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夜天幻時録  作者: 影光
最終章 冬郷輪廻編
101/102

最終話 虚無と無限の狭間で

 何時だって、僕と『彼ら』は一緒だった。

 それは、一心同体の存在と言っても良い程に。

 しかし、彼女は違っていた。

 僕の『記憶』と『未練』を受け継ぎ、その本当の意味に触れた。

 そして、そんなモノに流されることもなく、自分というモノを持ってこの《計画》に関わっている。

 それは、考えもしなかった展開であり、もしかしたら、状況を覆される事もありえると畏怖していた。




 選択は、決して間違っていない。

 それはきっと、今のワタシにそれを覆すだけの(こころ)が無いというだけのこと。

 せめて、その情が何処に(・・・)あるのか(・・・・)だけでも解れば…………。

 ―――……キ。……ず………。

 そう思考していた時、脳裏にどこか懐かしく久しい声が聴こえだした。

 その声に耳を傾ければ、少しだけだけど痛みが和らいでいくように感じた。

 ――─ユズキ、………柚希。

 そして、痛みにも慣れた頃、その声の言葉は鮮明に聞こえてだす。

 ―――さぁ、柚希。あともう少し、終わりはもうすぐそこまで来ている。

 ワタシは、その言葉で勇気を貰い、再び身体に《皇力(ルーン)》を流し込む。

 けど、今度はただ流し込むのめではなく、全身に行き渡るように《皇力》を循環させる。

 ―――これで、《最終決戦》への『準備』は整いました。───さぁ、名前を呼んで。アナタが想い描く、アナタだけの私を。

 ワタシは、その言葉に促されるように、左手を天に突き付けその名を叫んだ。

「────来いッ、《桜光の断剣(コノハサクヤ)》!!」

 その名に呼応するかのように、ワタシの両の目が反応する。

 しかし、痛みは全くと言っていいほど感じられない。おそらく、彼女がそういう風に変換させているのだろう。

 黄金色を帯びた桜色の光が天高く射光した次の瞬間、ワタシの目の前に懐かしい剣刃(ソレ)が出現した。

 ワタシの意思が具現化した時、その反動で〈煉獄(セカイ)〉から『瘴気(いろ)』が奪われる。

 それは、この世界の終わりを報せていた。

「柚希ッ」

 後方から、風音さんの呼ぶ声が聴こえる。

 だが、ワタシはそれに呼応しない。

 今のワタシにあるのは、この〈先〉をどう繋ぐかだけ。

 過去の記憶では、この先には何も無いとされている。

 だが、今のワタシは、もうあの時の〈彼〉ではない。

 ───ゴゴゴゴォォッッッ…………ッ!!!

 崩落の影響は、遂にこの〈煉獄〉をも巻き込み始める。

「柚希ッ!」

 風音さんが、再びワタシの名を叫ぶ。

 けれど、その音響はこの場の地盤を裂き割ることで、相殺され皆の行く手すら失わせた。

「これが《崩落》、世界の行く末…………」

 もう届かぬ声、抗えぬ定め。

 その現実を突き付けられた時、彼女達の意思は脆く儚く喪われていく。

 そんな彼女達を遠目に見やり、ワタシは《影皇》の権能(チカラ)を用いて目の前に《(ゲート)》を出現させた。

「柚希…………?」

 皆の驚嘆の声を無視し、ワタシは《門》を潜った。

 潜った先は、更に何も無いまるで虚無のようなセカイだった。

「此処は…………」

 ワタシは思わずそう呟いた。

 ―――〈黄昏の大地〉。別名、ロストアースとも呼ばれる元の世界(・・・・)

 ワタシが腰にさげている剣刃から、そんな返答が返ってくる。




 数週間前────。

「ん………、あ。ふあぁぁ~~…………」

 何も無いはずのセカイの底で、一人の少女が目を醒ます。

 色を失ったセカイの底には、唯一その影響受けていなかった部屋がある。

 まるで異空間に存在しているかのようなその部屋は、一軒家の住居には似つかわしくない程の面積を持つ。

 朱髪の少女は、目を醒ましてしばらくは永き眠りの温床に苦しんだ。しかし、それは数分程で治まった。

「此処は…………」

 朱髪の少女は、底から出て外の景色に唖然とした。

 其処は、自分達がかつて暮らしていた世界とは異なり、総てが無へと期した光景のみが拡がっていた。

 朱髪の少女は底へ戻り、他の少女達を待つ間にこれまでの出来事を振り返った。

「たしか………、世界大戦が勃発して───」

 唐突に始まった第三次世界大戦。

 それは数ヶ月ほどで終息した。だが、その数日後、世界は未曾有の大戦へと発展した。

 西洋と南蛮の間にある数ヵ所の海峡のみで繰り広げられた戦線は、いつの間にか世界全土を巻き込んでいた。

 被害も、始めは数千人の死者と数万人の重軽傷者で済んでいたが、後に、総ての人類、生きる者全てへと及んだ。

「あれから、どのくらい経ったんだっけ……?」

 ふと、元の記憶を振り返る。

 刻はそれほど経っていない。

 いや、むしろこの惨状では何も変わろうはずがなかった。

「ん……。…………あれ?火乃華、ちゃん………?」

 思考している内、カプセルの蓋が開き、中から蒼髪の少女が眠たげに目を擦りながら小首を傾げた。

「コッチでは《炎桜柱(ヴェルヴェート)》だよ。《氷桜柱(オピアヌス)》先輩?」

「あ、そっか。ゴメン………」

 謝罪しながら、蒼髪の少女はカプセルから出て現状を再確認する。

 それから、数日毎にもう二人の少女が帰還した。

 そして、少女達は〈虚〉と〈幻〉の世界を重ねて思考し、それから更に数日後に〈彼〉の元へと向かった。




 元の世界とはいえ、此処は《黄昏の大地》。

 何も無いようで、総てが満たされたセカイ。

 虚構とは違い、幻想とは程遠い淋しく虚ろな空間。

 そして、あの〈煉獄〉よりも尚深い場所にあるだけあって、そのセカイは独創的で妁暝だ。

 此処も《十の世界》と同じく元の世界の一部であり、ある一定の条件の下今もこうして存在し続けている。

 その条件の一つに、今ワタシが向かっている《組織》の『本拠地』がある。

 本来のセカイであれば、其処に到着するまでに一月以上は掛かってしまう。だが、〈煉獄〉と同じように、目的地までは限定された路が存在する。

 ワタシは今、その路を疾走していた。

 目的地までは数分ほどで着くと、《桜光の断剣》が言っていた。

 何も無い焦土のセカイ。

 眼前に拡がるのは、暁色の空と灰色の大地。

 それはまさしく、セカイが血塗られた時間で止まってしまっているかのよう。

 ―――《塩の標》に、《暁の宮殿》……………。此処もまだ、満たされてはいないようですね。

 道中、《桜光の断剣》は何やら気になることを呟く。

 多少気にはなったが、ワタシはそんな素振りを見せることなく一本路をただひたすらに駆け抜ける。




 たとえ届かぬ声であろうと、彼女達には叫び続ける理由があった。

「ぐっ………、ま、まだ───」

「なかなかしぶといな…………」

「当然。私たちは、この程度じゃ諦めたりしないよ」

「そそ、先輩を取り戻すまではねッ」

 救ったところでどうしようもない事だが、少女達はそんなこと関係無しと言いたげに何度も何度も立ち上がる。

「……………」

 そん少女達に、少年はただただ呆れていた。

「ホント、キミ達は変わらず諦めないな」

 そう呟き、少年は剣刃を握る手を一層強める。

 そして、少女達の想いを粉々に砕くべく、思いっきり地を蹴り少女達へと猛進する。

 ────が。その刹那。

 少年の攻撃は寸手の所で防がれ、少年の身体は初めて未知の感覚を得る。

「なんとか間に合いましたか…………」

「皆さん!今、回復しますねッ」

 天からの助けのように降って来た銀髪の幼女と、後方から追々ようにやって来た桜髪の少女。

 銀髪の幼女が少年の剣閃をはね除けて少女達との間に着地し、その数秒と経たぬ内に少女達の後方から声が翔び、少女達の心身はほぼ同時に満腹位置にまで回復される。

「え、えと………」

 助太刀に悦ぶべき状況なのだが、少女達の目の前には有り得ない状況が少女達の思考を優先させた。

 その体躯も風貌も、確かに見覚えがある。

 だが、何かが違う。

 そう誰もが感じざるを得なかった。


 その数分前───。

 ワタシは、《暁の宮殿》と呼ばれる《組織》の本拠地の前まで来ていた。

「この先に〈彼〉がいる」

 そうワタシの隣で、懐かしい少女の声が聞こえる。

「……………」

 何だろう。こう、胸に小さな違和感がある。

「十年……、いえ。七億年と数十年…………」

「ま。アナタにとってはそうでしょうね」

「咲良さんは違うんですか?」

 ワタシの隣に立つ桜髪の少女───百瀬咲良はワタシとは違い感慨に浸ることもなく、何処か懐かしむように目の前の建物を見据える。

 当時は別の呼び方がされていたようだが、今はどうでもいいし咲良さん自身も知らないようなので頭の片隅にでも留め、ワタシは建物の扉に手を伸ばした。

 その扉はギィィィ……という重たく冷たい擦り音を発ててゆっくりと開かれる。

 そこから先は、これまでと違い普通の建物の内部を模した空間だった。

 何の変鉄もない石造りの通路や部屋。

 何も無いはずの内部。けれど、そこには確かに『生活感』は存在している。

 不可思議な感覚に戸惑いながら歩くこと数分。最も気配の強い部屋の前まで到達した。

 澄ませれば、中から感じられる気配は、五つ。

 道中、咲良さんから聞いていた話と一致する。

「……………」

 更に澄ませれば、気配の『波』は入り交じるように激しく蠢いていた。

 そして、ワタシは咲良さんと目配せをして、部屋に突撃する。


 部屋の中は、感じたものより酷い有り様だった。

 きっと、手加減はされている。

 だからこそ、歯止めが効かなくなったとも言える。

「ゆず、き…………?」

 少女達の一人が、ワタシの名を恐る恐るといった感じで呟く。

 無理もない。今のワタシは、彼女達の記憶しているワタシとは少しだけ異なっている。

 純銀のようだった髪は桃掛かり、左右異なる瞳は碧黄色(トパーズブルー)に変色していた。

「どうやら、〈影の王〉まで取り込んだようだな」

「………え?」

 その言い方には、少し語弊がある。だが、その推察はあながち間違いでもない。

「それは少し違いますよ」

「〈(ワレら)〉は、自ら望んでこの『選択』をしたんだ」

「────ッ!」

 聴こえるはずのない声が聞こえ、ワタシ以外の全員が驚愕する。

「どう、して…………」

 中でも、一番驚いていたのは、〈彼〉だった。

 ありえない。そんなはずがない。といった情内がその表情に大きく出ていた。

 だけど、その答えは既に過去の中で判明している。

 それは、〈彼〉がずっと否定し聞き流し続けてきたもの。

 だからこそ、気付けようはずもなかった。

 しかし、それは〈影〉達(カレら)も同じだった。

 当たり前のように存在していたからこそ、誰も互いを本当の意味で理解など出来ていなかった。

「ハハッ……!だから何だって言うんだ」

 だからこそ、余計に認められなかった。

 生者が死者に亡れないように、死者が生者に戻れないように。

 決して交われない、理解されない覚悟が、〈彼〉にはあった。

 至れぬ世界、届かぬ境地。

 〈彼〉が纏っていた瘴気にも似た禍々しき気配は、より一層濃くなった。

「フッハハハハ…………!!」

 その気配に呑まれるように、〈彼〉自身もまた禍々しい意識の渦を構築する。

「ユウヤッ!」

「こ、これって…………」

「兄さん……」「先輩……」「悠哉さん……」

 ワタシは、咄嗟の判断で腰に提げた小太刀を抜き、改めて〈彼〉を見据える。

「柚希!」

「いけそうか?」

 咲良さんの叫声、〈影〉の喚声、二つの心配そうな声音がワタシを余計に不安にさせた。

「だったら、意識をしっかり持って」

 ─────え?

「貴女は一人じゃない。もう、一人だけで何とかしようなんて考えないで」

 その言葉の意味を理解するより先に、ワタシの意識に『何か』が混流した。

 それは、権能(チカラ)だった。

 そう認識したワタシは、その権能に《皇力》を流し込む。

 その権能は、そよ風のように軟らかく、せせらぎのように穏やかな『波』を描く。

 そして、ワタシの身体もまた、それを体現する。

「ぐっ────!」

 二つの超越的な権能がぶつかる時、その場は一瞬にして焦土の海と化す。

「うくっ………」

「きゃぁぁ~~!」

 四人の少女達の盾となる咲良さん。しかし、その余波は予想以上に大きく精神を刈り取るように少女達を苦しめる。

「こ、このままじゃ………」

 表面上の衝撃は防げても、精神的な波紋までは防げない。

 そして咲良さん自身も耐えられなくなり、少女達は後方の扉に打ち付けられるように吹き飛ばされた。

「〈風桜柱(レティレミィ)〉!!」

 ワタシは、《神桜珠(アルディジャーノ)》の一つである権能の名を叫んだ。

 ワタシから放たれた〈風桜柱〉は、ワタシの権能を少しだけ間借りし、人類種(ヒト)の姿に人格化し少女達の元へ向かう。

 これで、ワタシの中には本来持っていた〈(ディンギル)〉の権能のみとなった。

 少しだけ優勢していた戦況は、一瞬にして逆転された。

 だが、それでもワタシはある程度の一線だけは越えぬように踏ん張り続けた。

 小太刀を握る手にありったけの力を込めて、小細工なしの力押しで挑む。

 その力か気か、〈彼〉は一時的ワタシから距離を取る。

 その一瞬の行動を見計らい、放れていた権能がワタシの中へと戻ってきた。

「…………ん?」

 だがそれは、思っていたより多かった(・・・・)

 それでもワタシは気にせず、権能を再び起動する。

「〈氷桜柱〉!」

 今度は違うカタチで、違う意思で。

 流し込まれた《皇力》は、小太刀の形状を錫杖に変貌させる。

 そして、錫杖を芦木で自身の足下を軽く小突く。

 炎海と化した地表の波と砂粒は、一瞬にして凍てつき少女達に与えるダメージを最低限に抑え込んだ。

「これが、キミ達の(・・・・)権能(おもい)か」

 ワタシには無い、彼女達の想い。

 ただそれだけを体現するように、ワタシは地を蹴り再び〈彼〉と剣刃を交える。

「〈炎桜柱〉!」

 〈彼〉と交えた剣刃は、囮。

 ワタシは、弾きあったその一瞬にも満たない刹那を予見し、太刀の形状を旋棍(トンファー)へと変え〈彼〉の鳩尾に数撃与える。

「う゛、くっ………!」

 よろめく〈彼〉の身体。与えたダメージは小さくとも、この一撃だけは不意の一手。効かないはずがなかった。

「〈聖桜柱(ペテルノウル)〉!」

 ワタシは一度距離を置き、旋棍の形状をさらに双銃へと変え、〈彼〉に追い打ちを掛ける。

 それでも、やはりダメージはあまりにも小さかった。

 だけど、攻撃の手を一切緩めることなく、ワタシは〈彼〉に攻撃を与え続けた。

 届かぬと解っていても、決して理解されぬと思い知らされていても、彼女達(ワタシ)は〈彼〉へ想いの丈をぶつけるように攻撃し続けた。

 もう、あまり時間はない。

 それが、ワタシ達の共通の認識。

 だけど、ワタシと彼女達とで、その認識に大きな違いがあった。

 彼女達は〈彼〉を助け出したくてずっと戦い続けてきた。

 でも、ワタシはそんな彼女達とは真逆。

 〈彼〉が、もう何も失わないように。誰も殺させないように。ワタシのこの手で〈彼〉自身を殺そうとしている(・・・・・・・・)

「そうやって、意味のないことに足掻き続けていったい何になる!」

 〈彼〉の怒声が戦場を反響し、少女達の想いを押し潰す。

 思った通りダメージは少なく、反撃の一手は今までにないほど重い。

 それゆえ、防衛も呆気なく、ワタシの身体は大きく仰け反ってしまう。

「ぐっ───」

「ふっ。流石に本来の権能までは出せないようだな?」

 〈彼〉が、確信を突いた事を言ってくる。

「そう……ですね。ですが、あまり関係はありません」

「ほう……?」

 もう決めた事。もう後戻りなんて出来ない。

 だから────


「グハッ!!ガッ、アッ……………」

「戻ってきて下さい!!」

「ハァハァハァハァハァ…………………グッ!!」

「どうして…………」

 皆がそう思っているだろう。

 だが、いくら傷付けられても、いくら身体を鮮血で染められても、〈彼〉が止まることなどなかった。

 その意志に、その思想に、ワタシ達は到底理解が出来なかった。

 当然だ。今の彼とワタシ達では、見ている世界そのもの自体が違うのだから。

 そうまでして、アナタは…………。

「だからこれは、小薙悠哉(ボク)なりのケジメ」

 〈彼〉は、大手を拡げる。

「さぁ………」

 きっと、これは『訣別』じゃない。これからの為の『道標』なんだ。

 だったら、ワタシは……………

「ユズキ…………」

 《桜光の断剣》は、心配そうにワタシの次の行動を待つ。

 ワタシは、《桜光の断剣》を握り直し、意を固めて真っ直ぐ〈彼〉を見やる。

「わかりました」

「……………(フッ)」

 ワタシの意に、〈彼〉は不適に微笑む。

 ワタシは一瞬身構えるが、もう後には退けないと悟り、《桜光の断剣》を振り上げた。

 降り下ろされ切り裂かれたその体躯は、呆気ないほどに容易い手応えのみを率直に体感させる。

 これで、総てが終わった。

「……………………」

 だけど、ワタシには一つだけ聞いておきたいことがあった。

「貴方の、本当の望み(・・・・・)は何ですか?」

「柚希?」

 皆が、ほぼ一斉に首を傾げる。

「キミはもう、解っているのでは?」

「……………」

 それでもワタシは、彼の口から聴きたかった。

 だから、敢えて沈黙を待ち続けた。

「………。自我が、欲しかった…………………」

「え?」

 その言葉に、皆が驚く。

「小薙悠哉の複製体でもなく、《組織》の手駒としてでもなく、ボクだけの、ボクなりの人生が──生命が欲しかった」

 それが、〈彼〉の『夢』。

 ずっと、叶わぬと知りながら、届かぬと思い知らされながら、抱き続けてきた〈彼〉なりの望み。

 だからこそ、ワタシは〈彼〉を殺すことを決意した。

 例え、これが最期の出逢いであっても、これがお互いに納得しあった上での結果。


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