何故か
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人物説明書は以下にあります。
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ヴァンが来た……一体何故今更になって来たんだか……と、気になって仕方ない。
まあ、恐らく先の破門騒動が何か関係していると思うのだけど。
ヴァンのお父様、教皇の任を解かれて捕らえられているみたいだし。
私のところに来るよりも、仲良くしていた面々を頼った方が良いと思うのだけどねえ……。
ユーリ・ノイヤー男爵令嬢……エド様の婚約者となって、それなりに発言力を得ている。
エド様は第二王子だし、外祖父であるマエリア侯爵は飛ぶ取り落とす勢いで権勢を誇っているし。
あー……でも、ベルンはお父様の下で仕事漬けの日々だから会うのが厳しいでしょうし、ドルッセンはドルッセンで騎士団に所属して以来忙しいみたいだし……。
とはいえ、私もそれなりに予定が詰まっているのだけど。
あー、もう本当にさっさと領に帰っちゃいたい。流石に、領までは押しかけて来ないでしょう。
彼と顔を合わせて何を言われるのだか……考えただけで面倒ごとの臭いがプンプンするもの。
「ただいま戻りました、お嬢様」
そんな事を考えていたら、ターニャが戻ってきた。
「随分早かったわね……?」
「ええ。さっさと帰っていただきましたので」
澄ました顔で、けれども言い捨てるように言った。
ターニャも随分イライラしているみたい。後で労ってあげよう。
「何か言っていた?」
その前に、聞かなければならない事を聞いておかなければ。
「いいえ。何も聞いてません……あの男が口を開く前に、とっとと追い払いましたから」
ターニャは笑顔だったけれども、その目は笑っていない。むしろ、彼女から発せられる雰囲気が冷たすぎて、寒気すら感じてブルリと身体が震えた。
どうやって追い返したのか、聞きたいけれども怖くて聞けない。
……まあ、ターニャも変なことはしないから大丈夫でしょう。大丈夫だと思いたい。
「もう、良いわ。彼のことを気にかけていても、仕方ないし。ターニャ、そこの書類を片付けておいて」
「はい、畏まりました」
それは良い笑顔で、ターニャは答えてくれた。
「……そういえば、お嬢様」
「どうしたの、ターニャ」
「ヴルドが、消息を絶ちました」
「まあ……」
ヴルドは、カリムの商会から追い出した後、念のためその動向を探らせていた。
ダンメの時のように恨まれて仕事の邪魔をされるのは、嫌だったから。
「……こちらに何か仕掛けてくるような動きは?」
「ルドルフ侯爵との接触はなかったですし……その他の貴族にも相手にされていませんでした。そもそも、何かを仕出かすような資金力は彼に残っていません。借金取りから逃げる為に消息を眩ませた……それが、一番可能性が高いかと思います」
「そう……。なら、良いわ。今後、ヴルドに割いていた分を、第二王子派の貴族の動向を探ることに注力して」
「良いのですか?」
「ええ、良いわ。各店には護衛をつけているし、私も身辺についてはライルとディダがいるもの。心配しなくても大丈夫でしょう。……それより、第二王子派の方を調べさせる方がずっと有意義だと思うもの」
「畏まりました。そのように、取り計らいます」
すっかり諜報員として活躍する、ターニャ。最近じゃ同じくそういったコトを生業としている面々を集めているんだけど、その彼らをまとめ上げてくれている。
一応、アルメニア公爵家……正確には、お父様お抱えのそういう人たちはいるのだけど。
今回の破門騒動やら何やらで、情報の大切さというのをヒシヒシと感じた私は、少しずつ私専属の者たちを集めていた。
まあ、中々信用のおける人物って探すの難しいから、そんなに人数は集まってないんだけどねえ……そこは、お父様とお母様、それからお祖父様のツテを頼っている。
「……さっさとここでの仕事を終わらせて帰りましょう」
「はい、お嬢様」
更新が遅くなってしまい、申し訳ありません。
wordsのデータが吹っ飛んだショックから、中々立ち直れませんでした……。




