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夜天幻時録  作者: 影光
第3章 秋星大祭編
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第69話 穢された過去

 十八年前、北欧中部。

 季節は秋下旬、この時季に降る雨は特に冷たく、気温もぐんと下がる。

 そんな雨に仰向けで寝転がり、感傷に浸るのは、趣味ではなく安堵からだった。

「はぁ~あ。やっぱりダメだったかぁ~」

 天を仰ぎ、降りしきる雨に数千、数万と身体を射たれても、少女───小薙(こなぎ)美琴(みこと)は一ミリたりとも動こうとしなかった。

 いや、動けないのだ。

「ははッ。これが、序列一位の力量(チカラ)継ぐ者(わたし)の、役目(げんかい)…………」

 美琴は、感傷に浸る。

「儚いな……。脆いな………。『人類(ヒト)』の願望(ゆめ)とは…………」

 最期の一瞬まで。最愛のモノを残し、最善の希望を委ねて………。

「美琴ッ!!」

「あ…………」

 そんな美琴の元へ、最初で最後の親友が現れる。

「ユ、フィ………」

 その者は、《聖導図書館(グリモワール)》に所属していた過去があり、美琴の正体を最もよく知る少女───ユーフィリア・オズ。

 この時のユーフィリアは、《魔導協会》に籍を置いていても、序列は圏外。他の《聖導図書館》とは違い、彼女は『強さ』という地位に興味はなかった。

 そんなユーフィリアが唯一興味を持っていたモノ。それも今となっては消えかかる灯火。

「どうして…………」

 美琴の側で膝を着き、美琴を懸命に想うユーフィリアの姿に、美琴は最後の希望を託す。

「やっぱり。私でも届かなかったみたい…………」

「美琴………」

「凄いよね、あの人は……」

 どんなに消えかかりそうな生命(いのち)でも、ユーフィリアは必死にその(みち)を繋ぎ止め続ける。

「私は………もう、ダメ……だよ………」

「そんなことないッ!」

「だからユフィ、お願い………。あの子を……隆充さんを、助けて……………」

 まるで、ユーフィリアの言葉が届いていないかのように、美琴は言葉を紡ぐ。

「あの人は、私たちの……希望………」

 その言葉を最期に、何の手掛かりを伝えることなく、美琴はこの虚構の世界から姿を消した。


 それから半年ほど。

 途方に暮れていたユーフィリアであったが、美琴の遺言でもあった『隆充』という人物の事を思い出し、現状で出来る限りの手を打った。

 しかし、どんな手を打っても、そのような人物が見付かることはなかった。

 そもそも、ユーフィリアはその人物の姓も性別も、顔さえも知らないのだ。

 それは、あまりにも無謀な唯一の情報だった。

 そんな中、唯一の手掛かりと言えるのが、美琴を追い払った後の《魔導協会》の動向。そして、『隆充』という人物が過去に所属していたとされる《聖皇教会》の存在。

 まず《魔導協会》の方はというと、大きな動きが見られた訳ではないが、途端の人事異動と序列の再審議が即座に行われた。

 主に北欧を中心として勢力を確立している《魔導協会》。彼らは、今まであまり眼を向けてこなかった南蛮に二~三%ほどの人員を派遣した。

 これにより西洋・南蛮を中心ととしていた《聖皇教会》の勢力をさらに分散。

 この後に、南蛮では六年前の事件が勃発。その前触れであったかのように東方に大きな影響が与えられた。

 美琴が亡くなった一件から二年後、ユーフィリアは手探りの情報で何とか今までで一番大きな手掛かりを入手する。

 始めは、《聖皇教会》の異様な行動を探るだけの予定であった。

 それは、《聖皇教会》序列八位の人物が、東方へと渡ったとの情報だった。

 その情報の後、少し遅れて東方へ渡るユーフィリア。しかし、ユーフィリアは肝心のその序列八位の人物の正体を知らなかった。 名前はおろか、その風貌、あるいは二つ名や異名なども知らないまま。

 それでも、ユーフィリアはその人物を探し続けた。

 その人物が何の目的で東方の地に足を踏み入れたかはまだ明確でないが、ユーフィリアには一つだけ心あたりがあった。

 《聖皇教会》も《魔導協会》も、現状はほぼ一緒。

 とはいえ、《聖皇教会》の方はそれなりの異変が生じていた。

 《魔導協会》序列三位の小薙美琴が亡くなったことはさておき、同じく《魔導協会》に所属していた序列二位の《魔女》の失踪。

 《聖皇教会》では、序列一位《匣使い(ハンドラー)》、序列四位の《大天前》、序列九位の《鋼鉄聖女(アイアン・メイデン)》の他四名が行方を眩ませていた。

 この事態を機に、《聖皇教会》は各辺境地にあった施設のいくつかの停止を余儀なくされた。

 元々、《聖皇教会》には《魔導協会》の一部である《黒導詩書(グリモア)》のように、叩けばいくらでも戦力を生み出せる組織を有していない。

 そして、大きな変動を受けた序列。急激に序列が上がったことで、その多くが無理難題な依頼を受けていることだろう。

 その中でも、《聖皇教会》が特に力を入れたのは、《錬金術師(アルケミスト)》の育成だった。

 十八年前の一件の原因とも言えたのが、師法(しほう)隆充という当時は序列十八位であった〈理の錬金術師〉と呼ばれていた男。

 その人物こそが、小薙美琴の遺言とも言える言葉に出てきた人物。

 師法隆充は、このセカイで初めて《人工生命体(ホムンクルス)》を創造した人物と言われている。

「師法……、ホムンクルス………」

 ユーフィリアにとってはその二つが引っ掛かっていたが、別に直接的な関係があるわけではなかった。

 特に関係あるわけでもない事を考えながら、最も情報の濃かった場所に到着する。

 そもそも、何故師法隆充は《聖皇教会》に追われ、《聖皇教会》は彼を排除しようとしていたのか。

 導き出される答えは一つしかないのだが、ユーフィリアにはそれが一番奇妙な動機に感じていた。

 元々、《聖皇教会》は武術、主に騎士道を重んじる者達の集合体であった。しかし、時代が進むに連れ、その存在は奇薄となり、次第に《魔導協会》のような技術を取り入れるようになっていった。

 だが、その技術が魔術へと変貌することはなく、その技術は科学を発展させたような代物へと書き換えられていった。

 そして、そんな改革から数百年。《聖皇教会》は、ようやく『錬金術』という魔術に並ぶ技術を発明する。

 それでも、そこからの道のりは果てしなく遠かった。

 『錬金術は科学の応用』。

 人類(ヒト)の知恵では、それが限界であった。

 つまり、所詮は『魔術の真似事、科学の外道化』。そう呼ばれるに相応しい見栄にすぎない。

 魔術は、魔物を特に魔獣を造り出すことが出来る。そう考えた時、錬金術には何が出来るのだろうか。多くの者が、その解に葛藤していた。

 そこで、大半の錬金術師は錬金術ならではの『生物』を生み出すことに考え至る。

 その道は、今まで以上に途方で無謀な挑戦であった。

 そもそも、《聖皇教会》は信仰の祖。

 人が生殖以外で生物を生み出すことを良しとするはずがなかった。

 そう。師法隆充は、そこを利用されたのだ。

 〈人工生命体〉を造るように命じたのは《聖皇教会》であったが、その《聖皇教会》側がそのような掟を破るような者を野放しにするはずもない。

 既に、第三世代までの復元に成功していた師法隆充。

 だが、《聖皇教会》はそのことを知らない。

 《聖皇教会》上層部が知っているのは、人類の叡智で、生物を生み出すことが可能だという現実だけ。

 その為、《聖皇教会》は〈人工生命体〉の製造方法を一切知らない。

 おそらく、《聖皇教会》序列七位の人物がここ東方に来ているのは、師法隆充がこの地に逃げ延びているとの情報があったからだろう。

 ならば、ユーフィリアのすることは一つ。

 その序列七位の人物に見つかる前に彼を見つけ出し、無事に保護すること。

 だが、この時のユーフィリアには、一つだけ問題があった。

 それは、彼女が現在身寄りが無いということ。

 その理由は、師法隆充とは違えど、全く違うとも言い難い。

 元々、ユーフィリアは《魔導協会》の、特に《黒導詩書》の存在に疑念を感じていた。

 誰が設立し、何時から存在していたのかは定かではないが、その存在はこのセカイに根強く存在してはいけないもの。

 だから、ユーフィリアは《魔導協会》内での序列というものに拘らなかった。

 だからこそ、《魔導協会》と対立関係を築きかけている。

 そんな過去があっても、そんな理由があっても、ユーフィリアはお構い無しだった。

 自分がこの地にいる意味も、この地に居続ける理由も、全て自分自身の為になるはずだと信じていたから。

 そして、長き思考の末、ユーフィリアはようやく序列七位の人物の正体を判明させた。

 その人物の名は、アルベルト・オルライト。若手の錬金術師であった。

 しかし、ユーフィリアの行動はこの時既に遅く、その男の元へ辿り着いた時、アルベルトは既に亡くなっていた。

 その後、北欧、西洋で起こっている戦禍は、ついに東方、南蛮へと拡がっていく。

 その事が気にかかったユーフィリアは、急いで戦地・東海地方へと向かった。

 戦禍は思っていた以上に早々に各地へと拡がっていた。

 それは、この東方を任されている人物の実力。

「けど、思っている以上に早いな」

 ユーフィリアにとっては、それが一番気掛かりであった。

 この手際は《聖皇教会》と《魔導協会》のどちらかであるのだろうが、その少し前のアルベルトが殺られたことを考慮すると、犯人はおそらく《魔導協会》の人間。それも、序列七位である彼よりも高い戦闘能力を持つ人物に限定される。

「…………まさか……………」

 思考し続けて行き着く、たった一人の少女の存在。

 確かに、彼女ならばそれが可能だ。

 しかし、彼女があの殺害を行い、この事態を引き起こす理由が思い当たらない。

 実力は十分にある。だが、どうしても確実に断言できる意図がない。

 そして、結果彼女との再会は果たされ、その意図は判明した。

 だが、それは心苦しい言い訳に聞こえた。

 それでも、彼女の実力は申し分なかった。

 彼女に敗れたユーフィリアは、代償として《聖導図書館》としての権能(チカラ)を封じられた。

「リン…………」

 その後、ユーフィリアは残った気力と体力で、掠れる少女の気配を探して歩き出す。

「そんな…………」

 しかし、現実はまたしても無惨だった。

 どうにか辿り着いた残された希望。

 それは、既にこの世を去った後の抜け殻のような姿だった。

「私はまた、護れないの…………?」

 ユーフィリアの身心に、その言葉が深く突き刺さる。

 これで、ユーフィリアは全ての行き場と居場所を失った。

 その現実が、ユーフィリアを堕策へと誘う引き金となる。

 悲しみも痛みも全てを流したユーフィリアは、今まで頼ってこなかったモノを頼りだす。

 自分が《聖導図書館》・《魔導協会》にいた事を隠し、当時成長株として有名だった双葉聡一郎の元を訪れ、彼の偽娘にしてもらえるように取り繕う。

 この時の聡一郎の歳は、まだ二十歳前後。

 若くして昇るその道は、途方もなく遠く、絶望する程に険しかった。

 ユーフィリアは、そこを狙って利用しようとした。

 ユーフィリアが挙げた功績は、聡一郎の実力を証明するに十分で、それがきっかけで聡一郎はその後史上最年少での栄光と勲章、そして役職を得る。

 そして、飛ぶ鳥を落とすかの如くに聡一郎はたった五年で自衛局総督の座を手に入れた。

 当時、聡一郎は今まで大切にしてきた中で、最も大事なモノを失っていた。

 その悲劇を埋めるかのように、まるで鬼の如き采配で各所の問題を手当たり次第に解決していく。

 それは、ユーフィリアが問い詰めたかった『師法隆充』捜索も視野に含まれていた。

 自衛局全体が、最も難解で謎な問題にようやく取り掛かったが、その答えはそれほどの刻を有さず解決された。

 しかし、その問題は誰も予想していなかった、いや。ユーフィリア以外は誰も予想など出来ようはずもなかった。

 それが、十三年前の出来事。

 長年の至難な案件であった、無所属の孤島の周辺国家との併合問題。

 それは、聡一郎でさえ見落としていた問題であり、ユーフィリアが最も疑念に抱いていた存在。

 その孤島の名は、《斗》。

 その島には、国と呼べる制度も、国として成り立たせる法案もなかった。

 それ故、その存在は前人未到で曖昧なモノ。

 踏み込むことさえ恐れが邪魔するが、それは一般人の場合のみ。

 そんな人種(モノ)とは無縁なユーフィリアは、その島唯一の大きな建物に一目散に突撃する。

 初めて踏み入れる地で、これほど簡単に居場所を突き止められるのは、単にもうすでにこの地は戦地跡のような状態になっているからであった。

「副隊長、三分の二連れて街の救護にあたって」

「はい」

「三人ほど此処に残って本部に現状報告と緊急要請。残りは私に連いてきて」

「はい」「了解しました」

 ユーフィリアの無駄のないテキパキとした指示に、隊員達は無駄口を叩くことなく行動する。

 師法研究所、背渡廊下。

 入口から入ったその先は、途方もなく感じるほどに長い廊下が続き、目の前およそ五十センチほどしかはっきりと見えない。

 建物内は真っ白な煙で充満しており、すぐそばにいるはずの隊員の姿すら虚ろな有り様。

 それでも、ユーフィリアは迷い止まることなく前へ前へと進んでいく。

 ユーフィリアと共に研究所へと入ったのは僅か五名。ユーフィリアは各隊員達を個々に散開させ研究所内の調査を開始した。

 自衛局の目的は住民の救護活動に変更されていたが、ユーフィリアだけは変わらず要人の捜索を第一として所内を散策する。

 そして、五分ほどが経過した頃。

 ユーフィリアは、最初の住人を発見する。

「大丈夫ですかッ?」

 丁寧な口調で、その男の元へ駆け寄る。

「あ、れ………キミは…………?」

「自衛局の者です。救助に来ました」

 嘘は吐いていない。だけど、ユーフィリアは自分の言った言葉に疑問を感じた。

「あり、がとう…………。だけど、まだ奥に………私の子供、が………」

「ッ!」

 息絶え絶えのその男こそ、ユーフィリアが五年近く探し続け、小薙美琴が口にしていた人物───師法隆充である。

 本来なら、隆充の子供を探す為にも急いだ方がいいだろう。しかし、現状はそう甘くない。

 此処で即座に飛び出せば、この男の命は更に危険に晒される。かといって、此処でじっとしていては、この先にいるであろう隆充の子供の命も架かっている。

 それは、窮地の選択であった。

「双葉隊長、コチラには誰もいないようで───って」

 それはまさに、神のご加護と呼ぶべきか。タイミングでも見計らったかのように、別行動を命じていた隊員が二名近付いてくる。

 報告しようとしていた隊員の片方が、ユーフィリアの腕の中の男に気付き慌てたようにその役割を替わる。

「二人はその人を連れて、先に外に出てて」

 ユーフィリアは、すっと立ち上がり、ゆっくりと踵を返す。

「隊長は?」

「ん?………その人の話では、この先にその人の子供がいるみたいだから───」

「えっ?じゃあ………」

「うん」

「お、お止めくださいッ!」

 必死に止めようとする隊長二人。

 ユーフィリアは、彼らのその行動に歓喜を覚える。

 けれど、その程度の事では動じない意志が、ユーフィリアの中にはすでにあった。

 ユーフィリアは、優しげな眼差しですでに気を失っていた師法隆充に視線を向ける。

 彼の存在は今なお危険だ。だけど、それを覆せるほどの価値がある。

 何せ、あの《聖皇教会》も《魔導協会》も、この男を捕らえる為に多くの人員を当てたのだから。それに、彼は今でも知らないだろう。

 彼には、彼を一番に一人の男(ヒト)として見ていてくれた人がいることを。

 そんな彼女の想いに応える為にも、ユーフィリアはどちらの命も救う覚悟を決めた。

 そして、隊員達の必死の説得を振り切り、ユーフィリアは研究所の奥へと進んでいく。

 研究所内は思った以上に、外見からは想像できない程に広かった。

 それに、研究所に設けられていたいくつもの私設。

 その一つ一つから、ユーフィリアにとってはとても懐かしい香りと光景を印象付けさせた。

 隊員達と別れてから、およそ十分近く。

 ユーフィリアは、唐突に懐かしい気配も察知する。

「アリスの予見。的中、みたいですね?」

 その言葉も声も、ユーフィリアにとっては懐かしく感じるはずのものでも、今では怒りに染まった敵意の方が大きかった。

「お久しぶりですね?オズ」

「ラプンツェル…………」

 目の前に立っていたのは、同郷であり、《黒導詩書》に名を連ねる人物。

「その担いでいる子。こっちに渡してもらえないかな?」

 しかも、その人物はユーフィリアが探していた師法隆充の子供を拐おうとしていた。

「それはできません。これが、今回のお役目ですから」

 素直に、そして正直に。

 それが、ラプンツェルと呼ばれた少女の信条であり、生きざまであった。

「ですが、アナタが探している師法隆充さんのお子さんは、別の方ですよ?」

「へ?」

 突然の方向転換に、ユーフィリアは呆気ら間としている。

 ユーフィリアがそんな言葉で気を取られている合間に、ラプンツェルと呼ばれた少女は瞬時にその場を離脱していた。

 我に還ったユーフィリアは、最初怒り心頭であったが、よくよく考えて少女の言っていたことを思考する。

 ラプンツェルという少女の事をよく知るユーフィリアは、彼女の性格を当然の如く理解している。

 その為、この場の事はひとまず保留し、ユーフィリアはさらに奥へと進みだす。

 目的の子供は、無事そちらで発見され保護されたのだが、その前に救助された師法隆充本人は、本部への護送途中に息を引き取っていた。

 その事は、後にその男の娘、師法結羽灯(ゆうひ)に伝えられ、それなりに壮大な葬儀を行い、結羽灯はこの後、ユーフィリア直属の部隊に所属しそれなりの恩恵を受けることとなった。

 この事件から五年後、第零号自衛小隊が設立され、その二年後の事件で一次解体されたが、それから数ヶ月後には新たなメンバーを加えて再設立。

 その四年後には、大きな後ろ楯を得て、後の神威柚希を救出。

 それが、最後の引き金であった。

 この時、すでにこのセカイの役割は果たされ、セカイは一度、他の世界から見放されていた。

 しかし、それからさらに二年後、柚希が現況秦を訪れたことでセカイは《計画》という動力源を得て再び動き始めた。

 何も残っていないはずのこのセカイで。何も果たせないこの環境で。ユーフィリアや柚希は何を想い行動するのか。

 それが今、問われているのであった。


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