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SIDE:???

 奴の表情が変わるようになったのはいつの事だったろうか。私はリオン。本当は長ったらしい名前だが今は割愛する。この国の王太子をしている。


 私の友人は、冷血漢を地で行っていた。酷薄そうに整った容貌も拍車をかけ、女性に冷たい男として有名だった。


 コレット=リデル。百年に一度の聖女なのではないか、と噂される女性。なぜ、わかるのかというと、文献に聖女は心の傷を癒し、数多の男を虜にすると書いてあったからだ。そのうちの一人を愛せば、良い聖女として、この国に繁栄がもたらされる。よくない聖女となれば、人心は病み、要らない混乱を呼ぶ。


 混乱を呼ぶ聖女はひっそりと修道院に送られ、性格の矯正が試みられるが、どうしても治らない場合は幽閉され、資格なしと神に判断されると断罪されると言われている。なぜ断罪と言われているのかというと、不審な突然死が多いからだ。


 私は、アーシュにコレットを探らせた。アーシュはコレットのお気に入りになったらしい。ジゼルから聞いた話はこうだった。

 私の命のせいで、全く無下に扱うこともできなかった彼を、コレットは慕い、ズカズカと踏み込んできたらしい。


 アーシュが、いつ辞めると言うか、私はハラハラしていた。別の方面からアプローチする。と連絡が来て以来、彼から連絡が途絶えている。そして、しばらくして、ジゼルから聞いたのだ。お兄様が恋をしたらしいと。


 私は彼が通い詰めているという図書館に、こっそりと覗きにいくことにした。

 まあ、驚いた。何ってその取り合わせに。コレットの妹は、表情も意思もない人形令嬢だと聞いていたのに、彼女はアーシュに微笑んでいた。ジゼルという可愛い婚約者がいる私だって、その微笑みにはちょっとドキッとした。全く邪気がなかったからだ。


 アーシュに恋しているというのを隠しもしないが、決して押し付けがましくない、清らかな微笑みだった。


そして、もっと驚いたのは、アーシュが微笑み返していたからだ。私は、見てはいけないものを見てしまった気分だった。



 ジゼル達の卒業パーティーに奴はソニア嬢を誘ったらしい。というか、誘ったと連絡が入った。まあ、姉であるコレット嬢が出席するのだから、ソニア嬢が出ても不思議ではない。問題は、そこではなく、奴は、ソニア嬢を囲い込む気だ。


 図書館で見た二人の姿を見る限り、祝福してやらなければならないだろう。

 私は、コレット嬢によって退出してしまった二人をハラハラしながら待っていた。表面上はにこやかにしつつも、ジゼルもきっと同じ気持ちだったはずだ。さすが私の婚約者。素晴らしいポーカーフェイスだ。


だから、戻ってきた二人が踊り始めた時、ジゼルを促し注目を集めさせた。なんていうか、余計なお世話だったかもしれないがな! ご馳走様。私は友人の幸せを願ってるよ! 

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