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黒色のキャットテイル  作者: さくら
22/22

黒い影とキャットテイル

 町の平和を守る、僕の名前はテトラ・キャットテイルにゃり。

 今日も今日とて、町のパトロールニャン。

 行く先々で、差し入れや激励を貰うは、人情ニャで、ありがたく頂くニャ。

 

 これは、きっと僕が可愛いせいもあるニャ。


 キャットテイル家は、代々美形でヒト族にはモテモテニャン。

 同じ猫には、それほどでもない。

 何故だろニャ?不思議だにゃ?



そんなある日の出来事。



 怪しい奴を見つけたニャ。

 陽の当たらぬ片隅にモゾモゾと蠢く指先程の小さな黒い影!


 むむ…あれは怪異ニャ。


 時たまに現れるインゲン達が創り出した概念の変質体…ヨコシマな使われ方をした概念がドロドロと変質化して死後の腐った魂と融合した姿ニャ。

 オドロオドロしい哀れな姿…あれでも昔はインゲンだったニャ。

 一度怪異と成り果てた魂は、輪廻の輪から外れて地上を永遠に這い回るニャ…浄化されるまで。或いは世界が終わるまで。

 …いつまでも。


 流石に吾輩も哀れに思うけども仕方ないにゃん。


 生きていたときに、概念を私利私欲に利用したことから、変質化して返って来た概念と融合してしまう自然現象だから、仕方ナイニャ。

 インゲンはバカだから、全ての人生の行動が記録化されて、活動停止後に反転して戻ることを知らないニャ。

 為したことは、必ず自分に返って来るにゃんよ。

 それを地獄と感じるか天国と感じるかはインゲン次第だニャン。

 

その怪異から、見つめられていると感じて、キャットテイルは少し気持ち悪く思いました。

そして、少し不安に感じたのです。


 …大丈夫だにゃ。

 奴には勝てないけど、負けもしないニャ。


 それに…もし、困難と思われること、勝てやしないことに当たっても、逃げれば良いだけの話ニャン。



 …



だが、その日からキャットテイルは、その怪異に付けられるようになりました。



 あにゃニャ、また奴かいるにゃ。

 片隅の暗がりで、ウゴウゴと振るえているのを、また見掛けたニャ。


次の日も、その次の日も…。

しかも、段々とソレはキャットテイルに近づいているのです。


 ムニャ、気持ち悪いニャ。


ある日のこと、微睡みて、ふと目覚めたら、前より大きく成長した怪異がプルプルと身体を震わせて、直近まで来ていたのです。


 ふぎゅー、シャー!


キャットテイルは、遂に逃げ出しました。


しかし、その黒い怪異は、キャットテイルの場所を付き止め、必ず現れるのです…更に前よりも大きくなって。

怯えるキャットテイルは、来る日も来る日も逃げ出しました。

そして、とうとう大きく成長した怪異に遂に追い詰められてしまったのです。


ああ、この場所は、お世話になったペンギンとその飼い主の優しいお姉さんの家の前ですよ。

もしこの場から、逃げ出したならば、このバカデカく成長した怪異は、お姉さん達に襲い掛かるかもしれない…キャットテイルは、そう考えました。

さあ、どうするのですか?


 フニャー!

 逃げるのは、ここで止めニャー!

 生命に換えても、お姉さんとペンギンは守るニャ!

 シャー!


とうとう、キャットテイルは逃げるのを止めて、脚を震わせ涙目になりながら、その怪異に立ち向かったのです。

キャットテイルの何倍も大きく成長した怪異は、何も音を立てず、ただその場で震えていました。

 

 ニャーニャ、シャー!


怪異が黒い身体を、プルプルと震わせました。


 シャー!お姉さん達に仇為すものは許さないニャー!


怪異は、プルプルと震わせると、身体を縮ませました。


 護るにゃ。絶対に守るニャ!


怪異は、またも震わせて、縮ませて、キャットテイルが勇気を持って立ち向かう度に、小さくなって…とうとう豆粒ぐらいまで小さくなり、…やがてプシューと消えてしまいました。


 フー!フー!

 何処行ったニャん?

 何処ニャン?出て来いニャー!


しかし、その黒い影は、もう現れることはありませんでした。





…もしかしたら、キャットテイルの勇気に浄化されたくて、あの黒い影は、付き纏っていたのかもしれませんね。


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