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13/19

13:そんで、あなたのお名前は?

 自分が場違いなことに、気づくのが遅すぎた。


 周りが、ほとんどみんな母親だ。


「……以上が、担任からのご連絡です。何かご質問はございますでしょうか」


 …………。


「はい」


 手を挙げる。多分、自分が戦えるのはここだけだ。


「……えっと、」


「失礼しました。このたび元木絆賀の保護者になりました、河中勇飛と申します。この歳にもなって子供を育てるのは初めてなので、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」


 腰からしっかり頭をさげる。


「それで……以前に絆賀が、『自分はもう普通の子にはなれないのか』と訊いてきたことが気になりまして。先生、お心当たりはございますか」


 少しざわめく。


 担任の教師は少し若さのある女性だった。


 彼女は慌てたように立ち上がる。


「えっ、いえ! 私はただ、『ご両親を亡くしてつらい思いをしているから、いつもどおりに接してあげてほしい』って」


「言われて普通にできるほど、小学一年生の児童は器用なんでしょうか」


 あ、と口に手をあてた母親が何人かいた。


「いえ、器用な子はうまくやるでしょう。それは一部でしかないとも思いますが。自分が思う“小学一年生”は……その異質を平気で揶揄します。こちらでサポートもしていきますし、今回のことは彼の中で納得できていると思います。……ですが、くれぐれも、言動にご注意お願いします」


 こくこく、とうなずく担任に、「以上です」ともう一度礼をして座った。


 ……今になってギリギリと胃が痛む。


 クラスでの保護者会が終わると、全校集会が終わったらしい児童たちが教室に戻ってくる。律儀に並んだ列を作った児童は、自分の親を目にすると顔を輝かせて駆け寄っていく。


「ゆーひさんっ」


「! おう、おけーり」


「ふへへ」


 くしゃりと前髪を混ぜてやる。


 穂積さんと遊んでからか、絆賀はかなり明るくなった。


 父方の親族とは極力関わらせないようにしているが、遠ざければ遠ざけるぶん、相手方はより強く絆賀に会いたがっているような気がする。


 ……とりあえず無視し続けよう。そのうち諦めてくれるかもしれないし。


「あ、あの」


「……はい?」


「あ、りゅうくんのお父さん」


 絆賀が言う。


「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。絆賀くんが、よく遊んでくださっているようで。(みなみ)(りゅう)()(すけ)の父です」


「ああ、……どうも。こちらこそ。そんで、あなたのお名前は?」


 その男は、きょと、と目を丸める。


「……と、(とも)(ひと)です。南友人」


「友人さん。俺も勇飛で構いません。これからよろしくお願いします」


 こちらこそ、と眉をハの字にしたまま笑う友人さんと握手をする。


「りゅうくんち、お父さんだけなんだよ」


 絆賀が自分の腕を引く。


「ああ、なるほど。それはまあ」


「男親だけ同士、頑張りましょうね。あ、連絡先訊いてもいいですか」


 ……まあいわゆる、パパ友というやつだ。いや、パパではないが。

サブのネームドキャラが女性ばかりだったので男性を出しました。ハーレムは回避です。

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