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4呪い、幻聴ってどういう事?

「でもやるしかないんだよ、ねぇ!」


僕は剣を構えて斬りかかる。まず僕が狙うのはミノタウロスの弱点部位。……ではなく武器。僕のこの剣は武器破壊の能力があるから、しっかり有効活用するよ。

因みに、ミノタウロスが持っている武器は斧。僕の身長くらい(150センチ前半。チビって言った人は潰すよ)あって、振り回されると非常に厄介。早く潰すに限るね。


「ほい!てい!たぁ!」


キンキンキンッ!と、連続で金属音が響く。なかなか攻撃は重いけど、受け流しを中心にしつつ対処してるからどうにかなってる。偶に隙があったら斧に攻撃を入れて、斧にひびを入れてるよ。もう後り数発で壊れそう。


「……『十時斬り』!」


ということで、早く潰すために僕自身が持ってるスキルを使う。剣術系スキルの派生スキルで、剣で使う技のスキルだね。十字に切ることで、その十字が重なるところへのダメージが上昇するよ。そのお陰で、


パキンッ!

「ブモォ!?」


砕ける斧。ミノタウロスも驚いて一瞬固まった。

僕がそんな隙を見逃すわけはなく、


「えいっ!」


「ブモオオオォォォォォォ!!!??????」


ミノタウロスに傷をつくることに成功した。太モモの辺りだから即死はさせられないけど、それでも痛みは充分与えられたと思う。

ただ、相手は数ランク上。この程度の傷は、


「治っちゃうよねぇ」


血は付いているものの、傷など少しも残っていない足。さすがだよね。

でも、それだけならまだ良かったんだよ。

傷が治るのに加えて、ミノタウロスは叫んで、


「ブモオオオオオォォォォォォ!!!!!!!!」


「「「ブモォォォォ!!!!」」」


増えた。なんかちっちゃいミノタウロスが沢山。チビミノって言うモンスターで、強さはかなり下の方。だけど、数がそこそこいるのに加えてミノタウロスと連携してくるとか言う鬼畜使用つき。こんなの、冒険者なら誰でも中指を立てて暴言を吐きたくなると思うん。


「可愛い!」


「……え?」


今あり得ない声が聞こえた気がする。そんなはずはないと思いつつも僕が振り返ると、隠れている女の子が瞳を若干輝かせていた。

……マジですか。


「敵だからね!?近づいてきたら殺すんだよ!」


「………善処します」


視線をそらしながら言う女の子。これは駄目なヤツだね。

可愛い者を攻撃したくないって言う気持ちは分かるけどさぁ。……でもそれはなくない?


「……全部僕が倒すしかないね」


僕は少し肩を落としながらも向かっていく。そして剣で一線。すぐに3つくらいの首が飛んだ。大分弱いモンスターだし、これくらいは余裕だよ。

僕は適当にミノタウロスから距離をとりつつ、周りに寄ってくるチビミノを狩っていく。ただ、チビミノは倒しても倒しても減っていく気配はない。だからといってミノタウロスに近づこうとしても、ミノタウロスに手間取ってチビミノに後ろから攻撃される未来しか見えない。つまり、手詰まりって感じかな。


「……ハァハァハァ」


数十分戦い続けて、チビミノを狩り続けた。でも、もうかなり僕の限界は近い。足が重いし、明らかにチビミノを狩るペースが落ちてる。

まさか。こんな所で僕が終わることになるなんてね。名も知らない女の子は、守ってあげられなくて申し訳ない。せめて、この命がつきるまでチビミノを狩るとしようかな。


「はっ!」


僕はフラつきつつ剣を振る。そうして5つほど首を取ったときだった。


《呪いが軽減されました》


「……ん?」


もうしばらくは聞くことのないだろうと思っていた言葉。まさか、ここで聞くことになるとは思わなかったよ。残ってる呪いは『能力制限』だけだから、それが10から9になったんだろうけど、


「何が変わるんだろうね」


9でも10でも、能力の低下は10分の1で変わらない。では何が変わるのかと考えても、僕には分からないのだ。だって、まず呪いを10にまでしてかけられる人自体が少ないんだから。能力制限の9と10で低下率が同じって言うことを知ってる人自体もかなり少ないと思うよ。それで何が変わるのかまで知ってる人は、世界で何人いるのやらって感じ。僕の読んだ呪い関係の本にも載ってなかった。

だから、僕にとってはこれが良いことだとは思えな、


《主よ。妾の解放、感謝するぞ》


「………んあ?」


僕は変な声を出す。どうやら、あまりにも疲れすぎて幻聴まで聞こえるようになったらしい。僕、相当ヤバい状況みたいだね。


《いやいや。幻聴ではないのじゃ。妾じゃよ妾。おぬしが持ってる剣じゃ》


「剣?」


僕は反射的に自分思っている剣を見る。そこにあるのは、さっき呪いが軽減された呪われた剣。


《呪われた剣って、ひどい名じゃな。妾は神剣スカラーじゃ!》


「スカラー?……『鑑定』」


寄ってきたチビミノがいたので適当に対処しつつ、呪われた剣を鑑定してみる。そして、出てきた表示にはしっかりと。


《神剣スカラー》


と書いてあった。

……わぉ。びっくりだよ。本当に変わってる。何?疲れすぎて幻覚まで見えるようになってきちゃった。それはやばいね。


《だから!幻覚じゃないわ!現実を見ろ、たわけ!》


……うん。分かってるよ。もう受け入れるしか無さそうだね。僕はもう末期みたいだ。

あっ。そこのチビミノ君。僕を殺してくれるかな?

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