戦うキャットテイル
街中に漂う不穏な気配
コノ気配は、キャットテイル家代々戦ってきた敵にゃ
人類が発展すると同時に生まれ、益々凶暴性を増した敵は不死身、きゃつは倒しても倒しても何度でも甦ってくる化け物にゃ
人類の妄想から生まれ、成長し、蔓延るにゃ
人類に利益あると騙し、苗床にして増えるにゃ
きゃつの武器は弱さ、故に勝つことは出来ぬにょ
我に出来ることは、現象を一時的に引かせることだけにゃ
不穏な気配をたどる
テレビで、おばさんが騒いでいる
「これはさべつです、決してゆるされるものではありません。」
おばさんの背後で、半透明緑色の丸いのが、浮いている
大きな口を、めいいっぱい広げてニヤニヤしながらフワフワ浮いている
我はアレをアク想念キャベツと呼んでいるにゃ
人の想念のアクの塊、人が生み出した虚の生き物にゃ
おばさんが、口から唾を飛ばしながら、キャベツキャベツと騒いでいる
テレビの中で、キャベツが分裂して、増殖して、他人に取り憑いて、また増殖している
まるで、ウイルスのようだにゃ
この想念に取り憑かれると、自分が正しいように感じられて思考停止に陥るにゃ
免疫システムがまるで働かなくなるにゃ
まるでアク想念のエイズにゃ
まずいにゃ
向かいの家に立ち寄ってた三毛猫のニャ二郎が、騒いでいた
「キャベツニャ、アッシが野良だからエサくれないニャ、キャベツニャ」
シャーー!
ニャ二郎に気合いを飛ばす
ニャ二郎に憑いていたキャベツが、キュウと悲鳴を上げながら消えていく
アク想念は、覚悟を持ったマジ気合いに弱いのだにゃ
太陽に触れて蒸発するように消えてしまうのだにゃ
路上を歩いている黒猫のミャン子が、騒いでいる
「キャベツにゃ、私の色が黒いから暑いにゃ、キャベツニャ」
シャーー!
気合いを飛ばす
キャー
消えていくキャベツ
軒下から出てきた仔猫が泣いている
「キャベツニャ、キャベツされてるニャ、他の街からきたから誰も知り合いいないから態度冷たいニャ、エサくれないにゃ、家猫ばかりエサあげて、キャベツニャ」
シャーー!
いい加減しろにゃー
キャベツなんて存在しないにゃ、嘘にゃ、虚にゃ
人が勝手に生み出したものにゃ、誠でないにゃ
「野良猫がニャーニャーうるさいわね、汚い猫ね」
ザバーン!
ニャ、ニャー、水を掛けられたにゃー
みなりで判断されたにゃー、キャベツにゃー
はっ?!