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海月の異世界漂流記  作者: みかみ かん
第一章『チュートリアル』
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謎#37


 っても、完全にノープランだ。


 私たちはただ、床に落ちているリーダーの血を追ってせっまい右周りの通路を通って追っているだけ。


 今確実にわかることは、私たちの部屋は右周りの内側にあったことと、リーダーの身体能力が上がっていること。

 いつもは、リーダーは私より足が遅いくせに、今はなぜか早くなっていて追い付けない。

 そしてこの血。

 返り血にしては多すぎるから、怪我は治ってないのかもしれない。……リーダーの後は終えそうだ。まさか死んでないだろうな。


 しかし、なんだ? この通路、チョココロネみたいになってんのか?螺旋の坂になってる気がする。

 私たちがあのおっぱいお姉さん(仮想人物)に案内された通路まではほとんど水平だったけど、あの先はこうなってたのか。


「ルナちゃん」

「なんだ?」

「何か計画は?」

「無い。今考えてる(嘘)」


 考えよう。まずは、リーダーを止めなければ。


 1,力ずく

 2,罠

 3,毒


 どれがいい?……どれもだめか。しかし、情報が欲しい。


「おい四号。さっき、私があの縛られた半裸に話しかけるのをやめさせた理由は? 五十文字以内で述べよ」


「無論、()はバンパイアだったからだ。再生能力も身体能力も僕ら(半バンパイア)より格段に高い上に、死ぬことがない!しかも、彼の固有魔法は『爪を刺すことで相手を毒状態にする魔法』! 君の頬に彼の()()がかすっても毒におかされなかったことで、『解毒の爪』があるかもしれないと仮説がたてられ、肩を刺された彼も助かった! だがそれにより、反対に速効性の致死毒を持つ可能性も出てきたためだ! しかし、僕には『アズ・サンライズ』という名前があるっ! だから」


「わかった。悪かったよ、アズ」


 余裕で五十文字をオーバーしている。なんとも濃い内容だった。まあ、つまりはよくわかんねぇけど『あいつは毒を使うし、バンパイアでめちゃんこ強いから(ルナ)がまた被害を受けないよう守ろうとしたためだ』ということだろう。

 てか、おいッ! そこッ! 名前を呼ばれたくらいでへらへらしてんじゃねぇよ、今それどころじゃねぇんだよバカが。

 魔法って恐えぇ!とか言いたかったのに、ツッコミを優先しちまったよこのドアホ。


 しかし、なぜそいつは私たちを襲った?そしてなぜバンパイア?バンパイアって、数が減っているみたいなことをティアは示唆してた。そしてあの、コンテナに並べられていた死体………。


 私は止まる。

 あの部屋からあまり離れていないところに目の前に暗い階段。ここだけ壁や天井がコンクリートで固められていない。冷たい。潮風。海がある。風の音以外は聞こえない。


「ここは僕と彼が来たところではないか。どうしたのだ?」


「えっ!?そうなのか?」


「ああ。そうだ! この先に進もう。とても頼りになる協力者がいらっしゃるのだ。協力して頂こうではないか」


 そうか。時間はないが、リーダーに行き着くまでに何があるかわからない。

 急がば回れ。

 情報もほしかったところだ。私はうなづき、アズについていく。

 そりゃいい。存分に頼ろうではないか。


 それにしても、バンパイアだ。

 数が減っているのに、()()。半バンパイアのティアも、アズも。あの半裸オンジも、

 バンパイアが()()()()()()()


 理由は知らん。分かんない。だが、それだと一気にかかられるとまずい。この状況で協力者はありがたい。


「なぁ、この施設にあのバンパイア達が集められてるよな?」


 聞いてみる。


「だよねぇ」

「そう。それが不可解だ」


 みんなわかってたんかぁい。なんだよ、頭いいじゃん。くそう。


「でも、一人だったら十分わたしたちで対処できるよ。さっきみたいに」


「お有難てぇ」


 心強い。そうか、アズもティアも半分とはいえバンパイアだ。それに、あの道幅では大勢で攻めてくるのは難しいだろう。

 今はそいつらの気配もない。だが、裏を返すと他の場所に固まっている可能性がある。

 バンパイアの数も私が見たコンテナにいた人たちだけでは無いかもしれないし。


「しかし、謎が増えちまったな」

「んぅ」


 ティアが短く同意の意を表す。

 その言葉を聞いた私は、手短に今ある謎をまとめる。


「確認だが、今ある謎は、①なぜかバンパイアが集められている ②リーダーはなぜああなった? ③攻撃している敵はだれ&どこ ④バンパイアはなぜ真っ先にリーダーを殺害しようとした」


「ああ。そうだ」


 アズは言葉を続ける。


「①は、僕が情報を提供しよう。そう。あれは暗い夜のことだった……」


「回想すな。天をあおぐな! なんか長くなりそうじゃねぇか。要点だけ説明しろ」


「ルナちゃん、お兄ちゃんはそれが苦手なんだよ」


 まじか。じゃあ当ててやる。勘で。


「ああ……そうだ! コンテナから逃げてきたんだろ!」


「せっ、正解だ!」


 さすがだ私の山勘。


「じゃあ、お兄ちゃん。コンテナには何人いた? わたしが数えたときはちょうど私を入れて十人……だったけど、お兄ちゃんはいなかったよ?」


「箱だ。箱の中にいた」


「なるほど? あの台か……盲点だったな。 じゃあお前はそこに収納されていたのか」


「おそらくそうだろう。あと、ルナくん、僕のことをちゃんと名前で」


「アズ・サンライズ」


 名前を呼んだら呼んだで気持ち悪りぃんだよ。なんだよ顔赤くしてんじゃねぇ。すぐ隣にかわいい女の子いるじゃねぇか。異性に対する免疫できてねぇのか?おい。


「まぁいい。この謎もその協力者と話そうぜ? あっちもあの事態を知ったら情報が欲しくなるだろうし、一緒に考えてくれるだろ」


「なぁ、ルナくん、『まぁいい』とは…………?」


「おっと?海の匂いが強まってきたぜ!?」


 大声でごまかして前に出る。横に並ぶより少し前に出たほうが話しかけらづらいだろう。え?結構私知恵者じゃん!?


 階段から赤い光が見えた。焚き火か?


 二人より先に階段を抜けると、今度は横から銃を突きつけられた。

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