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9. ~鷺の池 蛇の池~



5月。

ベンチに座って優しい風を感じながら

光る池の水を見てた。


小鳥たちが忙しそうに

木々を行ったり来たりしてた。


蒼鷺の彼も杭に止まって同じようにしてた。


風に揺れる羽を見てるのが好きだった。


ゆっくり時間が流れていた。



6月。

しばらく蒼鷺の彼に会えずにいた。

もう会えないのかもしれない。

どうか無事でいて欲しい。


そんなある日、

期待しないで鷺の池に行くと

彼はいた。


向こう側の杭で休んでいるのが見えた。


私は嬉しくて、一番近くのベンチに急いだ。


このベンチは鷺の池で一番のお気に入り。


ベンチの前が木道になっていて、

木道の先は池。柵もない。


水を覗き込むと、

透明の小さな魚が

たくさん泳いでいるのが見える。


私はベンチに腰かけて、双眼鏡を覗いて


おはよー

と挨拶した。


雲が流れていって、次の雲が流れてきた。


ゆっくりした時間が過ぎたあと、

蒼鷺の彼が杭から水に下りた。


いよいよ狩りの時間かなと見ていると、

ゆっくり、浅瀬を歩いている。


ずいぶん近くまできたから、写真を撮ろうとバッグからスマホを取り出した。

撮れるようにセットして、視線を戻すと


‼️

木道に上がっている。


1歩1歩近づいてくる。


もう、手を伸ばしたら届きそう。


その迫力の

足、体、首、頭、羽、くちばし、目、、、。


あまりの近さにドキドキする。


目が合ってる。


私はたまらなくなって、

スマホを彼に向けた。


すると、ゆっくりと向きを変えて、

姿勢も変えた。

少し体を屈めるようにした。


次の瞬間、


一瞬何が起きたのかわからなかった。


なんと、盛大に用を足したのだった。


今度は水に向かってゆっくり歩いたので、

飛び立つ姿が見れるのかと思って

期待したけど違った。


そのまま、水に入り、狩り場を目指して

わたしの目の前をゆっくり横切っていった。


狩り場に着くと、すぐに狩りが始まった。


帰り道、まだ、心臓がドキドキしてた。


7月。

暑くなってきた。

蛇の池と鷺の池を往復するのが

辛くなってきた。


あれ以来、蒼鷺の彼には全く会えてない。


それでも、もう一度だけ、

会いたくて坂道を上った。

でも会えなかった。


あれっきり会えなくなった。


会いたくて会えないのは辛かった。


辛いから、もう会えないものとして、

待つのはやめた。


この頃は電車を使うようになったから、

鷺の池には行けなくなった。


暑くなったから、蛇の池にも

前みたいには来れなくなる。


橋を渡って帰る時、

ホシゴイがじっとしていた水辺の石を

確かめたり、カルガモを見てた。


名残惜しかったから、振り返って、

池を見渡した。


空も見た。


その時、視界に入った。


蒼鷺だった。

高い木の上に止まって、こちらを見てる。


来てくれたんだ


また、涼しくなったら来るね。


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