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S・O・S~09~

遅くなりました!すみません。やっと復活です。


PVが2000を越えました。ありがとうございます。

それでは第10話始まります。


〜Mikuルート〜


−Miku−


「はぁ、はぁ、はぁ……」私は、陽が沈みかけて暗くなり、足下が見えずらくなった道を無我夢中で走って逃げている。でも、本当は、雄介さんを置いて逃げるなんて真似は、したくなかった。だけど雄介さんは、私に逃げろと言った。『Mikuは、大切な人だから』と。…そんなこと言われたら、嫌でも逃げなきゃいけないと思うに決まってる。私は無意識にその場から逃げ出していた。ただひたすらに、雄介さんが無事であることを祈りながら……。



――どれくらい走っただろう?私は、遂に疲れて、その場で走ることをやめた。「はぁ、はぁ………げほっ、げほっ!」

走り過ぎたせいで咳が止まらない。息を整えるために深呼吸し、体を休めるために、最寄りの木に身を預ける。そして、そのまま地面に座り込んだ。

「はぁ、はぁ―――。

雄介さん、無事で…いて…下さい……」

何度この言葉を口にしただろう?それだけ心配で心配で堪らないのだ。

だから雄介さん、どうか、どうか無事でいて下さい。もし、雄介さんの身に何かあったら、私は、私は………。

――そんなことを思っていた時、近くで誰かが話しているのが聞こえた。

…この声……さっきの二人組のだ!

私は、咄嗟に身を隠す。そして、会話に耳を澄ました。


『あー、痛ぇ。ったく、あの野郎やってくれるぜ』

『全くだな。でも倍返ししてやったからいいんじゃね?』

『それもそうだな。

…けど、やり過ぎたかな?死んだりしてねぇよな?』『大丈夫だよ。人間あんなことしても簡単には死なねぇよ。仮に死んじまっても誰がやったかなんて分かんねぇって。死人に口無しよ』

『確かにそうだ!アハハハ――』


「っ!!」

気付いた時には、私はもと来た道を走っていた。

このままじゃ、このままじゃ雄介さんが死んじゃう!雄介さん、雄介さん…!!


この時、私の頭の中は雄介さんのことでいっぱいだった。他のことなんて考えていない。ただただ、雄介さんの安否だけを考えて、ひたすらに走る。



――しばらく走り続け、私は暗闇の中で遂に雄介さんを見つけた。ボロボロな姿で地面に倒れ伏している。「雄介さん!!」

私は、雄介さんの傍に寄り、抱き上げて声をかける。「雄介さん!雄介さん!大丈夫ですか!?!」

しかし、返事は返って来ない。それでも尚、声をかけ続ける。

「雄介さん!目を開けて下さい!返事をして下さい!雄介さん!!」

…いくら声をかけても、反応が無い。私は、最悪の事態が頭の中に思い浮かぶ。――雄介さんが死んじゃう…!!――

「雄介さん!死んじゃ嫌だ!目を開けて下さい!」

…私の、私のせいで雄介さんを危険な目に会わせて、挙げ句の果てに、雄介さんを傷付けてしまった。

後悔と自分に対する憎しみが私を襲う。

「雄介さん!雄介さん!」闇の中で一人、大量の涙を流しながら、雄介さんの名前を呼び続ける。私が初めて『恋』に落ちた、愛する人の名を…。

しかし、私の思いとは裏腹に、雄介さんが目覚める気配は一向に無い。

「雄介さん……」

もう、駄目なのかな……。泣きながらそう思ったとき―――

「…Miku?」

その声とともに私の頬に雄介さんの手が触れる。

「雄介さん!!」

私は、反射的に雄介さんに抱きついた。

「よかった……本当に、よかった…」

「…Miku、怪我は無い?」安心して泣いている私に、雄介さんは弱々しい声でそう聞いてくる。

「私は大丈夫です。でも、雄介さんが……」

「はは…、カッコ悪いとこ見せちゃったね…」

「そんなことないです!雄介さんは、私を守ってくれました。

…でも、そのせいで怪我をさせてしまって……」

「俺にとってMikuは、大切な人だ。その人を守るのは当たり前だよ」

雄介さんは、そう優しく言ってきた。

…また、胸のドキドキが強くなる。想像していた場面とは違うけど、言うなら今しかない。

「雄介さん…」

意を決し、私は口を開く。「どうしたの?」

「今こういうことを言うのはおかしいと思いますが、私の心の内の想いを伝えさせて下さい。

……私は…、私は雄介さんのことが好きです!ご主人様としてではなく、一人の男性として、あなたが好きです!

私にとって、雄介さんは特別な存在です。そんなあなたにも私のことを特別な存在だと思って欲しいんです」

「………」

「私の想い、受け取っていただけますか?」

雄介さんは、少しの間黙っていたが、やがて口を開いた。

「俺もMikuが大好きだよ。君の想い、受け取るよ」

「!!……雄介さん!」

私は嬉しさのあまり、雄介さんに再び抱き付いた。

「イタタッ!」

「うわっ!あわわ、ごめんなさい!」

「だ、大丈夫。あはは…」「くすっ、えへへ」

私達は、お互い顔を見合わせて笑った。その時――

『うふふ、いい雰囲気になってますね』

そう言って、Rinが木の影から顔を出した。

「Rin!いつからそこに居たの!?」

『えーと、「私は雄介さんのことが好きです!」のところかな?』

「ほぼ最初からじゃん!」『そうだね〜』

「あぅ〜、恥ずかしい…。ねぇ、雄介さんも恥ずかしいと…」

同意を求めようと雄介さんの方を見ると、雄介さんは顔を真っ青にして固まっていた。

…多分アレだ。いきなりのRinの登場に、恥ずかしさより焦る気持ちが沸き上がって来たのだろう。

『もう、あまりに帰りが遅いので、何かあったのかと思って探してたんですけど、どうかし………っ!!』雄介さんに近づいたRinの 顔の表情が変わる。

『ど、どうしたんですか、その怪我!?』

Rinが雄介さんの怪我に気 付いて悲鳴をあげる。暗闇なので近くに来るまで気付かないのも無理はない。

「えっと、これは―――」私は、事の経緯をRinに説明する。

『そうだったんですか…。ちょっと待ってて下さい。今救急車呼びますから』

「いや、大丈夫だよ………くっ…」

そう言って雄介さんは立とうとするが、足を痛めているため、ふらついてその場に座り込む。

「あまり無理しないで下さい!ちょっと失礼します」私は、痛がっている方の足のズボンの裾を捲る。見ると真っ赤に腫れ上がっている。

「大変!すぐに冷やさないと!」

辺りを見回す。すると近くに水道があった。

「あそこで冷やしましょう。Rin、手伝って」

『うん!』

私達は、両脇を支えて、雄介さんを水道まで運ぶ。そして、足に冷水を掛ける。「痛みますか?」

「うん、少しね…」

「ちょっと待って下さい」私は、バックの中から湿布、包帯、ハンカチを取り出す。雄介さんの足の水気を拭き取り、湿布を貼って包帯で血が止まらない程度に、且つ動かないように、しっかりと固定する。

「いつも医療道具を持ち歩いてるのかい?」

「はい、簡単な応急措置が出来るものですけど」

「そうなんだ。何はともあれ、ありがとう。大分楽になったよ」

「ど、どういたしまして。あ、でもいきなり動くと危ないから、ちょっと安静にしてから動いた方がいいかもです」

近くのベンチに雄介さんを運ぶ。

「ここで少し休んでから行きましょう」

「そうだね。イタタ…」

「大丈夫ですか?」

「うん、ちょっと痛むけど、さっきより大分良くなったよ。これもMikuのおかげだね。ありがとう」

「お、お役に立てて嬉しいです」

雄介さんからお礼の言葉をもらって、また胸が高鳴る。

するとここで、雄介さんがRinに話し掛ける。

「Rin、ちょっといい?」『はい、なんですか?』

「あの、さっきは、えっと…」

雄介さんはしどろもどろになりながら何か言おうとしたが、Rinがそれを制止する。

『大丈夫ですよ、雄介さん。分かってますから』

Rinはそう言って、雄介さんの手に自分の手を置く。

『私のこととMikuのことを考えて決断したんですよね。雄介さんがMikuの告白を受けた時、長い間黙って考えていたのを私見ていましたから』

そうですよね?と、Rinが続ける。

「……うん」

…Rinが言っていたのは、正しかった。雄介さんは私を傷付けないように、私の想いを受け止めてくれた。「でも、Rinに黙ってこんなことして…」

『いいんですよ。雄介さんは優しいから、こうしたっていうのは分かってます』「Rin…」

『だから、気になさらないで下さい。でも…』

Rinは雄介さんに寄り添って腕を抱き、こう続けた。『雄介さんの中で私が一番ですよね』

「え?あ、ああ!」

ここで、Rinが私に目で何かを伝えてきた。

…OK、把握した。

「雄介さん、私はどうなんですか!」

私も雄介さんの腕を抱いてそう言った。

「え!?えっと、み、Mikuのことも勿論大好きだよ!」

『ちょっと雄介さん、どっちが一番なんですか!』

「雄介さん、はっきりして下さい!」

「えっと、あの、えーと…!?」

(ちょっと位困らせてもいいよね?)

(うん、ちょっとだけ、ね?)

私とRinは、いつかと同じように雄介さんを責めまくる。これくらいしたって、別にいいよね?

「お、俺は、RinもMikuも大好きだぁぁー!!」

雄介さんの叫び(?)が、夜の公園に響いた。













その後、雄介さんが大分歩けるようになったので、私たちは、家に帰ってきた。その時雄介さんは、私たちの言葉責めでぐったりしていた。……ちょっとやり過ぎたかな…?

そして、今私は、雄介さんの部屋に向かっている。怪我をした箇所を治療するためだ。私は、ここに来る時、ある程度の怪我なら治療出来る道具一式を持って来た。だから、雄介さんの怪我は、簡単に治療出来るだろう。薬草もあるし。

トントン…

「どうぞ」

「失礼します。怪我の治療に来ました」

「ああ、ありがとう」

私はすぐに治療に取り掛かる。切り傷には、消毒をして絆創膏を、打ち身には湿布を、腫れている箇所はアイシングを施す。

「手際がいいね」

「えへへ、ありがとうございます。まぁ慣れてますから」

私は、粗方治療を終え、薬湯の準備に取り掛かる。

「何を作っているの?」

「薬湯です。治癒力を高める効能があります」

「……まさか、例の薬草の…?」

「はい、そうですけど」

その瞬間、雄介さんの顔が一瞬で青ざめる。以前の、Rinの惨劇を思い出したのだろう。

「さーて、そろそろ寝ようかなー」

「駄目ですよ!ちゃんと飲まないと!」

「お、おお俺はまだ死にたくない!」

「いや、死にませんから!絶対安全ですから!」

そう言っても、雄介さんは中々薬湯を飲んでくれない。こうなったら…。

私は、薬湯をある程度口に含む。そして雄介さんの顔を掴んで正面を向けて、私は雄介さんの口に自分の口を運ぶ。

「……んっ…んん…んっ………」

「っ!!」

「ぷはっ!」

私は、口の中の薬湯を雄介さんの口に移して、唇を離す。

「もう、中々飲んでくれないから、口移ししちゃいました」

「―――――っ!」

…雄介さんの様子が若干変だ。

「雄介さん、どうかしましたか?」

そう言った次の瞬間、雄介さんは、うつ伏せに倒れ込む。やっぱり口移しでも、苦かったらしい。

「ちょっと雄介さん!大丈夫ですか!?」

私は雄介さんの安否を確認していると、あることに気が付いた。

「…そういえば、私、あれがファーストキスだ」

そう呟いた瞬間、私も恥ずかしさから仰向けに倒れ込む。というか、ファーストキスが口移し、しかも薬湯の…。

『ちょっと!さっきすごい音しましたけど何が………ってホント何があったんですか二人とも!』

Rinの叫びが前田家に響き渡る。薄れゆく意識の中で私は思った。

…今度はちゃんとしたキスをしよう。それが私のファーストキスだ…。

最近時間なくて執筆が遅いです。

何が言いたいかというと、次の投稿は一週間くらいかかりそうです……。

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