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短いですが珍しくはかどったので更新二回目です。

 それからしばらくして戻ってきた村長さんに聞いた話では、犯人はなんと五人の冒険者だった。まさか銀狼を手に入れろ、とかそういう依頼があったの? と訊けば違ったらしい。

 ギルドの依頼の中には街中の雑用などもあるのだが、報酬も少なく遣り甲斐がない。ここは一発魔物を倒して金と名誉を手に入れよう、と大きな依頼を受けた。だが討伐対象の魔物はとても強く、五人いても到底かなわなかった。依頼は一旦受けると他の人が重複してしまわないように取り下げられるので、冒険者が達成できなければその分無駄な時間が増える事になる。ギルド側はそれを忌避している為、依頼を達成できなかった冒険者から違約金として報酬の半額分を徴収する事にしている。今回誘拐犯達が受けた依頼は報酬が多額だった為、その半額といえどかなりの散財だった。そのせいで暮らしがままならなくなり、おまけに他の冒険者からバカにされ、王都にいられなくなって流れに流れてエレン村までやって来たらしい。


 こんな端っこまで来るなんて、どんだけ恥かいたんだろうね。他の町や村にも冒険者はいるから、噂でその話が回ってたのかねぇ。


 獲物を狩ったり木の実をとったりして食いつないできたが、やはり体力も空腹も限界に近づき、しまいにはエレン村で盗みでも働こうとしていたんだって。それでたまたまジュイル君が目に入り、奴隷として売ればしばらく遊べるほどの金が手に入る、と思って誘拐したらしい。


「・・・馬鹿ですね」

「大馬鹿じゃ。エレン村の住民は皆優しいからの。食料を分けてくれと頼めば分けてくれるじゃろうに。まあこんな辺鄙な村の事などどうでもよかったんじゃろうが・・・」

「それもありますが、身の丈に合わない依頼を受けて、そのせいでお金がなくなるなんて・・・ちゃんと堅実にやっていればお金が手に入ったはずなのに・・・」

「似たような冒険者は他にもおるよ。今回のように犯罪に手を染める者もおれば、真っ当な道を進む者もおるがな。後者ならええが、意外と犯罪に進む者が多いのが問題じゃ。誇りが何だと言う者がおるが、悪い事をして何が誇りかのう」


 ・・・村長さん、ほんと過去に何があったの。


 思わずじっと顎鬚を撫でる村長さんを凝視する。が、村長さんは飄々と気がつかないふり。


「さて、次にジャックさんが来るまで犯人達を生かしておかんとのう」


 そう言いながら軽い足取りで出ていく村長。・・・なんか危ないです。

 犯人達は今、村の奥の森に近い場所にある牢屋に入っているそうです。牢屋というより檻、なんだけどね・・・。もともとは生きたまま捕まえた獲物を入れておく為の檻だから、人が五人も入れるとは思えないんだけど。ちなみに獲物を檻に入れるのは新鮮なお肉を食べる為です。お祝い事とか、宴会をする時は事前に捕まえて入れておくんだって。私が来てからそれを見た事はないんだけどね。

 あ、それと犯人達はジャックさんが来たら王都まで連行してもらって守備隊(警察みたいな組織ね)に突き出すらしいよ。その際もジャックさんが信頼している人に預けるから、銀狼の情報が回る事はないって。良かった良かった。

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