第一章【自分の本当の価値】第零話、プロローグ ◆少年が目指すもの
オールタウン:跡地
「ま...またな...のかぁ!また!僕は!何もぉ、守れなかったのかぁぁあ!」
荒れ果てた町の中に佇んでいるのは、少年ただ一人。
少年は、嘆いていた。つい、先日まで自分に優しくしてくれていた、受け入れてくれていた人達が目の前で殺されたのだ。少年以外、全員。
しかし、それを引き起こした怪物(原因)は少年であった。
◇■○★
少年は、この世界なら誰もが持っているスキルに呪われていた。スキル名は【渇望】、その効果は、自分の周りから幸運を吸いとり、他人を不幸にさせる。まさに、彼以外の人にとっては害悪以外の何者ではない存在のスキルであった。
さらに、必ずと言っていいほど少年がいる町はことごとく滅んでいた。理由はスキルで間違いはないが、実はもうひとつあった。
いつも、必ず、現れるのだ、アイツが。少年の大切な人達を殺していく怪物......モンスターが。そのモンスターは、背中に翼を持つドラゴンだ。普通、こんな中心都市(沢山の人が集まっていて、王都の次に大きく人口が多い場所)に比較的に近い所にドラゴンなんて現れるなんてことは絶対にない。。何せ、ドラゴンはこの世界では伝説の存在とまで言われている、まさに空想上の存在とまで言われているモンスターだ。
それが、毎回まるで少年を追うように現れては町を滅ぼしていく。しかし、自分には危害を加えず去っていくのだ。
これは、明らかに異常であった。そしてこれが少年の、自分のスキルによって起こされていると言う結論に至るのは当たり前だった。
少年は何度も後悔し、死のうともしたがそのたびに激痛が頭を襲い死なせてくれなかった。誰かに殺してくれと頼んだ時には即刻アイツが現れては人を殺していく。そんな日々を過ごしていた少年はもう、壊れる寸前であった。
何度も状況を覆そうとドラゴンに挑んだ時もあったが何も相手にされない、ワザとドラゴンの攻撃に当たりに行っても自分をすり抜けていく始末、もう少年に出来ることもやれることも存在しなくなっていった。
更には、少年の噂が世界で立ち始めた。「厄災を呼ぶ少年」と、この噂は瞬く間に広まり町に入れてくれる所さえもなくなっていき途方にくれ、いく宛もなく各地を回っていたところ、なんと自分を町に入れてくれる所があり、町の皆に迎え入れて貰えたのだ。
少年は泣くほど喜んだが一時たつと自分がいると皆さんを殺してしまうと出ようとしたところ。「なに言ってるんだい!若い者が遠慮するんじゃないよ!」と、まるでお母さんのように町の町長に怒られてしまった。
実際、そこでの生活はこれほどまでないほど楽しく、暖かった。だからこそ、今回は絶対に守りたいと少年はダンジョンに籠るようにして、自分を磨くようになった。そして着実に少しずつ、強くなってはいたのだ。
しかし、その努力も遂には実ることはなかった。ダンジョンから、物資を補給しに町に戻ったところで少年は膝をついた。町は、すでにそこにあったのかと疑うほど更地に変わっていた。もう、襲われてしまったのだ。
☆■◇●
......二年後
「はあ、ここもあと1週間後には出ないとなぁ。」
僕ことフォーカス.リリムはこの町、ジャーマン・アイリス(燃え盛る情熱)と名付けられている。僕は、ここに2週間ほど滞在している。でも、滞在してみて分かったのだけどここはかなり、煩いと言うかまぁ凄く賑わっている。
たった2週間しか居ないのに、もうお祭りのようなことをしているのを何回か見ていて軽く人の波に押し潰されそうになってしまった。まぁ、賑やかなのはいい事だろう……。
「いや、いくら何でも賑わい過ぎだと思うな〜。夜も煩くて全然寝付けないし。人だかりが暑くて堪らないよ。……まぁ、結構その煩さがなんかいい感じがするかも((ボソッ……」
『ちょっとあんた!よそ者の癖に私が住んでる大切な街に文句付けないでくれない?』
「えっ?」
一瞬、後ろから声を掛けられてビックリしてしまった。僕でも声を掛けられないと気づかないなんて一体何者なんだ??
しかも、その人物は、僕が小声で言った、他人から聞いたら街に対しての誹謗中傷にも聞こえるそれに怒ってきていた。
『えっ、じゃないわよ。貴方よ、あ、な、た、!』
「ごっ、ごめんなさい!え、えっとぉ、そのあれは、別にこの街を貶したようにいった訳ではなくてですね?そのぉ、なんといぅ…
『はぁぁっ?さっき、おもっきり言ってたじゃない。この街に対しての不満を!』
「かぁ……」
どうしよう、この子めんどくさい!人の話を最後まで聞いてくれないばかりか、不満を言うことにすら怒り始めている。どんだけこの街のこと好きなんだよ!?