12:よく、わからない
「絆賀くんっ‼」
「ほづみちゃんっ‼」
えらくハイテンションだな……。
週末。待ち合わせたのは、街からは少し離れた公園。
大学生とは聞いていたが、スポーティーな恰好は、始めから絆賀と遊ぶつもりでいたらしい。体力の落ちてきた自分にとってはありがたいことだ。
広い芝生と、少しのアスレチックとベンチ。
……あれ、ここ、見たことがあるな。来たことはないけど。
どこだっけ、どこで見たんだっけ。
「……!」
あれだ。絆賀に渡した写真に写ってた。
「河中さん」
「あ、ほ……赤城さん」
ぱっと顔を上げると、ペットボトルのお茶を持った穂積……赤城さんがいた。
「絆賀くん、アスレチックのほうに行っちゃったので。休憩に。お隣いいですか?」
「どうぞ」
「あと、穂積でいいですよ」
「すみません……」
無意識に名前で呼んでいた。彼女は、「自分の名前、気に入ってるんで」と笑う。
「今回は、本当にありがとうございました」
「え、いや」
「今回のことがなかったら、私、もう絆賀くんと会う機会なかったと思うから」
否定しようとして、十分考え得ることで少し困った。確証のないことは明言できない。
穂積さんは歯を見せて「正直なひと!」と揶揄するように笑った。
「……感謝するのはこちらです。あんな楽しそうな顔、初めて見ました」
「? 私もですよ?」
「え」
顔に出さないように気をつけていたらしい。
以前から、絆賀と会うのは親族との集まりの日くらいで、一緒に遊ぶのは本当に稀だったという。
「大きくなっててびっくりしました。背も伸びてて。この前まで歩くのもままならないくらい小さかったのに」
「……俺から見たら、今もじゅうぶんガキですけどね」
「私ももうすぐ卒業する……就活したくない……仕事したくない……」
「こ、堪えてんなぁ」
ずうん、と青ざめていく穂積さん。自分の就活時代なんてもう覚えてすらいないが、こんなに苦労していただろうか。
「そういえば、あれから大丈夫でしたか? 妙子さんと話したって……」
タエコ……たしか、あのばあさんの名前か。
「べつに……とくには何も。今のところは」
「良かったです。もしかして、美雪さんが一緒でした?」
「はい」
即答すると、彼女は「やっぱり」と笑う。
「あの人がいると、妙子さんが少し落ち着くんです。やっぱり、娘さんだからでしょうか。うまく緩衝材になってくれて、……だから、」
―――幸せになってほしい
よく、わからない。幸だか不幸だかは人によるが、少なくとも自分の目には、彼女が一概に不幸とは言い切れない気がする。
彼女はきっと少し、戦い方が違うんだ。
劇場版にそなえて(???)ラストマン観てたので続きが書けていません。
夜のぶん休載します。すみません頑張ります。




