11:いや、そもそも思い出させるべきなのか
……とは言っても。
詳しく聞きたいというのは野暮なのだろうか。
他でもない教師に言われたとなれば、友達との喧嘩とはわけが違う。
「あ、そうだ。ゆーひさん」
「ん?」
「これ、先生から」
絆賀から受け取ったのは、薄い茶封筒。『元木絆賀くんの保護者様』と印字されたそれを開封すると、住所変更や公共交通機関利用の申請書が入っている。それから……、
「おわ」
面談の案内と、参観日の案内。
「……」
ふと見ると、絆賀が顔を俯けている。また、迷惑をかけるだとか思っているんだろうなあ、なんて考える。
「ほーだか」
人差し指で彼の額を押し、顔を上げさせる。
「んな顔しなさんな。慣れないことを否定はしないが、お前のことを面倒だなんて思ったことないよ。面談も参観日も時間は作るから、安心しなさい」
「……はい」
………今だろうか。もしかして今か…?
いや、そもそも思い出させるべきなのか。
悩みに悩んだすえ、「助けを求めることは恥ずかしいことではないので、いやなことを言われたりされたりしたら、ちゃんと言うこと」などという至極ありきたりなことしか言えなかった。
「そういえば、もしかして先生と話していたから、今日少し遅かったのか?」
「えっ」
絆賀が目に見えて焦りだした。
「……ほーだーか?」
「……お、うち、間違えたの」
「………………そうか」
つまり、『実家』のほうに帰ってしまったらしい。玄関の鍵が開いていないことを不思議に思ってから、ようやくそのことに気づき、慌てて駅へ向かったそうだ。
「まあでも、無事に帰ってきてくれてよかった。気をつけろよ」
「はぁい」
一通りを終えてから、穂積さんが会いたがっていたことを伝えると、「ぼくも」と顔を輝かせたので、電話番号からショートメッセージを送っておく。
やけにテンションの高い返信が来たのは、約三十分後の話である。
これも参考元があります。実写映画になりました。




