよ。廉に黒が出るのを知っていたから。そうしたら、芋づる式に吊られてしまうし、廉が吊られたくなくて必死になるのも分かるけど、残念ながらオレは真猫又だ。オレ目線じゃ、廉、健斗、利喜は狼だろう。あと一人は分からないよ。」
朱理が、言った。
「ええっと、割り込んでごめんね。聞きたいんだけど、でも健斗さんと利喜さんは美夢ちゃんに入れてて、廉さんは翔馬さんだけど?同じ陣営で連携取れてないの?」
颯太は、答えた。
「うーん、確かに投票見たら違うけど、つまり両方白って事なんじゃないか?オレから見たら、狼からしたらどっちでも良かったから票がばらけているように見えるかな。白同士で言い合ってたんじゃないか。」
早紀が言う。
「…昨日の時点では、美夢ちゃんも翔馬さんもどっちも色は分かっていなかったし…あれは村同士で争っていたのなら、私と美加ちゃんの事は颯太さん目線どう映ってるの?昨日9人居たグレーも、今朝朱理ちゃんが巽さんに占われて白、利喜さんが猫又COだから、残りは6人なのよ。仁さん、泰裕さん、哲也さん、翔馬さん、美加ちゃん、私。私と美加ちゃんは、結局白だった美夢ちゃんに入れてしまってる。狐だったの?…翔馬さんが美夢ちゃんを攻撃してたのは確かだし、私も庄治さんや達也さん、哲也さんと同じで縄に余裕があったら今日は翔馬さんだったかな。颯太さんは、どう思ったの?その挙げた三人の他に、翔馬さんだとは思わないってこと?」
颯太は、答えた。
「オレからしたら廉が黒だから、その廉が怪しんでる翔馬は白だと思うのが当然じゃないか?」
廉が、言った。
「それがおかしいんだよね。どんだけ妄信してるんだよ、たかが白を打たれたぐらいで。」颯太が、廉を睨む。廉は涼しい顔で続けた。「君目線では、まだ翼さんが人外の可能性もあるんだよね。君目線で確定してるのは、健斗が偽だってことだけさ。僕がさっきせっかく先に言ってあげたのに、何も聞いてなかったの?僕は確かに言ったよ、僕目線ではまだ健斗が真だとは分からないけど、翼さんは偽だって。君目線では、どうしてオレが黒なの?オレ達両方共、白で人外の争いに巻き込まれてる可能性だってあるんだよ?だから僕は、とりあえずって前置きしてから黒位置言ったはずなんだけどな。颯太には、別の何かが見えてるの?」
颯太は、顔色を変えた。
廉は、にんまりと笑っている。
廉からしたら、颯太の視点漏れを楽しんでいるようだった。
その余裕のある様が、何やら白く村人達には見えた。
「…とにかく、一旦冷静になろう。」仁が、割り込んだ。「もう結構話してる。これ以上やり合ったらまた言い争いでしかなくなって聞いてるこっちが疲れて来るんだ。一旦休憩を挟もう。で、皆は廉と颯太のどちらかでいいんだな?意義はあるか?」
誰も、口を開かない。
今日は、この二人のランで良いということだ。
「…じゃあ、夕方からまた話し合おう。この二人の弁明を聞いて、皆が思うことを話し合うんだ。で、何時にするかな。」
巽が、言った。
「20時から投票なので、遅くとも19時には集まらねばしっかり話し合えないのではないか?夕食の事もあるし、それまでに各自言いたい事はしっかりまとめて来てくれ。個々人で聞きたいことがあったら聞き合わせて分かりやすいように要約して伝えてくれると助かる。こちらは、無駄な時間を使いたくないのでね。」
全員が、先生に宿題を出された気持ちになって、ただ神妙に頷いた。
そうして、二日目の朝の議論は終わったのだった。




