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さるかに合戦の勝利者は無関係の人たち

 かにがおにぎりを持って歩いていると、そこへサルがやってきて柿の種と交換しようと持ち掛けます。さるはおにぎりが食べたかったので、柿の実がたくさんなるこの種のほうがお得だよという感じで交換を迫ります。


 実際に柿の木が大きくなり実がなると、サルは柿の実をとってしまいます。そして、まだ青い実をかにになげつけるのですが、かには死んでしまうのです。ここで、殺人事件です。正確には殺かに事件ですが。それにしても、柿の実がなるのに相当年数がたっていると思うので、種から育てるとなると、おにぎりのことも忘れるくらいの年数ではないかと思うのですが。


 桃栗三年柿八年ということわざもあるので、かにがそんなに長生きなのか、少々疑問です。人間を動物に例えているとして、近所づきあいが8年くらい続くのは、戸建てを建てて永住していればよくあることかな、という感じで想像しましょう。


 かにが殺されてしまいますが、このかにはメスで、なんと子供たちがお腹にいました。その子供たちがかたき討ちを取るべく行動に出ます。


 まず、帰宅したサルに、栗がいろりに隠れてやけどを負わせ、水桶の中に隠れていたはちが刺します。とどめはうすです。動物ではない物が擬人化しております。うすがサルを押しつぶし殺してしまうのです。絵本によっては、懲らしめて、謝って解決という道徳的な内容のものもあると思います。


★解説

 集団心理って恐ろしいと思います。栗やはちやうすは直接被害を被ったという描写はない、あいつは悪い奴だということで関係ない者たちがかたきを討つ話。絵本では勧善懲悪として描かれるけれど、サルは殺そうとしてかにを殺したわけではなく、偶然当たり所が悪かっただけかもしれないのに。日頃のうらみがうすたちにもあったのかもしれないけれど……それにしても、何か口実を作って集団で追い詰めるというのは現代にも通じる人間のこわい部分だと思うのです。


★教訓

 集団心理。人間はいつの時代も赤信号みんなで渡れば怖くないという心があるのかもしれません。それをうまく表現したさるかに合戦はサルもかにも幸せにはなっていないのです。だから、勝敗はつけられません。周囲のものが主人公に成り代わって幸せになる代表作となっているのです。現実、そういったことは結構あるのかもしれません。


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