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黒色のキャットテイル  作者: さくら
16/20

流るるキャットテイル

 豪雨ニャ。

 豪雨ニャ。

 大地を打ち付ける、恐るべき豪雨ニャ。

 生命の危機ニャン。


 打ち付ける雨粒がデカいニャ。

 跳ね返って、降り注ぐニャ。

 逃げないと危ないニュ。


降り注ぐ雨粒は、大地を穿ち、吸収されることなく、コンクリートの道を川となり流れ始めた。


 ウニャ。

 高台に逃れるニャ。

 辺りに山はないニャよ。

 人間が作る山の、住まる処ならば、水は来ないニャ。

 …


さあ、走りなさい、もう時間はありません。

高台を見つけて、逃げるのです。


 …

 …ニャニャ。

 門扉をすり抜けて、階段登るニャ。


どうにか難を逃れたキャットテイルは、とあるマンションの外廊下から辺りを眺める。

一面に濁流が流れ、辺りは雨の格子で閉ざされていた。


 …ニャーニャーと救けを呼ぶ鳴き声が、何処から聞こえるニャ。

 大変ニャ。濁流に、虎猫の五郎次郎がニャーニャー鳴きながら流されていくニャ。


 さらばニャ。さらばニャ。

 自然の猛威には逆らえないニャ。

 必死で、お別れを叫ぶニャ。

 さらばニャ。さらばニャ。


濁流に流されていった猫の鳴き声は、いつしか消えていた。


 僕に、今出来ることは、高台に登ることニャ。

 シュタシュタと階段を登っていく。

 …

 濁流を階下に見下ろし、ニャーニャー鳴いていたら、扉が開いて、太ったペンギンと目が合ったニャ。



 …


 

 …どうやら、以前会ったペンギンが住むとこだったらしいニャ!

 部屋の中に招き入れられ、ペンギンと同居しているお姉さんから、お風呂に入れられタオルで身体を拭かれて、暖かい風を出すカラクリで乾かされたニャ。


 思わず眼を細める。

 美味しいご飯もらい、布団の上で丸くなる。

 窓には雨が打ち付け、ガタガタいっているのが聞こえる。


 ああ…天国にゃ。


 僕のように優れたる能力を自負する猫戦士ですら、自然の猛威の前には役には立たニャイ…。

 ただ、それでも足掻くことはできる。

 考え、走り、逃げ、登った先に、天国があったニャ。




 …



 朝、起きると、お日様が出ていた。

 ペンギンと一緒にご飯をいただいて、お別れして外に出ると、濁流は消えていた。



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