S・O・S~15~
あけましておめでとうございます!…といってももうすでにあけて結構経ちますが…。
まあ、とにかく!今年中一発目の投稿になります。
本当は去年のうちにあげたかったんだけど、無理でした…。
今回はGumiの話。楽しんでいただけたら幸いです。
~Gumiルート~
ーYusukeー
「ふぅ、面白かった」
冬も本番になり、連日の降雪で道が白く染まり始めた。そんななか、俺は家に籠って本を読んでいた。と言っても今日は平日なのだが、仕事は休みだった。この前のチーフの失態のお陰で課せられた泊まり込みの作業の代休五日間をチームメンバー全員がもらったのだ。それの今日は三日目。最近忙しくて読めなかった本を消化していた。さっき読んでいた本は上中下巻に渡る長編だったが、たった今読み終えた。
「この後どうしようかな~。これといってやることも無いし…」
普段これといってやってることもない。趣味と言ったら読書かゲームくらいだ。でも、本は読み終えたし、ゲームも最近ははまっているものはない。
「なんか買いに行くか」
迷った末に本とかを見に出掛けることにした。連日家に籠っているのもよくないと思っていたのでちょうどいい。
俺はクローゼットを開けトレーナーやコート取り出し、部屋着からそれに着替える。
「さて、出掛けるか」
俺は部屋を出て玄関に向かう。すると、玄関にはGumiがいた。
「Gumi、どうしたの?」
「ああ、雄介さん。ちょいと、散歩にでも行こうかなと思って。あんま、やることもなかったし…」
「そうなんだ」
因みに三人には今日から三日間休んでもらうことにした。俺が家を空けてた間もしっかり家の管理をしてくれていたお陰で全く汚れていない。しばらく俺も家にいるし、大体のことはできる。三人はいいとは言ったけど、俺だけ休みなのは申し訳ないと思っていたのでやることをやったらあとは自由という条件で合意した。
「そういえば、RinとMikuは?」
「Rinは絵を描いてるし、Mikuは歌聴いてます。たまに歌い始めたりもしてますね」
どうやら、他の二人も思い思いの時間を過ごせているようだ。
「Gumiは何かしたいことなかったの?」
「ええ。まぁ、強いて言うなら料理なんですけど、今日はあんまり気分がのらなくて…。それで息抜きに散歩にでも~って思って。」
Gumiの姿を改めてよく見ると、コートに手袋、マフラーと防寒対策はバッチリだ。ただ、少し気になった箇所があった。
「…ねぇ、足は寒くないの?」
上半身は暖かそうなのだが、下半身は長めのソックスを履いているものの、かなり短いミニスカートを着用しているので、太ももの露出が目立つ。
「え?う~ん、そこまで寒くないですね、」
「そうなんだ…」
しかし、これで強風が吹いたらスカートがめくれてしまうのではないのだろうか…。そうすれば下着が……。
って何中学生みたいなこと考えてんだよ!馬鹿か俺は!
心のなかでそうつっこむ。
「ところで雄介さんはどちらに?」
「え?ああ、俺は本を買いにね」
「そうなんですか」
「よかったら、一緒にいかない?」
どうせ外に行くのなら一緒に行くのもいいだろう。
「ええんですか?」
「もちろん。これを機にGumiも本を読んでみるのもいいかもしれないしね」
「そ、そうですか。なら、ご、ご一緒します」
こうして俺とGumiは家を出た。
ーGumiー
あかん、これはあかん…。めっちゃドキドキする…。
ウチは今、雄介さんと『二人きり』で少し強い風が吹いているなか、近くの本屋に向かって歩いていた。
部屋に居てもすることなかったし、散歩にでも行こかな~、と思って玄関にいくと雄介さんと遭遇。『本屋に行くから一緒にどう?』 と誘われ、断るのも野暮だと思い一緒にいくことにした。が、いざこうして二人で歩くとなるとめっちゃドキドキする。
「そういえば、Gumiと二人で出掛けるのは初めてだね」
「ほえ!?あー、はい!ほんまそうですね!」
いきなり話しかけられ、しかも今のこのドキドキしているところに話しかけられたもんやから、変な声出してしもうた…。しかも挙動不審な態度とってしもうたし…。変に思われてないか心配……。
「なんか動揺しているようだけど、どうしたの?」
って心配する前に勘づかれてしもた!?
「いや、あはは…。何でもないですよ…」
「ふぅ~ん、変なGumi」
うう~、アカン…。雄介さんに変に思われてしもうた。最悪や…。
でも、何でウチはここまでドキドキしているんやろか?今までドキドキしたり緊張することなんて仰山あった。
でも、今回のは今までと何かが違う。もしかしたら緊張とか表現するのも語弊があるかもしれん。
なんか苦しくないけど胸が締め付けられるような感じで、不思議な感覚や。ウチはどうしてしまったんやろか…。
「…み、ちょっとGumi!危ないよ!」
「え?……って痛ぁ!?」
ウチは頭を電柱に壮大にぶつける。考え事してたから注意が散漫になっていたようや。
「う~、い、痛い~…」
「大丈夫?やっぱり今日のGumi変だよ?」
「そ、そうですか?あ、あはは…」
ホンマ恥ずかしい…。顔から火が出そうや…。
「それよりGumi。おでこホントに大丈夫?」
「は、はい。大丈夫です」
「ちょっと見せて」
そう言って雄介さんはウチにhaib、前髪を上げて額に手を当て、顔を近付けてきた。
「え、ちょっと、あの・・・」
もちろん、いきなりの出来事にウチはめっちゃ動揺する。
「やっぱりちょっと赤いね。大丈夫?」
「いや、えっと、えっと・・・」
話し掛けられるが、手が触れたことでウチのドキドキは最高潮。まともに返答できるはずがあらへん。
「あ、あのGumi?」
「ほ、ホンマ大丈夫です!」
なんとかそう答えるも多分めっちゃあたふたしながら答えてるんやろな・・・。
「さ、さぁ雄介さん、はよ本屋いきましょ!」
「う、うん・・・」
雄介さんは、まだウチの態度を不思議に思っておったようやけど、これ以上話してると理性が崩壊しそうなので、早く本屋に行こうと促した。
――ホンマ、今日のウチはどうしてしまったんやろか・・・。
「さぁ、着いたよ」
あれから、数分歩いて目的に到着。川崎書店という本屋で、結構でっかい建物でお客さんで賑わっている。
「人が仰山おりますね」
「ああ、結構最近出来たんだ。と言っても、二ヶ月位前だけどね。
さ、入ろう」
雄介さんと共に本屋の中へ入る。外の冷たい空気から一変、暖房が効いた店内はとても暖かかった。冷えた体にはちょうどいい。
「そうや、雄介さんはどんな本を買いに来たんです?」
「う~ん、SFものかな。Gumiもよかったら自由に見てていいよ。結構時間かかると思うし」
「じゃあ、ちょっと見てみます」
ウチは雄介さんと離れ、綺麗に陳列された本を見て回る。ミステリー、恋愛、推理小説……。定番のジャンルの本がぎょうさんある。そんな中である本に目が止まり、手に取る。
「『クッキングウォーズ』?」
…なんかただ言葉を羅列したような題名や。でも、この本には惹かれるものを感じる。
ウチは試しに読んでみることにする。
………意外におもろい。題名からは想像出来ひん内容や。
主人公は世界一の料理人になるため、様々な料理人の猛者と戦って成長するという目標を持っているありがちな設定だが、それをカバーする文章構成がすごいし、一話完結なので読みやすい。また、料理の過程とかも書かれているのでこれからのレシピの参考にもなりそうな感じもする。
「………み……」
どうしようかな~。これ、めっちゃ欲しいわ。
「……み、Gumi……」
でも、今日は財布持ってきてないしな~。どないしよ…。
「ねぇ、Gumi~」
「はう!?」
いきなり誰かに頬を引っ張られる。見ると、そこには雄介さんがいた。
「あ、あれ、雄介さん。いつの間に…」
「ちょっと前からいたよ。でも、Gumi話しかけても全然反応しないんだもん」
「あ、あはは…。すみません…」
「そんなに入り浸るなんて。なんか面白いの見つけたの?」
「い、いえ!何でもないですよ!」
ウチは本をもとの場所に戻す。
「あの、雄介さんはもう決まりました?」
「え?う、うん決まったけど…」
「なら会計済ませちゃいましょ!」
「う、うん…」
雄介さんはめっちゃ不思議そうな顔しておったけど仕方あらへん。これ以上恥ずかしい思いをするのはゴメンやからな…。
会計を済ませて本屋を出ると雄介さんが話しかけてきた。
「あ、Gumi。ちょっと待っててもらえる?」
「はい、大丈夫です」
そう言うと雄介さんは、再び店内に入っていった。
なんか、買い忘れたもんでもあったんやろか…?もしかしたら、買おうか迷った本を買いにいったのかもしれん。
そんなことを考えながら待っていると、数分で雄介さんが帰ってきた。
「お待たせGumi。はい、これ」
店から出てくるや否や、雄介さんはウチに紙袋を差し出してきた。
「あの、これは?」
「いいから、開けてみて」
ウチは袋を開けて中を確かめる。
「これ…」
中に入っていたのは、さっきまでウチが読んでいた『クッキングウォーズ』だった。
「なんかすごい気に入ってたみたいだから。俺からのプレゼント」
「ええっ!?なんか悪いです… 」
「いいんだよ。いつもお世話になってるし、これくらいのことはさせてよ、ね?」
そう雄介さんは優しく言ってくれた。
「ほんま、ありがとうございます!」
雄介さんからのはじみめての贈り物。ウチは嬉しい気持ちで一杯だった。
「さ、帰ろうか」
「そうですね」
ウチと雄介さんは本屋を後にした。
次の投稿はまだ未定です。結構早く出来るかもしれないし、今回よりも遅いかもしれません。詳しいことはこのあとがきで告知します。
ではでは。