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12/19

12:よく、わからない

「絆賀くんっ‼」


「ほづみちゃんっ‼」


 えらくハイテンションだな……。


 週末。待ち合わせたのは、街からは少し離れた公園。


 大学生とは聞いていたが、スポーティーな恰好は、始めから絆賀と遊ぶつもりでいたらしい。体力の落ちてきた自分にとってはありがたいことだ。


 広い芝生と、少しのアスレチックとベンチ。


 ……あれ、ここ、見たことがあるな。来たことはないけど。


 どこだっけ、どこで見たんだっけ。


「……!」


 あれだ。絆賀に渡した写真に写ってた。


「河中さん」


「あ、ほ……赤城さん」


 ぱっと顔を上げると、ペットボトルのお茶を持った穂積……赤城さんがいた。


「絆賀くん、アスレチックのほうに行っちゃったので。休憩に。お隣いいですか?」


「どうぞ」


「あと、穂積でいいですよ」


「すみません……」


 無意識に名前で呼んでいた。彼女は、「自分の名前、気に入ってるんで」と笑う。


「今回は、本当にありがとうございました」


「え、いや」


「今回のことがなかったら、私、もう絆賀くんと会う機会なかったと思うから」


 否定しようとして、十分考え得ることで少し困った。確証のないことは明言できない。


 穂積さんは歯を見せて「正直なひと!」と揶揄するように笑った。


「……感謝するのはこちらです。あんな楽しそうな顔、初めて見ました」


「? 私もですよ?」


「え」


 顔に出さないように気をつけていたらしい。


 以前から、絆賀と会うのは親族との集まりの日くらいで、一緒に遊ぶのは本当に稀だったという。


「大きくなっててびっくりしました。背も伸びてて。この前まで歩くのもままならないくらい小さかったのに」


「……俺から見たら、今もじゅうぶんガキですけどね」


「私ももうすぐ卒業する……就活したくない……仕事したくない……」


「こ、堪えてんなぁ」


 ずうん、と青ざめていく穂積さん。自分の就活時代なんてもう覚えてすらいないが、こんなに苦労していただろうか。


「そういえば、あれから大丈夫でしたか? (たえ)()さんと話したって……」


 タエコ……たしか、あのばあさんの名前か。


「べつに……とくには何も。今のところは」


「良かったです。もしかして、美雪さんが一緒でした?」


「はい」


 即答すると、彼女は「やっぱり」と笑う。


「あの人がいると、妙子さんが少し落ち着くんです。やっぱり、娘さんだからでしょうか。うまく緩衝材になってくれて、……だから、」


―――幸せになってほしい


 よく、わからない。幸だか不幸だかは人によるが、少なくとも自分の目には、彼女が一概に不幸とは言い切れない気がする。


 彼女はきっと少し、戦い方が違うんだ。

劇場版にそなえて(???)ラストマン観てたので続きが書けていません。

夜のぶん休載します。すみません頑張ります。

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