ターニングポイント 3
大学受験のシーズンとなって宏一郎は九州の大学を受験した。
しかしはやは、そっちじゃないの、キラ。
と言って
そっちだと最愛の人に出会えないの。
仕方ありませんな、とキラは言ったが、
はたして、宏一郎は受験に失敗した。
では最初からそう仕向ければ?
と思われたが、人間界では自由意思というものが最も尊重されるルールがあって、そういう意味では人生というのは試行錯誤であるとも言えた。
しかし2回目は、
はやたちが介入して、宏一郎の妻となるであろう百合子と出会わせるために2回目の受験は名古屋の大学にさせた。
宏一郎は受かったが、後年、なぜその大学にしたのか、考えてもどうしてなのかわからなかった。
同じ頃、百合子は紀伊半島の熊野の高校を出ると名古屋の会社に就職していた。熊野からだったら、大阪へ出るか、名古屋に出るか、という選択肢があって、自然な流れに見えた、
彼女は、あとになって、危うく伊勢神宮の巫女さんにならされるところやった~と思い出していたが、本来そういう性質持っていても、それは注意深く隠され、本人も気が付かないようになっているようだった。
本来霊能力というのは注意深く隠されているもので、全ての人間に備わった貴い性質であると言えた。そしてそれは、時折力を発現して、神々の意思となって百合子を導くのだった。
こうして、宏一郎21歳、百合子19歳、二人はアルバイト先で出会った。
また、はやとキラはより身近で、人間と密接に関わるためにペットを用いた。
宏一郎は例によってよく遊び、自分も食うや食わずの生活だったのになぜか、生まれたばかりの猫を貰った。これもあとから考えてもどうしてなのか、わからない出来事だった、だって、宏一郎自身が食えない生活をしているなかで、
なぜ猫を?
という周囲もいぶかる行動だったわけだから。
この猫に、はやは宿ることにしたのだった。はたしてこの猫は宏一郎夫婦に子供ができるまで彼らを支えることになるのだが…。
こうして、宏一郎たちを守る手厚い体勢が調った。
次回、ターニングポイント(4)に続きます。
(©️2022 keizo kawahara 眷属物語)