S・O・S〜01〜
ちょっと短いですが、二話目です。
では、始まり始まり〜。
〜Rinルート〜
−Rin−
私は本格的にご主人様、もとい雄介さんのメイドとして仕えることになった。いわゆる修行が始まったのだ。
次期女王になるためにも頑張らなくては。「他の」女王候補の娘たちに負けてはいられない。強い意志を持って、これから仕事に取り組みたいと思う。
ところで、何故私が雄介さんを「ご主人様」と呼ばないのかというと、雄介さんは自分のことを「ご主人様」とではなく、名前で呼んで欲しいと言ってたから。私がその理由を問うと、
「えーと、なんか性に合わないというか、恥ずかしいんだよね…」
顔を赤らめてそう答える雄介さんをかわいいと思ってしまった。
…最近私は少し変だ。雄介さんの顔を見るたびに、ドキドキしてしまう。なんか、胸が締め付けられるような…。でもそれは苦しくなくて温かさを感じて…。
……うまく説明できない。こんな感情になるのは初めてだから。
――はぁ、考えるのはまた後にしよう。今はまず雄介さんのお役に立てるように頑張ろう。
ある日の昼、私はお昼ご飯を作っていた。メニューはオムライス。私は卵料理が得意で、かなり腕には自信がある。材料とご飯を炒め、味付けして半熟の卵で包む。うん、今日も上出来だ。出来上がったものをテーブルに運んでいたら、何かにつまずいた。
「うわぁっ!?」
ガシャーン!
…ああ、やってしまった…。私はドジなところがあり、よく失敗することがある。それでよくお父様に怒られていた。あぁ、オムライスが見るも無惨な姿に…。
その様子を見ていた雄介さんがこちらへ歩いてくる。…多分怒られるだろう。そう思って覚悟を決めていたが、雄介さんは、
「大丈夫?怪我とかしてない?」
と優しく声をかけてくれた。失敗するといつも怒られていただけに、この対応は私にとって意外だった。
「はい、大丈夫です…」
「せっかく美味しそうに出来たのに、残念だったね」そう言って頭を撫でてくれた。
どうしよう。胸のドキドキが止まらない。動揺しているのを悟られないように平静を装い、片付け始める。「俺も手伝うよ」
「ありがとうございます」それから二人で片付けた。
「さて、また作り直そうか。俺も出来ることがあれば手伝うよ」
「はい!」
そうだ。失敗しても、それを引きずるのではなく、前向きに考えて、二度と同じ失敗をしないように心がければいい。これからも失敗することは多々あると思うけど、前向きに前向きにかんがえよう。
そう心に決心し、雄介さんと台所に向かう途中、また何かにつまずいて、コケた。
「イタぁ!」
「だ、大丈夫!?」
…多分今私の顔は床にぶつけたのと、恥ずかしさでリンゴのように真っ赤だろう。
やっぱ、私はドジだなぁ。改めてそう思う今日この頃だった。
また明日投稿しまーす。
ではでは