18:ずっと、そうだった
《んで? 久々に電話よこして、なんの用?》
「色々あって子供引き取ることになったから、一応報告をば。なんか困ったら頼らせてもいただく所存ですので、よろしくお願いします」
《正直言うと、その色々を聞きたいんだけど……あ、ねえヒロさん。勇飛に子供ですって。いや、結婚はしてないみたいなんだけど、よそのお子さんを預かった……引き取った?みたいで。どうする? 娘より先に孫ができちゃったわ》
途中で話し相手をコロッと親父に変えたお袋に、少し頭を抱えた。
「とりあえず、細かいことは口頭じゃ説明しにくいからあとでメールする。いまちょうど、その子供が熱出してダウンしててさ。今は落ち着いてるんだけど」
《……大丈夫なの? あんたヒロさんに似て物騒面なくせに不愛想で可愛げもないじゃない。泣かせたりしてないでしょうね》
「物騒面と不愛想はともかく、この歳で可愛げがあってたまるか」
《ま、親に向かって随分な言いようなこと。……まあ分かったわ。電話は基本でるようにするから、急ぎなら時間も場所も気にせず電話しなさい。あなたが引き取ったんだから、ちゃんと食べさせて、きれいにして、温かくしてあげなさい。あなたの人生なんだから、好きにしなさいとは言ってきたけど、人間としての道を外れるようなことはしないこと》
分かってる、と返事をしながら、過去を振り返る。
ずっと、そうだった。
勉強しなくても寝るのが遅くても、特に何も言ってはこなかった。
ただ、『帰りが遅くなるときは、早いうちに何時頃に帰るのか、夕食は必要なのか、洗濯機は回していいのかを連絡しなさい』とか、『ひと様の家にあがるときに裸足は控えなさい』とか、『取返しがつかなくなる前に、一度は誰かに相談するという選択肢を頭に入れておきなさい』とか、そういうことは細かにしつこく言い聞かされた。
―――人間としてある程度できていれば、顔が悪くても頭が悪くても、ある程度は生きていけるから
実際、割とその躾のおかげで、今までなんとか生きてきた。お袋様々である。
服の組み合わせが最高難易度ですね。




