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5呪い、剣が動くってどういう事?

精神異常を来して狂いながら死んでいくのはイヤだ。ということで、チビミノに殺されてしまおうと思ったんだけど、


《何しておるんじゃたわけぇ!せっかく妾の所有者になったというのに、すぐ死んでしまうとか情けなさすぎるじゃろぉぉ!!!妾の名が廃れるわぁぁぁ!!!!》


「え?」


僕の手から飛び出す剣。その勢いのまま、僕の前まで迫っていたチビミノを3体くらい貫いた。


「え?」


困惑である。幻覚をしているようにしか思えないけど、まるで幻覚じゃないみたいで。


《だから!いい加減現実を受け入れろこのドアホ!》


ガンッ!

「いてっ!?」


持ち手部分で頭を小突かれた。普通に痛い。

あれ?もしかしてこれ、幻覚じゃない?


《やっと理解したか馬鹿者!妾の所有者じゃというのに情けない》


え?じゃあ、この声が聞こえるのも幻聴じゃないの?本当に剣が喋ってるの?

……呪われた剣、やばぁ。


《じゃから!呪われた剣って言うな!スカラーという名があるじゃろ!》


あぁ。ハイハイ。スカラーね。……まあ、何でも良いけど、剣に変な自意識が生まれちゃった訳ね。

で?そのスカラーはこの状況を打開できるわけ?


《出来ると思うのじゃ。妾が剣の属性とかを調整するから、ミノタウロスにも大ダメージが入るはずなのじゃ》


全属性付与。2つ目に解放されたこの剣のスキルだけど、一応各属性の出力を調整することが出来る。相手によって属性を変えられたら強いんだけど、戦闘中に僕がやるのは手間だったからね。剣が勝手にやってくれるのはありがたいかも。

でも、


「それだけでいけるもんか、ねっ!」


僕はチビミノ狩りを再開しながら尋ねる。流石にそれだけで狩れるなら苦労しないよ。それこそ、弱点属性の強化に加えて攻撃力が3倍くらいにはならないと無理でしょ。


《ん?3倍くらいなら余裕で出せるのじゃ。脱力の呪いも解けておるし、瞬間的になら10倍以上の力が出せるんじゃよ》


わぁお。10倍以上かぁ。つっよぉ~い。

脱力の呪いとか剣にかけて何の意味があるのかと思ってたけど、何か意味がありそうな口ぶりだね?


《勿論なのじゃ。妾は自分に力を入れることで、攻撃力の強化や受ける衝撃の低下などをさせられるぞ!》


ふぅん。

……まあ、あんまりよく分からないけど、


「やれるって言うならやってみようかな!」


僕は駆け出す。まっすぐに、ミノタウロスへと向けて。勿論すれ違いざまに何体かのチビミノは処理したけど、最短ルートは保ってる。


「ハアアァァァァァァァ!!!!!!」


「ブモオオオォォォォォォォ!!!!!!!」


振り回され、僕へと襲いかかるミノタウロスの腕。僕は剣で受け流すようにしつつ、その衝撃がこっちに来ないように流、し、……て?


スパッ!

「え?」

「ブモ?」


受け流そうとした腕。それが、剣に触れた瞬間真っ二つに。僕もミノタウロスも驚きで目を点にする。

おっといけない。この隙を逃さず僕はミノタウロスの首へ向けて、


スパッ!

綺麗に刃が通った。剣の後を追うように、ゆっくりと首が落ちていく。


「……か、勝ったの?」


落ちた首を見ながら、僕は呟いた。どうしてなのかは分からないけど、さっきまであんなにいたチビミノは消えている。もうここに居る生物は、僕と女の子くらいしかいなかった。

……あぁ。女の子、確認しに行かないと。


「大丈夫?」


「あっ。は、はい。大丈夫です」


僕は女の子に近づく。さっき見たときはわかりにくかったけど、今はもうハッキリとシミが見えちゃってるね。僕ので悪いけど、予備の服でも渡しておこうかな。


「あ、ありがとうございます」


「いや。気にしないで」


ズボンを渡した僕は、首を振って後ろを向く。流石に着替えシーンは見ないよ。

少しして。


「あ、あの。終わりました」


「うん。お疲れ様」


僕は振り返る。その瞬間。ガシッ!と肩を掴まれて、


「なんで可愛いのに殺すんですかぁ!」


「……ふぇ?」


なんか良く分からないけど怒られた。可愛いって、チビミノのことだよね?そういえばこの子、チビミノを見たとき可愛いって言ってたっけ?


「え、ええと。ごめんね?」


「……許してあげますけど、条件があります」


「じょ、条件?」


随分と強引な子だね。助けられておいて、ここまでのことが言えるなんて。


「私にもう1度可愛いのを見せて下さい」


「お、おう?」


見せるねぇ。確かにチビミノはランク低いモンスターだけど、ミノタウロスとセットでしか出てこないはずなんだよねぇ。


「とりあえず外に出ない?またミノタウロスが来ても困るし」


「そ、そうですね」


《露骨な話題そらしだと思われておるぞ》


「っ!?」


突然頭に響く声に僕は身体を震わせる。

そういえばいたね。完全に忘れてた。居たなら言ってよぉ。


《なっ!?妾のことを忘れておったというのか!?ミノタウロスを倒せたのはわらのお陰なんじゃよ!?》


ああ。うん。そうだね。感謝してる感謝してる。


《こらぁ!もっと誠意見せんかい!》


なんて漫才をしてたら、


「あの、大丈夫ですか?」


「ああ。うん。大丈夫。問題ないよ」

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