S・O・S~13~
大変長らくお待たせしました。
14話始まります。
ではどうぞ!
~Gumiルート~
-Gumi-
「う~ん、今日はいい天気やな」
ある日の昼下がり、今ウチは洗濯物を干しとる。秋も終わりに近づいて冬の訪れを感じさせる冷たい風が吹くなか、太陽の暖かい光が降り注ぐ。
雄介さんの所に来て数日が経ち、徐々にここの生活、仕事にも慣れてきた。最初は戸惑いとか不安もあったんやけど、RinとMikuが色々教えてくれたお陰ですぐに慣れることが出来た。でも、ウチも次期女王を目指す身。これくらいこと自分の力でなんとかせなあかん。
ウチはこう見えて真面目や。こう見えてっちゅうのは、今のウチの服装。はっきり言ってメイドの服装とは程遠く、ギャルの服装に近い。そのせいで、周りの人間からウチのこと不真面目な奴やと思われとるけど、そんなことない。まぁ疑われるような格好をしてるウチにも問題はあるんやけど…。
「Rin、洗濯終わったで」
掃除をしていたRinに声をかける。
「あ、Gumiお疲れ~」
「他にやることはある?」
「う~ん、それじゃあMikuと一緒に買い物行ってきてくれないかな?」
「おう、任せとき」
既に雄介さんに仕えていたRinとMiku。最初は二人が協力していることに違和感を覚えたけど、すぐに慣れた。ウチは、どちらかっちゅうと<仲良く平和に>みたいな雰囲気が好きで、争い事はキライなんや。だから二人が居るって聞いたときは不安やったけど、その心配も無用やったみたいや。
それにしても、ご主人様の笑顔のために互いに協力するか…。今までになかった考え方や。ウチらは今まで女王の座に目が眩みすぎていたのかもしれん。こういう考え方の方が重要なのかもしれんなぁ。
そんなことを考えながらMikuの部屋へと向かう。
「Miku、一緒に買い物行かへん?」
「あ、Gumi。うん、いいよ」
部屋のドアを開けて自分の仕事を終えて休んでいたMikuに声をかけると、あっさり承諾してくれた。
因みに、二人は互いに敬語を使ってないって言うてたからウチに対しても敬語じゃなくてもいいと言った。ウチも固っ苦しいのは苦手やからな。
「お待たせ~」
準備を終えたMikuが部屋から出てくる。
「ほな行こか」
ウチとMikuは買い物に出掛けた。
晴れ渡る雲一つ無い空の下、ウチとMikuは、スーパーに向かって歩を進める。冷たい風も吹いているけど陽が強いからそこまで寒くない。周りの人たちも普段に比べて厚着をしている人も少ない。
「いや~、今日は暖かいなぁ」
「そうだね、こんなにいい天気久しぶり。
ところでGumiはこっちの生活にはもう慣れた?」
「そうやなぁ、もう大分慣れたわ。ただちょっと驚いたのは雄介さんのことやなぁ」
「え、どうして?」
「普通、ご主人様っていうのは複数のメイドがいる場合、優劣をつけたりお気に入りの一人を側近にするって聞いてたから」
「なるほど、確かに雄介さんは特別かも知れんなぁ」
そう、雄介さんはウチらに優劣をつけたりはしない。というかつけたくないように見える。だからみんな平等に接してくれる。
「雄介さんって、やっぱ優しい人なんやなぁ」
「うん、だから私もRinも雄介さんを好きになったんだ」
「なるほどなぁ」
二人でそんな会話をしているとスーパーに到着。
「さて、今日の夕飯は何にしよか?」
「う~ん、シチューとかどうかな?」
「お、いいかもしれんなぁ。それで決まりや」
メニューも決まり、ウチらは店内に入って行った。
「丁度食材が安くなっててよかったね」
「そうやなぁ」
スーパーではタイムセールが行われており、いろんなものが安く購入することが出来た。こういう家計のやりくりも大切や。
「あ、ちょっといい?」
「ん、どうしたん?」
いきなりMikuが立ち止まる。
「ここ寄っていいかな?」
Mikuが指差したのは薬局だった。
「薬とか切らしちゃって」
「おう、構わへんよ」
「ありがとう、ちょっと待ってて」
そう言うとMikuは小走りで薬局へと入っていく。
「さすがはナースメイドやなぁ」
Mikuはいつもウチらの健康状態を気にしてくれる。ウチも見習わなきゃあかんなぁ。
――ふとそんなことを考えていたとき、不意に誰かに肩を叩かれた。 振り向くとそこには複数の男たちがいた。
「姉ちゃん、イカした格好してんじゃん。どう、俺らと遊ばない?」
……完全にナンパやな。ウチこういうのめっちゃ嫌やねん。
こういう時、この服装をしていて後悔する。この服装やめようかな……。
「あー、ウチちょっと今忙しいんで、放っといてもらえます?」
言葉の通り、ウチはまだ仕事中や。まぁ、そうでなくとも、こいつらみたいなヤツの相手をする気は毛頭あらへんけど。
ウチは体の向きを元に戻す。しかし、男たちはウチの前に回り込む。
「そんな釣れないこと言わないでさあ、な?気持ちいいこともしてやるから」
…うわぁ~、こいつらごっつきしょいわ~。下心丸出しやんけ。
「あの、ホンマ迷惑なんでそういうのやめてもらえます?はっきり言って、きしょいしウザいんで」
こんな感じで言い争っていると、Mikuが戻ってきた。
「お待たせ~、Gumi。
……行こっか」
「そうやな」
状況を察したのか、Mikuはウチの手を取って歩き出す。
ところが、次の瞬間、男たちにウチらは取り囲まれた。
-Miku-
「どうしよう…」
私が薬局で薬の買い出しを終えて店から出ると、Gumiが男の人たちに囲まれていた。私はすぐにGumiの手を取り、歩き出そうとした。でも、すぐに男の人たちに囲まれてしまった。
「おいおい、この女の子もめっちゃカワイイじゃん」
「なぁ、今のところ人通りも少ないし、どっかの路地裏にでも連れてかね?」
「お、賛成~」
男の人たちはそんな会話をしながら笑っている。
「どうしよう、Gumi…。ってGumi?」
……なんだかGumiの様子が変だ。どうしたのだろう。…………あ。
「あ、あの~」
私は一人の男の人に話し掛ける。
「ん、どうした?」
「今すぐ離れたほうがいいと思うんですけど……」
私はあることを思いだし、彼等に忠告する。
「へっ、そんなことで引くかよ。さて、一緒に来てもらおうか」
そう言って一人がGumiに手を延ばす。……が。
「おりゃあ!」
「ぐはぁ!?」
Gumiは即座に男の人の手を掴み、投げ飛ばす。それを見て、他の男の人たちは唖然としている。
実は、Gumiは武道を身に付けている。ご主人様を守るために習得する者も多いのだ。柔道、合気道、空手と種類も様々だ。因みにGumiは、ほとんどの技を身に付けておりメイドの星でもかなりの強者。しかも、スイッチが入ると凶暴になる。
「何しやがる、この女ぁ!」
男の人がGumiに襲い掛かる。しかし、Gumiはすかさず蹴りを入れる。
「やぁ!」
「ぐぼぉあ!」
男の人が三メートルほど吹き飛ぶ。
「見えた!セクシーな黒!」
「何見とんじゃワレぇ!」
「あべしっ!」
見えたパンツの色を叫んだ男の人の顔面を殴る。
…そっか、Gumiって結構大人な下着を着てるんだ……。
その後も他の男の人たちを突きやら蹴りやらでのして行き、わずか三分足らずで制圧完了。
Gumiは近くの男の人に近付き、股間に足を置く。
「おい、よくもウチの仲間に手ぇ出そうとしてくれたな。もう発情しないように、その粗末なモン一生勃たなくしてやろか、ええ?」
「ひぃぃ、お、お前ら逃げるぞ!」
そう言って男の人たちは一目散に逃げていった。
「ったく、無駄な体力使うてしまったわ。
Miku、大丈夫?…って、どうしたん?」
「いや、ちょっと腰抜かしちゃって…」
「確かにちょい驚いたもんなあ。仕方無いわ」
……Gumiの姿に驚いただけなんだけど…。
「ほな、Mikuが立てるようになったら行こか」
「そうだね」
「ただいま~」
あれから少し経ってから家に帰宅した。
奥からRinが出てきて出迎えてくれる。
「お帰り~。遅かったね」
「それがね……」
私は事の経緯をRinに話す。
「そうだったんだ。大変だったね」
「うん、Gumiが居てくれて助かったよ。ありがとね、Gumi」
「気にせんといて~。ちょっと怖かったけど、撃退できてよかったわ」
いや、全くそうは見えなかったんだけど…。
「さて、雄介さんもそろそろ帰ってくるし、夕食の準備しよっか」
「そうやな」
「そうだね」
私たちは、キッチンへと向かった。
-Gumi-
「いや~、体が温まるよ」
ニコニコしながら雄介さんは、出来立てのシチューを口に運ぶ。
ウチらが夕飯の準備を終えた頃、雄介さんが丁度帰ってきた。聞いたところ、夜になったら急に冷え込んできたみたいや。夕飯のメニューってのがシチューで正解やった。
にしても、雄介さんはとっても幸せそうな顔をウチらに見せてくれる。
……なんやろう、この気持ち。雄介さんを見てると不思議な気持ちになる。嬉しい、ってのもあるんやけど、他にもなんかある気がする。ただ一つ言えるのは、この笑顔を見てると幸せだってことや。この笑顔のためなら明日からも頑張れる。そんな気持ちになる。
多分それ以外のこともあるんやと思うけど、今はこの笑顔のために二人と協力して頑張ろう。
そう心の中で思いながら、みんなで楽しい夕飯の時間を過ごした。
来週も投稿したいと思ってるけど、まだなんとも言えない……。
頑張ります。
10/14 追記 多忙or足踏みの最中のため来週になりそ う。
11/11 追記 ゴタゴタがあり今まで報告等ができず、すみませんでした。投稿は、明日か明後日には必ず。作業の進行具合によっては今日投稿するかもしれません。