【標本No.5】天体の彼方
――宇宙の心理は、人の数だけある。
宇宙という名の巨大な伽藍において、孤独でない者など存在しない。
我々が仰ぎ見る輝きも、恐れる暗黒も、すべては過酷な代償の上に成り立つ「役割」に過ぎないのだ。
例えば、太陽。
彼は永遠の光という玉座を得るために、自らの身を絶え間なく焼き続ける「痛み」を、数億年の永きにわたって受け入れた。
例えば、ブラックホール。
彼は万物を屈服させる無敵の重力を手に入れた代償に、光すらも逃げ出せない絶望の底から、二度と抜け出せなくなった。
強さと引き換えに、彼らは自由を失ったのだ。
ここから、「太陽の反対はブラックホールである」といえる。
太陽の反対は月ではない。
朝には太陽がのぼり、夜には月がのぼる。
それは地球の見かけなのだから。
太陽は光。ブラックホールは闇。
では、月は?
みなさん御存知の通り、月には満ち欠けが存在する。
これも地球の見かけなのだが、この満ち欠けには大事な教えがあるのだ。
私が思うに、月は光と闇の共存なのだ。
なぜか?それはいまから説明しよう。
先程も述べた通り、月には満ち欠けがある。
それを宇宙から見ると、球体の月が反面光となり、反面闇になっているということ。
また、月が光を得る時間、地球の半分は闇に晒されるだろう。
人間社会において、だれかに光が当たれば、だれかに闇が与えられるように。
そう、光と闇は表裏一体なのだ。
ここから、「月の反対は地球である」といえる。
月は、太陽の激しさもブラックホールの絶望も持たない。
ただ冷たく、半分を闇に預け、半分を光で繕っている。
それこそが、矛盾を抱えて生きる私たちが住む、この社会という名の庭に最も似ているのだ。
そしてなにより、宇宙に存在する無数の星が、我々の無限の可能性なのだ。
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