お姫様を守り続ける騎士
この話のタイトルの『騎士』は、『ナイト』と
読んで下さい。
「ハァ…ハァ」
「おい! あのガキどこに消えやがった!」
「兄貴! アッチの方探しましょう!」
「何があってもあのガキを捕まえろ! そしたら、好きなだけ酒を飲んだり、遊んだりできるぞ!」
「なんたってあのガキは【エルミアナ王国】の第一王女のリーナ姫だからなぁ!」
「身代金でウハウハだぞ!」
この時のリーナは、5歳日本で会談が、行われる為、母親に着いて来ていたのだが、退屈で抜け出したところを見つかってしまっていたのだ。
「兄貴! 見付やしたぜ!」
「本当か! 捕まえろ!」
「嫌! やめて!」
(怖い! 怖いよ。誰か助けて!)
「おい! やめてやれよ、おっさん!」
そこには、屋根の上に立っている少年がいた。
その、少年は月に照らされ、あまり顔がわからなかった。しかし、リーナからしてみれば、良くわからない少年が、姫を救い出す勇者に思えた。
「なんだって! おいおいガキじゃねぇか!」
「おっさん、聞いてなかったのかな? やめてやれ!」
「大人に対する態度がわかってねぇみたいだな」
「兄貴! あんなの俺一人で、充分ですよ!」
子供は大人たちに対してこう言った。
「早くしてくれ、そろそろ帰らないと、先生に怒られる。」
その態度が気に入らなかったのか、男達は懐から銃を取り出した。
「もう許さねぇ! 絶対殺す!」
「ダメェ! 逃げて」
男の言葉を聞いてリーナは、少年が傷付かない事だけを思って逃げることを勧めた。
「困っている女の子を見捨てて帰ってきたら、それこそ先生に怒られる!」
男達は少年に向けて弾を撃った。
「危ない!」
少年は、弾の軌道を見切ったかのように動き始め、持っていたのか、木刀で、男達に襲いかかった。
「遅いんだよ!」
一瞬にして、男達との間合いを詰め木刀を降りかざした。
その攻撃により、男達は気を失ってその場に、倒れこんだ。
「おい、大丈夫か?」
「えぇ」
「なら早く立て、男達が、目を覚ますぞ!」
「うん…」
「あの…助けてくれて…ありが…とう」
「別にいいよ! お前の名前は?」
「私の名前は…リーナ・エルミアナ…」
「俺の名前は【城月幸樹】俺が、捨てられた時に、この木刀が一緒に置いてあったみたいで、その木刀に城月って彫られているから、勝手に本名は城月幸樹だと思ってる。」
「捨て子なの?」
「あぁ」
「悲しくないの?」
「何が?」
「捨てられたことが…」
「別に、あと、引き取り手が見つかったしな、一週間すれば、俺は、【嘉神幸樹】になるしな。」
「ところで、ここは、一ノ瀬ホテルからどれくらい離れているの?」
「一ノ瀬ホテル? ならすぐそこだ。」
一ノ瀬ホテルを経営しているのは、一ノ瀬グループと言って、日本で誇る最高級のホテルである。
そのホテルで会談が行われているのだ。
二人は、一ノ瀬ホテルに向かっている間の時間喋っていた。
「えぇ!! お前! お姫様だったのか!」
「うるさい! そんなに大声で喋らないで!」
「ご…ごめん」
リーナは、幸樹と話している間今までの口調から、素の口調になっていた。
「あれ?ってか、お前お姫様なのになんで護衛がいないの?」
「私に護衛何て要らないの! 欲しいのは、騎士だけ!」
「騎士?」
「だって、お母様が、騎士はいい人って言ってたから。」
「なら騎士が欲しいって言えば?」
「言ったわよ! 言ったけど、騎士は与えてもらう物じゃないって…」
リーナは悲しそうな表情をしながら下を向いた。
「そうか…あっ!」
「どうしたのよ?」
「なら、俺が騎士になるよ! なるんだったらいいだろう?」
「幸樹が私の騎士だって? 笑わせないでよ! 幸樹が、私の騎士になれるわけないでしょ!」
「あぁそうですか、すみませんね!」
「まぁ…いいわ」
「何が?」
「【城月幸樹】貴方は、私が、騎士を持つに相応しくなったら、貴方を私の騎士として迎え入れるわ!!」
「さっき、なれるわけ無いとか、言ってたけどね…」
「う…うるさい! いいから返事は!」
「わかったよ…」
「よろしい! あら、もう着いたわね。」
「それじゃあ、またな、お姫様」
「えぇまたね、私だけの騎士」
そうして二人は、未来の再会を誓い、別れるので、あった。
だが、このときの幸樹はまだ知らない。
リーナの出身国の『エルミアナ』には2つの意味の騎士があることを……