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おやゆび姫 てのひらの花の国(意味がわかると怖い話)

 背丈の小さなおやゆびほどの女の子が一寸法師という少年に出会います。二人はお互い似た者同士でとても気が合う様子でした。生まれた国が違っても通じ合うものがあったし、巨人ばかりの国にいる二人はもしかしたら花の国の出身なのではないかと思いました。二人は小人ばかりいるらしいという花の国に向かいます。しかし、二人はうわさの花の国と言う場所にたどり着けずにいます。二人の体は小さいので歩いても動くことのできる距離はしれていますし、花の国というのはうわさできいただけなので本当に存在するのかどうかもわかりません。


 指が消えてしまった。自分の親指を探しているという女の人があらわれました。どういうわけかある日、親指がなくなっていたらしいのです。ケガが原因なのかどうか女性は記憶がないそうです。そこで、おやゆび姫を指にあったはずの場所に近づけると、おやゆび姫は親指になってしまいました。ところが、姫には意志があり、話すことができます。女性は大変驚きましたが、指が元に戻ったことを喜びました。意志を持った親指の誕生です。元々おやゆび姫がその人の指だったのかもしれないし、違うのかもしれない。全ては謎のままでした。ところが、残された一寸法師はとても辛そうな顔をしています。唯一同じ大きさの話し相手がいなくなってしまったからです。花の国を目指そうと思っても、幻の国なので、実在しているのかどうかもわかりません。そこで、いまだに意思のある親指を持つ女性と共に暮らすことを決意します。女性は社会人で会社勤めをしており、一人暮らしでした。さびしがり屋の女性は、一寸法師をかわいがってくれました。一寸法師はその女性のことをとても好きだという気持ちになりました。


「てのひらを広げると花びらの形ににているわね」

 女性がてのひらを広げながら言いました。もしかして、花の国って……人間のてのひらの上という意味なのかもしれない。一寸法師は考えました。


 そのうち、親指を探している男性がネット上でいることが話題になっていました。親切な女性は自分も一度指がなくなった経験があったので、その男性に連絡をとりました。一度会うことになり、一寸法師も一緒に行きました。もし、変な男だったら自分が女性を守ろうと思っていました。ところが、その指に一寸法師は吸い取られてしまったのです。彼の花の国は男性のてのひらだったのかもしれません。


 次第に男性と女性は親密になり、交際をするようになりました。結婚の予定も決まっています。親指に吸収された一寸法師は意思が残っています。大好きな女性が幸せになる姿を見ながら、身動きできない状態で、その様子を見守るのでした。


★解説

 もし、おやゆび姫の由来が誰かの指から生まれた生物だったら? てのひらが花の国だとしたら? 親指がひとり歩きして、意思があるまま戻っても、好きになった気持ちは消えないので、一寸法師は不幸なのかもしれません。だって、指の持ち主と好きな女性が幸せになっていくのを指をくわえてみているのですから。とはいっても親指には指がないので、たとえですが。


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