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圭太と一緒に利喜とも合流した後、少し話してから、冷凍食品で昼食を済ませた達也は、またあの椅子へと座っていた。

大概頭が疲れて来ていたが、まだ初日だ。

これが数日続くのかとめげそうになったが、人数が多すぎる上、まだ情報が少ないからだと自分を鼓舞して、達也は黙ってホワイトボードを見つめていた。

巽の名前の横に、達也○と書いてあるのが心強い。

少なくとも、今夜は吊り位置には入らないという証だからだ。

全員揃ったのを見て、仁が言った。

「…とりあえず、さっき吊り位置に上がっていたのは翔馬、早紀ちゃん、美夢ちゃん、美加ちゃんだったな。その四人の話を聞こうか。それともフリーで話した方がいいか?」

翔馬が言った。

「別に割り込んでくれてもいいけど、先に話したい!いいかな?」

仁は頷く。

「じゃあ、話したらいい。時間はあるし。」

廉が言った。

「でも時間制限しようよ!でないとまた疲れちゃう。せめて15時までにして。次は投票時間前にまた集まったらいいでしょ?僕、疲れやすいんだよー。」

仁は、皆を見回した。

「ええっと、どうする?みんな良いか?」

かおるが、頷いた。

「良いと思います。確かにあんまり長時間だと疲れちゃうし。」

さっきがさっきだったしな。

達也も、もう疲れて来ていたのでその提案はありがたかった。

「じゃあ、長くなっても15時まで。ってことで、翔馬の話を聞こうか。」

翔馬は、頷いた。

「オレはまだ役職の内訳は全くわからないから、グレーは一人一人の人の発言を思い起こして行ったんだけど、やっぱりここが怪しい!ってところはなかったんだよね。早紀ちゃんがオレに突っ掛かって来るまでは、仁さんの把握漏れぐらいしか叩ける場所もないぐらいに。でも、それだって叩ける場所がないからってだけの雑殴りだと思ってる。明確におかしな殴り方をしたのは、早紀ちゃんが初め。で、あの時は頭に血が上っちゃって…つい、殴られたら殴り返すみたいになったけど、よく考えたらめっちゃ目立つ行為だろ?どっか黒くしないとまずい人外かと思ったんだけど、早紀ちゃんは素直にそう思ったから言っただけかもしれない。」

意外な発言に、隣りで険しい顔をしていた早紀が、え、と驚いた顔をした。

「…あなた、私が黒いって思ってるんじゃないの?」

翔馬は、渋々といった感じで頷いた。

「よく考えたらおかしいんだよ、適当に同じように仁さんを怪しいとか言っておけばいいような空気だったじゃないか。なのに、いきなりあんな目立つことして。それは間違ってるとは思うし、今でもただのこじつけの黒塗りだと思ってるよ?でも、君はそれで矢面に立つことになる。だから人外ならおかしいんだよね。落ち着いて考えたら、そのおかしな意見に便乗して吊るとまで言った人の方が怪しいと思ったんだ。だから、美夢ちゃん。次に美加ちゃん。オレの中ではその二人に絞られた感じ。もちろん、元凶の意見を出した早紀ちゃんはオレから見て心象悪いけど、だからこそその意見にノリノリだった二人は怪しいと思う。」

確かに、早紀までは意見がそう、強いものではなかった。

だが、いきなり早紀から意見が極端になった。

なので早紀が矢面に立ったのは事実で、人外ならそんなことをしてわざわざ吊り位置に入りに行くだろうか、というのだ。

それよりこれ幸いとそれを煽った後の二人の方がより人外っぽいと言うのだろう。

早紀は、考え込む顔をした。

「…まさか翔馬さんからそんな意見が出るとは思わなかったわ。言われてみたらそうかも。美加ちゃんが無理やり私と美夢ちゃんのラインを繋げようとしたのも怪しいし、自分が責められてるのに、まるで私が責められてるかのように庇うような事を言って、論点をすり替えようとした美夢ちゃんも怪しい。翔馬さんは思ったよりしっかり考えてるから、今私の中では一気に白く見えて来たわ。」

美加が言った。

「私は美夢ちゃんとあなたを怪しんでいたのよ?それは美夢ちゃんがあなたを庇うような事を言ったからよ。私は最初、美夢ちゃんを怪しんでいたのに、勝手に美夢ちゃんがあなたの名前を出したから、おかしいって言っただけよ。あれを聞いたらラインがあるんじゃないかと思うじゃないの。」

早紀は言った。

「確かにそれはそうかもしれない。でも私は美夢ちゃんに入れられるって言ったわよね?あなたは今はどう思ってるの?」

美加は、ため息をついた。

「…正直、翔馬さんはまだ、曖昧だった事実は頭の中に残ってて怪しいとは思うわ。それを指摘した早紀ちゃんは、直後は白いと思ったのも事実。でも今のを聞いたら、翔馬さんより美夢ちゃんよ。」と、美夢を見た。「あなたはどうなの?誰が怪しいと思う?」

美夢は、顔を赤くしながら答えた。

「私は、今の翔馬さんの意見は全然白くないと思うわ!早紀ちゃんにすり寄って、私と美加ちゃんに絞ることで票がバラけて万が一でも自分が吊られるのを回避したい人外に見えてる。私は村人よ。その私を吊ろうと思って、絞って来てるのよ。私にはそう見えるわ!昨日の発言は、私は早紀ちゃんを批判してるんだと勘違いしただけよ。同じ意見だったから、早紀ちゃんは白いと思っていたから、美加ちゃんが黒いと思ってああ言っただけ。それをこじつけられて、ラインがなんだと言い出したのはあなたよ?あなたも勘違いだったの。私は、相変わらず翔馬さんだと思うわ。票回収しているのが何よりの証拠よ!」

それぞれの視点で意見がある。

達也は、誰を信じたら良いのか分からなかった。

翔馬の意見には驚いたが、票回収していると言われたらそうなのだ。

そうも見える。

何しろ、女子達は仲違いしているとは言っても、かおるや朱理が仲立ちして和解する可能性はあった。

そうなると、一気に票は翔馬に集中する。

それを避けるためちに、早紀を取り込もうとしているようにも見えて来た。

助けを求めてチラと巽を見たが、巽は興味もなさげに宙を見ながら何かを考えているようだった。

話をしっかり聞いているのかも疑問だった。

…確かにグレーが減ったら良いぐらいにしか思ってないんだろうけどさあ…。

達也は、ハアとため息をついた。

皆が真剣に悩んでいる中で、廉も退屈そうに着ているパーカーの紐をくるくる回してそれを見ている。

いくら白先でも、ちょっとは考えてくれよ。

達也は腹が立って来た。

「…とりあえず、投票先は四人固定で。その方があちこちバラけないで良いから。その上で、残った人はまた、明日の議論で頑張ってもらって、その他のグレーから、巽さんが言うように二人目の指定先を先に決めておかないか。」

達也がいきなりそんなことを言い出したので、皆が達也を見た。

「…今か?」

仁が言う。

達也は、頷いた。

「今。吊られないからって考えるを止めてたりしてたらダメだしね。先に指定しておこう。指定された人は、占われたくなければ頑張るだろうし、どうでも良ければ適当だろ?情報が落ちるから、占い師も対抗の白先か、グレーか選ぶ時に選びやすくなるから。」

巽は、頷いた。

「確かに情報が先に落ちるのは助かるがね。では、他の占い師に譲ろう。グレーから、誰か指定するがいい。白先の希望は聞いた。さあ、理由と共にどこを占いたいのか言ってはくれないか。」

巽は、さっきのボーっとした目ではなく、途端に興味深い目で皆を見回す。

圭太が、言った。

「…じゃあ、オレはさっきも言ったように泰裕にするかな。つまり、オレは達也と泰裕の二人を指定する。」

さっき言っていたのは、頑張っていると怪しく思うから、白なら良いなという考えだ。

翼が言った。

「じゃあ、オレは…そうだな、皆が怪しんでいたから、仁さんにするか。本当なら翔馬が残ったら翔馬にしようかと思っていたんだ。村が色を知りたい位置を占うのが一番だと思うからね。オレは、廉と仁さんだ。」

健斗が言った。

「オレは白先なら颯太。グレーは今夜は占うつもりはないけどね。利喜にするかな。最初の発言位置だし、仁さんの色がどうであれ、最初に庇うような事を言ってたし。」

巽は、じっと聞いていたが、頷いた。

「…そうか。では、私は哲也か朱理さんしか残っていないし、では朱理さんにしよう。黒いとは思っていないが、哲也は白く見えているからな。今は。」

つまり巽は、庄治と朱理だ。

…どちらを占うのだろう。

達也は、思っていた。

この中に人外が居たら、かなりプレッシャーなはずだった。

チラと朱理を見たが、朱理は特に構える様子もなかった。

…白かなあ。

達也は、思った。

できたら巽には怪しい位置を占ってもらいたいのだが、巽にその気がないのでそうも行かなかった。

議論は、まだ続いた。

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