S・O・S~05~
PVいつの間にか500に達してました。
ありがとうございます。
では、六話始まります。
〜Mikuルート〜
−Yusuke−
あの後、そろそろ諦めたかなぁとか思って、家に帰った俺を待っていたのは、二人の質問攻めだった。
「雄介さんは、大きい方が好みでしょ!」
「雄介さんは、小さい方が好みですよね!」
「「雄介さん!」」
…ここは、こう答えるのがベストだな…。
「えーとね、胸の大きさなんて関係ないんだよ。俺は、笑顔がかわいい女の子が好きだよ」
「そ、そうですか」
「へぇ、そうなんだ」
そして、二人で顔を見合ってこちらを向き、
「「分かりました!ありがとうございます!」」
と、笑顔でそう言った。
…よし、切り抜けた。まぁこの台詞は、昔やったギャルゲーから引用したんだけどね…。
そんなこんなで、Mikuを加えた、三人での生活がスタートした。
Mikuは、掃除が得意だ。要領がいいので、早くて且つ塵一つ残さない。
あと、とても面倒見がよくて、思いやりがある。Rinもそういうところはあるのだが、Mikuはよく気が回るので、俺もRinもとても助かっている。一年とは言えども、キャリアが長いことだけはある。
でも、そんなベテランにも欠点…とは言い難いが、心配な面があるわけで…。
あれは、確かMikuが家に来てから、一週間経った頃。その日、Rinの様子がちょっとおかしかった。若干、顔も赤くて、足取りがおぼつかない感じだ。
「Rin、大丈夫?なんか、フラフラしてない?」
俺は心配になって、Rinに問いかける。
「いえ…大丈夫なので、気になさらないで下さい…」そう笑って返事をする。
「そう?なんか具合が良くなかったら、遠慮なく言っていいんだからね」
「はい…分かりました…」
そう言って、Rinは洗面所に洗濯物を取りに行った。
Rinが洗面所に行ってしばらくした頃…
バタンッ!!
「!?」
俺が新聞を読んでいると、洗面所からものすごい音がした。急いで洗面所に向かうと、Rinが倒れていた。「Rin!」
俺は、Rinの側に駆け寄り、抱き抱えて額に手を当てる。Rinの額はとても熱かった。呼吸も荒い。
「Rin大丈夫!?どこが具合悪いの?」
「頭痛が…して…、体の節々が…痛い…です……」
…これは完全に風邪の症状だ。もしかしたら、インフルエンザかもしれない。
昨日は、夜からとても寒かったからな…。こんな季節だ。乾燥とかもしてるから、もっと家の中の環境を整えるべきだった。
…今更悔やんでも仕方ない。俺は、今やるべきことをしよう。
俺はRinを抱き上げ、Rinの部屋に向かい、ベットに寝かせる。
「ご迷惑かけてすみません…」
「謝る必要なんてないよ。いつも頑張ってるんだ。多分疲れていたんだよ」
そう。Rinは、次期女王になるため、そして俺のためにいつも頑張ってくれている。
「だから、あまり無理もしちゃいけないんだ。Mikuや俺も居るんだから、頼ってもいいんだよ。
頑張るのは悪いことではないけど、その中で体を休める時間を作ることも大切だよ。無理して、今みたいに体を壊したら大変だからね。
だから、落ち着くまでゆっくり休んでね」
「すみません、ありがとうございます」
…さて、どうしたものか。今日は日曜だから、開いている病院は限られているからな…。
俺が必死に考えていると、Mikuが買い物から帰ってきた。
「ただいま帰りました…って、どうしたのRin!」
MikuはRinの異変にすぐ気が付き、Rinに駆け寄る。「Rin、風邪ひいたみたいなんだ。だから病院連れて行きたいんだけど、どこにすればいいか分からなくてね…」
「大変!Rin、ちょっと待っててね!」
「?はい…。分かりました」
そう言うと、Mikuは自分の部屋に向かった。
しばらくして、Mikuが戻ってきた。その手には謎の植物が数種類…。中には、『これ本当に植物?』みたいな物も混ざってる。
「…Mikuソレ何?」
「薬草です。今からこれを調合して、風邪薬を作ります」
「Mikuって、そんなこともできるんだ。すごいね」
「ありがとうございます」
「だって、よかったねRin」
そう言ってRinの方を見る。すると、何故かRinは顔が青ざめている。
「どうしたのRin?さっきよりも顔色悪いよ。横になっていた方がいいんじゃない?」
「いや、これはですね、具合が悪いからって言うのではなくてですね、これから私に襲い掛かる悲劇に対しての恐怖心から来るものでして…」
「悲劇?どういう意味?」
「えーと、それは…」
「出来ました!」
ビクンッ!
Mikuが、そう言った瞬間、Rinは何か知らないが、震え上がった。
「はい!Rin飲んで!」
Mikuが薬を差し出す。
「あ、ありがとうございます…」
Rinは薬を受け取った。しかし、なかなか飲まない。その様子を見たMikuがRinにこう言った。
「Rin。あなた昔から私の作った薬嫌いだったけど、ちゃんと飲まないと治らないし、雄介さんにも迷惑かけちゃうよ?」
「はい…。分かりました」そう言われて、Rinは意を決したように、一気に薬を口に含み、飲み込む。
「Rin、どんな感じ?」
「…………」
Rinに問いかけるが、返事がない。
「Rin?」
体を揺すってみる。すると、Rinはそのままベットに仰向けに倒れた。
見ると、白眼を剥いて気絶していた。
「ちょっと!Rin、大丈夫!?」
突然の出来事に驚く。
「Miku!これって大丈夫なの!?」
「大丈夫ですよ。分量もちゃんと合っていますし。ただ、ちょっと苦かったかも」
「ちょっとそれ貸して」
俺は、Mikuが持っている調合した薬が入っている容器を受け取り、ほんの少しだけ舐める。
「っっっっ!!!!」
あまりの苦さに絶句する。すぐさま台所に向かい、水を大量に飲む。
「苦過ぎでしょこれ!」
「『良薬口に苦し』ですよ。ちょっとくらい苦い方がいいんです」
「ちょっとって言うレベルじゃないよコレ!」
こんな薬なら、Rinが気絶してしまうのもよく分かる。
そんな薬を飲んだRinは、悪夢を見ているのか、ものすごくうなされている。
「コレ、ホント大丈夫なの?すっごい心配なんだけど…」
「ホント大丈夫ですから、ご心配なく」
「…分かったよ……」
まぁ多分しばらく起きないだろうけどね…。
一時間後、Rinが目を覚ました。
「おはようRin。具合はどう?」
「ココハドコダロウ?」
やばい。起きながら、まだ悪夢の中だ。
「Rin!起〜き〜ろ〜」
俺はRinの頬を引っ張る。
「はっ!あわわ、雄介さんおはようございます!」
「体の方は大丈夫?」
「はい、もう大丈夫です。Mikuさんの薬は苦いけど、よく効きますから」
「そっか。ところで、今どんな夢見てた?」
「…えーとですね、両手両足を縛られて、無理やり苦い薬を飲まされる夢を見ました……」
「そ、そうなんだ…」
…どこまでやばいんだ。あの薬……。
「あ!Rin起きたんだね。大丈夫?」
「はい。もうすっかり良くなりました。二人ともご心配おかけしてすみません」
「大丈夫大丈夫!気にしないで」
「まず元気になってよかったよ。でも、今日は大事をとって、ゆっくり休んだほうがいいよ」
「そうですか?では、お言葉に甘えてそうさせて頂きます」
俺達はRinの部屋を出た。
「ところでさ、あの薬草って何なの?」
俺とMikuは、居間に戻り、お茶をしていた。俺はなんとなく、あの薬草について疑問に思ったので、Mikuにそう問いかけた。
「あれは、地球には生息しない薬草なのです」
「へぇ、そうなんだ。どうやって手に入れているの?」
「庭で栽培していますよ」
「…今なんと?」
「だから、雄介さんのお家の庭で栽培しているのですよ」
俺は、急いで庭に向かう。
「な、なんじゃこりゃあ!」
そこには、見たことない植物が…。
「すみません。ちゃんと許可を得る前に植えちゃって…。でも、早く植えないと枯れちゃってましたし、何より、私の仕事の必需品ですから…」
「あ、いや、ちゃんとした理由があるなら、俺は全然構わないよ、うん」
ただ、あまりにも奇妙な姿の植物なので、ご近所の方から変な目で見られないか心配だが…。
「本当ですか!ありがとうございます!」
そう言って、Mikuは俺に抱きつく。
「うわっ!」
バタンッ!
俺は、体勢を崩し、床に倒れる。
「イテテ…」
「あ!すみません!大丈夫ですか!?」
「…うん、大丈夫だよ。ちょっと腰が痛いけどね…」「え!ちょっと見してください!」
「うおっ!」
Mikuは血相を変えて、俺を無理やりうつ伏せにし、シャツを上げる。
「大変!赤くなってる!」
「これぐらい平気だよ」
「その油断がいけません!今から治療します!」
そう言うと、Mikuは懐から何かを取り出した。
見ると手には、スタンガンが。
「ちょっと!それで何する気!?」
俺は驚いて、Mikuにその用途を問う。
「これを直接患部に当て、電気を流して痛みを和らげます」
「いやいやいや、それじゃ気絶しちゃうから!」
「ではいきますよ!」
駄目だ。パニックになっているのか、俺の話を聞いていない。
「Miku!ちょっと落ち着こう!そして、俺の話を聞いて!」
「いざ、えいっ!」
「だから、俺の話をk……ぎゃああああああ!!!」断末魔のような悲鳴を上げた俺の意識は遠退いて行った……。
「すみません、すみません!本当に重ね重ねすみません!!」
俺が生死をさまよい、奇跡の生還を果たすと、Mikuが半泣きで謝ってきた。
「あはは、大丈夫だよ。今度からは気を付けてね」
「はい…。ホントすみません…」
「いいよいいよ、気にしないで。
あのさ、お願いがあるんだけどいい?」
「はい、何ですか?」
「まだ少し腰が痛いからさ、ちょっとマッサージしてくれない?」
「はい!分かりました!」
「どうですか?」
「上手だよ。ありがとね」
「はい!」
うん、Mikuの機嫌が良くなってきたみたいだ。よかったよかった。
「う〜ん、大分良くなってよ。ありがとう」
「どういたしましてです。…ふぅ〜」
手が張っているのかMikuは、手を揉んでいる。
「Miku、大丈夫?ちょっと手貸して」
「え?」
そう言って、俺はMikuの手を握る。
「やっぱり張っているね。俺もマッサージしてあげる。お礼も兼ねてね」
「ええ!いや、大丈夫ですから!」
「遠慮しないでいいから、ね?」
我ながら強引だと思った。しかし、俺のためにやってくれた事に対してお礼はしたい。
「はい、じゃあお願いします」
「どう?気持ちいい?」
「はい」
「そう。よかった」
…しかし、かなり張っているな。無理していたんだろうな。
RinもMikuも俺のために頑張ってくれている。とても感謝している。
「あの、もう楽になったので。ありがとうございました」
「そっか。こちらこそありがとね」
「では、私は洗濯物干してきます」
そう言ってMikuは、洗面所に向かって行った。
ここで俺はふとあることに気付く。
「…そういえば、なんかMiku顔赤かったな。どうしたんだろう?」
…Mikuも風邪だろうか?しかも、いつもみたいな元気を感じられなかった。
「やっぱり、家の環境をもっと整えなきゃな。
さて、俺もそろそろ取り掛かるか」
俺は、夕飯を作るべく台所に向かった。
明日からテストあるんで、二日間お休みします。