S・O・S~04~
昨日はおやすみでしたが、今日からまた投稿始めます。
では、五話始まります。
〜共通ルート〜
−Yusuke−
Rinに髪飾りをあげた夜、俺はRinにキスをされ、告白された。いきなりの告白に驚いたが、それと同時に、両想いであることが分かって嬉しかった。勿論、返事はOK。その後、深いキスを交わした。
そんな甘い関係になった俺たちは、秋晴れの空の下、手を繋いで仲良く散歩している。
「気持ち良いですね。雄介さん」
「そうだね」
和やかな雰囲気の中、お互い歩を進める。
しばらく歩き、疲れたので、公園のベンチに座って休憩することにした。
「どうぞ」
「ああ、ありがとう」
お茶が注がれた水筒のカップが差し出される。飲むと、渇いた喉が一瞬で潤った。
「ふぅ、ありがとう」
「どういたしまして」
Rinは俺からカップを受け取り、自分もお茶を注いで飲んでいた。
「いや〜、落ち着くねぇ」「そうですね。
ところで、なんでいきなり散歩に行こうと思ったんですか?」
「ん?だって、こんなに気持ち良い天気なのに、家に黙っているなんて勿体ないだろ?あと、最近忙しくてRinと一緒に居る時間が少なかったから、今日はゆっくり君と過ごしたかったしね」
そう言うと、Rinの顔から笑みがこぼれた。
「〜♪雄介さ〜ん」
俺の肩に顔を寄せてくる。全く、甘えん坊さんめ。
そういえば、恋人という関係になってから、Rinは意外な一面を見せるようになった。几帳面な性格かと思っていただけに、こんな風に甘えられるとドキッとしてしまう。現に、今だってすごいドキドキしてる。
「どうしたんですか?顔赤いですよ」
「え?い、いや何でもないよ」
「変な雄介さん」
フフフとRinが笑う。
…Rinさん、俺がこんなに心臓バクバクなのはあなたのせいです。
そんな事を思いながら、和やかな時間を過ごした。
「今日の晩ご飯何にしますか?」
「そうだな〜、久しぶりにオムライスとか」
「それなら任せてください!得意分野なので」
「ははは、俺も手伝うよ」「ありがとうございます」俺たちは、そんな会話をしながら、帰路に着く。さすがに秋ともなれば、コートを着ていても結構寒い。
「へ、へくちゅっ!」
「あらら、大丈夫?」
「う〜、ちょっと寒いです…」
「うーん…。そうだ!俺のコート貸すよ。風邪を引くと大変だしね」
コートを貸すためにコートを脱ごうとすると、Rinがそれを止めた。
「ダメですよ!雄介さんの方が風邪引いちゃいますよ!」
「でも、体震えてるよ?無理しないで」
「ほんの少し寒いだけで大丈夫ですから!これくら…へくちゅっ!」
…俺を気遣って、自分は我慢するつもりなのだろう。Rinは本当に優しい。
だけど、俺だってRinが風邪を引くのは嫌だ。だからこそ貸してあげたいのだが、多分Rinは頑として受け取らないだろう。
どうしたものかと思案に暮れていると、Rinが口を開いた。
「じゃ、じゃあ手を繋ぎませんか?そうすればお互い温かいですし…」
…そうきましたか。
「じゃあそうしようか」
まぁ俺としては、嬉しいことこの上ないので、あっさり承認。
俺は、小さくて可愛らしいRinの手を握る。
「さ、帰ろ」
「はいっ!」
その小さな手の温もりを感じつつ、俺たちは家に向かった。
無事に家に到着。俺は中へ入るべくドアを開けた。
「お帰りなさいませ!ご主人様!」
バタンッ!
とりあえず、ドアを閉める。
…ちょっと待ってくれ。この状況Rinが来た時と同じじゃね?
そう思っていると、Rinが不思議そうな顔をして訊ねてきた。
「どうしたんです?中に入らないんですか?」
「いやー、入りたいけど、入れないというか、なんと言うか…」
俺の歯切れの悪さにRinはさらに疑問を感じている様だ。
「ん〜、まぁ中に入ったら分かりますね」
「え、あ、ちょっと……」そう言ってRinはドアを開けた。
「おかえりなさ…ってあなたか」
「あ、あなたはっ…!」
Rinは、目の前にいるナース服を着た髪が水色の女の子を目にした瞬間、驚きの声を上げた。
…今の様子から見るに、この女の子とRinは知り合いなのか。そう疑問に思っている俺をお構い無しに、二人は会話を続ける。
「何しに来たんですか?」「何って、そこにいる方にメイドとして仕えるためにやってきたのよ」
「雄介さんのメイドは私です!だからあなたは帰ってください!」
「そういう訳にもいかないのよね〜。次期女王になるためにもこの方に仕えなきゃならないの」
「次期女王になるのは私です!」
「いいえ、私よ!」
「私です!」
「私よ!」
「ちょ、ちょっと二人とも待って!」
堪らずここで口を挟む。
「あのさ、話がよく見えないんだけど…。ちゃんと説明して貰えるかな?」
そう言うと、二人は「分かりました」と返事をした。
というわけで、居間で詳しい話を聞くことにした。
「さて、まず始めに君の名前を教えてくれない?」
俺は、Rinの隣にいる、女の子に問う。
「私の名前はMikuと言います。ナースメイドやってまーす」
なるほど、だからナース服を着ているのか。
「俺の名前は、前田雄介。よろしく」
「よろしくです。雄介さん」
「えーと、Mikuさんは、どうして俺の所に来たんだい?」
「Mikuでいいですよ。それはですね、王宮の占いメイドのHakuさんに、『私のご主人様は誰?』って聞いたら、あなただって言われたんからです」…あの話を聞く限り自信無さげの占いメイドさんか…。なんで、また俺なんだろう?まぁ、考えるのは後だ。
「次の質問。次期女王って言うのは、Rinじゃないのか?」
その質問にRinが答える。「いいえ、次期女王になるには、修行をして、その成果を国王、つまり私のお父様に認められなければならないのです。
最初の説明では、不十分でした。すみません…」
「いやいや、大丈夫だよ」…そうか、だからRinはあんなに必死だったんだ。
そう思うと、なんだか悲しい。だってそれは、俺に対する優しさではないのだから。
そう心の中で落胆していると、Rinが言葉を続ける。「最初、私は次期女王になることだけ考えていました。でも、雄介さんと過ごすうちに、雄介さんの為に、という想いが強くなっていきました」
そうRinが顔を赤らめて言った。
…余計な心配だったみたいだ。Rinは本当に心が優しい、そんなこと分かってたんだから。
「ありがとね、Rin」
「い、いえ」
Rinは恥ずかしそうに、でも嬉しそうな表情をする。それを見ていたMikuが口を開いた。
「うん、あなたもようやく分かったみたいね」
「え?」
Rinが首を傾げる。
「よく国王が仰っていたでしょ?『メイドは実力が伴っているだけでは、駄目だ』と。最初、あなたその意味を理解してなかったわよね?」
「はい、そうでした」「その答えがそれ。『雄介さんの為に』という、ご主人様への『愛』が一番重要だって訳」
「それなら問題ないよ」
俺は、無意識のうちにこの言葉がでた。だって…
「だって、俺はRinからの『愛』を沢山貰って、その『愛』を感じてる。だから俺は、頑張れる。そんな気になるんだ。だからRinは、メイドとしての『心得』は、十分だよ」
「雄介さん…」
Rinは、嬉しそうに笑った。だって、これは事実だ。今では、Rinの居ない生活なんて考えられない。それくらいRinを大切に思っている。
「そっか。ならRinはやっとスタート地点に立った訳だ。じゃあ私と対等に勝負出来るね。」
そう言って、Mikuは俺の右腕に抱きついてきた。
「という訳で、これからよろしくお願いします。ご主人様!」
「え、ちょ、何!?」
いかなりの理解不能な行動に混乱する。
「ちょ、ちょっと何してるんですか!」
Rinが驚きの声を上げる。「何って、私も雄介さんに仕えるの。次期女王の座を巡って勝負する為にね。メイドとしての心得を身につけたあなたと。」
「はぁ!?」
「ま、どちらがメイドとして雄介さんにより認められるかってのが一番重要だね〜」
「雄介さんは、私のご主人様ですよ!」
そう言って、Rinは俺の左腕に抱く。
「うわぁ!」
「そんなこと言わないの。要するに、雄介さんにより認められるためにあなたも頑張ればいいんだから。
まぁ私の方が有利かもね〜。あなたより胸も大きいし」
Mikuは、俺の腕に胸を押しつける。
「な、な、な…!?」
「今は胸の大きさは関係無いじゃないですか!しかも私もそこまで小さくありません!」
Rinがものすごい形相で怒鳴る。そして、Mikuと同じように左腕に胸を押しあてる。
「あわわっ!?」
「え〜、多分雄介さんだって胸は大きい方がいいと思ってるよ。ね〜、雄介さん♪」
「そんなことありません!そうですよね?雄介さん!」
「え〜と、その〜…」
「「雄介さん!」」
「ちょっとまず二人とも腕離して!恥ずかしい!」
「分かりました…」
「は〜い…」
二人は残念そうに俺の腕を離した。
というか、何故そこで残念そうにするの!?
まぁ、それはさておき…
「まぁMikuをここに居てもらってもいいんじゃないかな?そうすれば、Rinの負担だって減ると思うし」
「って言ってるよ」
「む〜。まぁ雄介さんがそう言うなら…。」
Rinは、渋々了解してくれた。
「ありがとう!これからよろしくね、Rin!」
「はい!よろしくお願いします、Miku!」
そう言って二人は手を取り合う。
…なんだかんだ言って昔からの付き合いだから仲良さそうだ。まぁ、仲良くやっていけそうだな。心の中でそう呟いた。
「「ところで…」」
「ん?何?」
「「胸は大きい方と小さい方どちらがいいですか!?」」
「えっ!?」
…その質問、答えなきゃならないの!?
「「雄介さん!どっちですか!」」
「ちょっと、急用思い出したから、出てくるね!」
そう言って駆け出す。
「あ!逃げた!」
「雄介さん!待ってください!」
RinとMikuの叫び声が聞こえてくる。
…また賑やかになりそうだな…。
そう思いながら、どのような返答をしようか思案に暮れながら俺は月のきれいな夜空の下走っていた。
また明日一話投稿します。