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「オレは今のところ、自分の白先の庄治以外は全くわからない。信じたいけど、信じられない感じなんだ。」圭太は言った。「なんか、懐疑的になっちゃって。達也は白いよ?でも、なんか巽さんがあまりにも真っぽすぎて、頭の良い人なんだろうなって思ってるから、騙されてたらと思ってしまうんだ。巽さんがグレー吊りか霊媒吊りか村がしっかり考えろと言ったのも、もしかしたら囲ってて村の印象を良くするために言ってるかなとか思ったり。だから、相互占いならオレは達也を占いたいかな。囲ってないんだと知りたいし、拓也が言うように早く相方を知りたいんだよね。それが巽さんならそれ以上のことはないなって思うから、確信が欲しくて。だから、できたら狐っぽい所は巽さんに占ってもらって早いところ呪殺を出してくれないかなって思ってる。もちろんオレも呪殺は出したいから、次の狐っぽい所はオレに占わせて欲しいけど。そしたらオレが真だって分かってもらえるし。でも、今はオレより意見が伸びそうな巽さんの真確が村にとって最優先だと思ってる。違ったら…オレ頑張るけど、勝てるかなあって相方に頼るしかないけど。」
仁が、苦笑した。
「あのな、分かるけど他は?グレーとかのことを話さないと。」
圭太は、あ、と慌てて言った。
「今から話す。時間制限ないからゆっくりしてた。ええっと、グレーはだから、誰の意見を聞いても懐疑的に聞いてしまって。だからかな、意見の薄い人は逆に何も見えてないのかなって白く見えるんだよね。いっぱい話す人は村の心象は良いんだろうけど、その分こじつけてるみたいに見えるんだ。占いたい人って、今は今も言ったように達也だけど、グレーならあの位置で役職にも言及した泰裕かな。頑張ってるから白いというのは間違いだと思うんだ。頑張らなきゃならない意味がありそうな気もしてしまって。だから吊るのとは違うかな。占って白が出たら良いなって、そんな感じ。オレは頑張ってる人を占って、白にして行きたいかな。みんなが言うほど、だから翔馬も美夢ちゃんも怪しく思ってないよ。強いて言うなら、直後に翔馬を攻撃した早紀ちゃんは黒位置作らなきゃならない人外なのかなあって思ったかな。以上です。」
圭太はそんな感性か。
長々と聞いて、達也は思った。
感じ方は人それぞれなので、達也はまだ、圭太が真なのか人外なのか分からなかった。
翼が言った。
「次はオレだな。オレは文句なしに廉が怪しい。明日への布石を打ってるように思えてならないからだ。真のオレと、オレの白先の颯太を攻撃してるのも解せないしな。でも、グレー吊りなんだろう。となると、オレは圭太とは違って発言が薄い所が怪しく見えている。だから占うのなら今夜は廉だが、明日は美夢ちゃんか翔馬かな。今夜と明日でこの二人が吊られなかったらだけどね。もう一度発言聞いて意見は変わるかもしれない。占い師の相方は誰だか全くわからない。圭太は消極的過ぎてもしかしたら狼ではなく狂人なのか?と思ったりしている。もしくは背徳者なのか。主人の代わりに出てるからどこかに黒を打つのを怖がってるように見えるんだよな。巽さんなら良いなというのは同じ意見だが、オレが真だから圭太と巽さんが両方真はあり得ないとだけ言っておく。以上だ。」
白を打ちたい圭太は狂人か背徳者と。
そう言われたらそうなのだが、どうだろう。
達也は、あれこれ意見を聞いて分からなくなって来た。
すると、巽が言った。
「…では、私か。」と、健斗を見た。「それとも先に話したいか?反論したいのでは?」
健斗は、え、という顔をしたが、廉を怪しむ翼は健斗にとっても偽物に限りなく見えるはずだ。
健斗は、頷いた。
「じゃあ先に話します。」と、皆を見た。「オレから見たら、確かに廉の意見は強いし伏線張ってるように見えるかもしれないけど、白なんだよ。だから廉は狼でも狐でもない。翼さん…いや、敢えて対等にするために呼び捨てにするけど翼が言うのはおかしいと思う。何がおかしいかって、廉を疑うならオレも真じゃないってことなのに、廉のことばかりでオレの事は全く言わなかったし。しかも圭太が狂人か背徳者なら、相方は巽さんしか居ないじゃないか。ほんとに颯太を囲ってて、それで図星だから攻撃するしかなくてそんなおかしな発言になってるんじゃないのかなって思うよ。オレは呪殺も出したいけど、噛み合わせて来たりしそうだしそれなら黒を見たいから、占うなら颯太がいい。グレーはまだわからないから二周目聞いてから精査する。今のところ、翼が疑ってた所、美夢ちゃんと翔馬は白く感じてる。以上です。」
怒ってるなあ。
ここが真同士ならまずいなあと達也は思って聞いていた。
巽が、言った。
「では、最後だな。私が思うに、相互占いも良いだろうが、ここは噛み合わせて来る可能性も考えて、今話した場所…圭太は達也、翼は廉、健斗は颯太、私が残りの庄治を指定されるのなら、もう一人、グレーも指定しておいて欲しい。つまり、圭太ならグレーの中なら泰裕と言っていたな?そんな風に二人にするのだ。そこから誰を占うかでまた考察も伸びて来るだろうし、狼がどこを噛むかで考察もできる。とはいえ…狼にとっては、今一番死活問題なのは、霊媒結果が確定することだ。哲也も言っていたが、私も狼はまず、霊媒を一人でも減らすことを考えて来るだろう。狩人にはそこを守ってもらい、明日の結果だけでも確定できるようにしたいと思っているかな。ちなみに私の今の考察では、やはり霊媒には狂人が出ていそうだ。」
達也が、え、と巽を見た。
「え、巽さん、誰が偽物なのか分かりました?」
そんなはずはないだろう。
だが、巽は頷いた。
「恐らくはという場所はわかった。だが、ここでは言わない。狼にも今の時点では精査が付いていないはずだ。私は狼に多くの情報を渡そうとは思わないからな。占う位置は、別にどこでも良いのだ。だから、他の占い師が次々に指定して行ったが私は口を挟まなかっただろう?私が知りたいのは、私の相方なのだ。もし、私の占い指定位置が相方だと思える相手の白先だったとしたら、そこは占わないつもりだしな。どうせ明日もまた、残った他の占い師の白位置だって指定先に入る。だからこそ、無駄を失くすためにもそうするのが結果的に村のためになるだろうと思っている。」
仁は、言った。
「ちなみに巽さんは、グレーはどこを指定しようと思ってるんだ?」
巽はニッと笑って答えた。
「別に君でも良いがね。」仁が驚いた顔をすると、続けた。「グレーは正直あれだけの発言を聞いたところでわからない。とはいえ、ここかという所はポツポツあった。その中から、今日は吊って今夜占い指定しようと思っている。今日の投票が終わって追放者が確定してから改めて皆で指定して行けば良いだろう。」
達也は、何やら落ち着いて、遠くから俯瞰して見ているような巽につい、聞きたくなって言った。
「巽さんは、誰が相方だと思っています?」
巽は、フッと笑った。
「誰だろうな。まあ、確信がないのでここでは言わないでおく。私の発言力が思ったよりこの村では強い気がするのだ。そんなに私を真だと皆で言ったら、狼は私を噛むぞ?まあ狐かもしれないので噛み損になるかもだがね。先に狼に言っておこう、私を噛んだらまずいことになるぞ?霊媒が確定するかもしれない。明日以降、狼の占い師の黒先を吊ったら偽が透けることになるかもしれないしな。私の頭の中にあることを出して欲しくはないだろうが、私は白先の達也にはとりあえず後で話しておこうと思っている。私が追放されたら私が真としてその意見が残る。それでもなら噛めばいい。それはそれで面白いかもしれないしな。」
狼は巽さんを噛むだろうか…?
とはいえ、狐が残っているのだから、真占い師には狼も残っていて欲しいはずだった。
少なくとも、一人は。
となると、巽が真だとしたらもう一人だけの呪殺の対処をしたら良いだけなので、確かにそれもありかもしれない。
となると、霊媒師も守らなければならないが、巽が真なら巽も守ってもらいたいし、狩人はかなりハードだ。
翼が、言った。
「…巽さんの意見は、あくまでも自分真視点でばかりで村の皆には響かないんじゃないのか。占い師の相方も言わない、霊媒師の考察も落とさない。グレーの今の時点での怪しむ先もだ。情報を落とすのが占い師の役目なんじゃないのか?それは奢りだろう。人外だったら上手いやり方だがな。自分が真に見られてるから、それを利用しているように見える。」
確かにそう。
達也も皆も困惑した顔をしていたが、巽は気にしていないようだった。
「ほう?君はそう思うのか?だが、占い師が吊られる盤面ではないし、初日はこれで良いのだ。私が持つ情報など、占い結果以外はただの推測でしかない。村を変に混乱させて誘導したくはないからな。別に初日は、色が見えないのだからグレーのどこを吊っても同じだ。私から見たら、な。人外は仲間を吊られたくないだろうから、別の方向へ誘導しようと必死だろうがね。」
いちいちもっとも過ぎて、誰も何も言えなくなる。
達也は、ため息をついたのだった。