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サブタイトル思いつきません(泣)

後でこの辺も修正せねばorz

「・・・ここ、どこ?」


 呆然と呟く私が立っていたのは、何もない草原。家どころか人っ子一人見当たらない。遠くに山は見えるが、後は青く澄んだ空だけ。


「え? え? 確かさっきまで家に向かって歩いていたはず・・・」


 そう。何とか行列を作っていたお客さんを片して、店仕舞いして、「あ~、疲れた」とか肩を叩きながら帰宅していたのだ。帰ったらご飯何作ろう、と空かした腹を撫でていた時・・・突然頭の中に声が響いたんだった。


『世界に導きを・・・』


 は? と思う間もなく、私は落ちた。何故か突然足下に出来た真っ黒な穴へと。逃げる間もありゃしない。

 そして気が付けば草原にいた。ホントに、何が何だか状態である。

 こんな広い草原が日本にあったか? なんて思うはずもなく、混乱していた私はひたすら辺りをキョロキョロしていた。そしてキュルキュルとなる腹の音で冷静になった私。こんな音で冷静になる私って・・・。


「と、とにかく何か食べ物・・・」


 腹が減ってはなんとやらだ。何かないかとポケットをあさるが、財布とハンカチくらいで食べ物など何もない。てかTシャツとジーンズだけの服装で食べ物がどこに入るっていうんだ・・・。まあ家に帰ってから作るつもりだったのだから当り前だけど。

 食べれる物なら何でもいいとばかりに辺りを見回しても草、草、草。木の実どころか木すらないよ。思わずガックリと地面に手をついて項垂れたのは仕方がない事だと思う。


「お腹空いた・・・」


 おまけに眠い。さっきまで空は真っ暗だったはずなのに、今は眼に痛いほどの青空ってどういう事、マジで。

 などとブチブチ言っていると、遠くの方から何かの音が聞こえた。音の方角に目を向けると、うっすらと何かがこちらに向かっているのが見えた。やがてガラガラと大きな音を立てながらその姿が捉えられる近さになると、私は思わず「へ?」と間抜けな声を出した。


「・・・トカゲ?」


 それは馬車だった。幌をかけた、雨風しのげる普通の馬車。だがそれをひいている生物は馬ではなかった。巨大なトカゲ。以前テレビで見たコモドオオトカゲ、またの名をコモドドラゴンによく似たそれは、のっしのっしと尻尾を振りながら馬車をひいている。その様子がちょっと可愛いとか思った私は冷静なのか違うのか。

 向こうもこちらに気付いたのか、ちょっとスピードが落ちた。やがて私の前まで来ると完全に停止して、御者台に座っていた人が声をかけてきた。


「こんなところで何をしているんだい?」


 優しそうな茶色の眼の男性だ。古めかしい外套を着た40代くらいの平凡な顔をした人だが、今の私には王子様に見えた。・・・ちょっと大袈裟かな?

 質問されたがどう答えればいいのか迷っているうちに、代わりに私のお腹が返事をしてしまった。は、恥ずかしい・・・。

 男性は軽く眼を見張ると、後ろの積んである荷物をガサゴソとあさりだした。すぐに目的の物を見つけたのか、私に向き直ると何かを放ってきた。慌てて受け取ったそれは。


「・・・パン?」


 少し硬くはあるが、私の手より大きいパン。

 戸惑い気味に見上げると、男性は優しい笑みを浮かべて食べるように促してきた。・・・うん、やっぱり王子様だ。

 私は一口分ずつちぎりながら、よく噛んで味わった。ちょっと硬くてパサパサだけど。空腹は美味しくするスパイスだと言うが、男性の優しさが何よりもパンを美味しくさせたのだと感じ入った。

 というか、初対面でいきなりパンをくれるなんてちょっと怪しい? と頭の片隅で思ったりもしたが、私の勘が信じてもいいと訴えていたので気にしないことにする。決して空腹に負けた、とかじゃないからね。

 男性は名をジャックといい、商人をしているらしい。この先にあるエレン村に定期的に訪れて、食料を売ったり物々交換をしたりしているという。

 ちょっとした違和感やらを胸に押し込めながらパンを食べ終え、ジャックさんの親切で馬車に乗せてもらい、エレン村に着くまでの時間で私の事を話した。

 まず自己紹介として私の名前(彼がフルネームでは言えなかったので名前だけ)。そして自宅に帰ろうとして気が付いたらここにいた事。さっきまで夜だったのにいきなり明るくなっている事(これは空腹の理由かな)など、正直に話した。

 ジャックさんは笑いもせずにきちんと聞いてくれた。しかも明らかに変な人っぽい私に、嫌な顔をせずきちんと対応してくれた。だから私の勘も合わさってジャックさんは信頼できる人だ、と心の中で呟いた。



 私が草原で一人ポツンと立っていたのは大体昼過ぎだったらしい。空が茜色に染まってくる頃、やっとエレン村に到着した。

 話が終わってまだ時間があったため、後ろの荷台で休ませてもらっていた私は、ジャックさんの「着いたよ」という言葉にぼんやりと目を開けた。寝起きは良い方だから寝惚けたりはしないが、一瞬ここはどこ? 状態になってしまったのは仕方がないよね。てか無防備すぎるだろ、私。


「ここが、エレン村かぁ」


 荷台から見た第一印象。『田舎』。

 うん、それだけか、って言いたくなるよね。でも周りは畑ばかりで、のどかな風景が広がっているのだからそうとしか言いようがないよね、うん。・・・まあ私のイメージだけど。

 ジャックさんによると、この村には50人ほどの村人が住んでいて、みんな協力し合って暮らしているらしい。優しい人達ばかりなので、私の事も受け入れてくれるだろう、と。

 てかそろそろ現実逃避はやめようか。先ほどから胸の中に抱え込んでいた違和感を誤魔化し続けるのは無理っぽい。だって、ねぇ・・・。


 ・・・目の前に有り得ないものがあるのですよ、ええ。


 二本の足で歩く麻布製の服を着た犬、じゃなくて狼。極めつけは人語喋ってます。まあ日本語じゃなくて訳わからん言語だけど。てかなんでそれが理解できてるのかもわからん。ジャックさんの言葉も同じ言語のようだけど理解できてたし。おまけに何で私も喋れんのさ。・・・馬車をひく巨大トカゲを見た時点で日本じゃないよね、と心の中で一人つっこみする私でした。

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