災難はラブコメにつきもの
「えっと、1年A組は、おっと此処か」
ガラガラという音を立てながら扉を開けて見ると、ある意味見慣れた光景が広がっていた。
「やっと来てくれた。こいつが暴走しだして困っているんだ。手を貸してくれ!」
「俺と一晩遊ぼうよ! 夢乃」
「助けて、幸樹! 未来の嫁が助けを求めているのよ!」
「おいこの変態ナンパ野郎入学早々変な事するな!!」
変態をなんとか、取り抑えているのが、幼馴染の【黑神龍】
抑えられているのが、幼馴染の【木嶋春】
助けを求めているのが、幼馴染の【星野夢乃】
「お前ら平常運転すぎんだろ。ある意味尊敬するわ」
「それより、嫁を助けてくれないのはどういう事なの」
「嫁じゃねぇし…」
「何よそれ! 私は貴方のものなのよ!」
「誤解を招く言い方はやめろ!!!」
確かに星野夢乃という人物は黒髪ロングのストレート。胸も大きい方なのだろう。ラブコメ主人公に憧れている俺からしたら、超絶ヒロインなのだろう…けれど、どちらかと、俺のタイプは夢乃に、落ち着きの加わった清楚系が好きだ。 そして何故、自分が将来の嫁発言しているかは、11年前の夢乃を助けてしまって以来、俺を王子様と誤解してしまうほど、馬鹿なのだ。
(同じクラスに龍が、いることは、非常に嬉しい…だが、変態ナンパ野郎と自称嫁と同じというのは、悔いても、悔やみきれない。)
そんな事を考えていると、俺と、龍は、目を合わせて、同じ事を考えた。
((春が、学園の生徒にナンパしていると、男は、このような変態生命体と誤解されてしまう。どうしても、それだけは、阻止しないと!!))
すると、始業のチャイムがなり、担任だと、思われる先生が教室に入って来た。
綺麗な黒髪をひとつに束ねた20代前半と思われる女性
(あぁ この先生も俺のラブコメヒロインなのだ)
「席につけ、早くしないと ブチ殺すぞ!!」
(あぁ 違ったのだ。数秒前の自分を怒りたい)
「このクラスの担任の【桃瀬言ノ葉】だ」
「クラスの自己紹介は始業式の後で行う」
教室に数秒の沈黙が起きた。
「早く体育館に行けやぁぁぁ!!!」
(俺は思った。この人よく教師になれたな。と……)