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境界のソードファンタズマ  作者: 矢崎 那央
第1部12話『ぬるま湯でラブコメする者たちよ。見よ、これが"戦略的ラブコメ"だ』
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第2幕『対リク攻略・戦略会議《ふとももに関する中間報告》』


 「じゃあ、分析していきましょ。なぜ、リクは食いつかないのか」


 まずは仮説の整理。

 推定① 女嫌い or 女性恐怖症?


 「——これは、ないわね」


 私はすぐに却下した。


 「わたしにも優しいです」


 エナがうなずく。あの子、なんだかんだでリクの対応をよく観察してる。


 「アリスに対しても、触れ方が丁寧。むしろ、繊細ってレベル」


 「視線、声量、立ち位置……全てが“女性への配慮あり”の態度です」


 アリスの冷静な分析に、私は小さくうなずいた。


 「女性に対する拒否反応は皆無。むしろ、対応が王子様。

 ……逆にそれがムカつくのよね」


 

 ——却下。女嫌い説、消えた。


 



 推定② 性欲が無い? or 特殊性癖?


 「その線は、かなり気になるわね……」


 そう呟いた私の横で、アリスがぬるりと口を開いた。


 


 「リクがわたしを視認する際の、視線初動解析結果——」


 「で、出た……」


 エナが一歩前に出る。私は正座を整えた。これはメモ案件だ。


 


 「顔部:42%、大腿部:28%、胸部:13%、脚部:9%、その他:8%。

 視覚的性的関心は“正常範囲内”です。とくに“視線の再滞留”が大腿部に集中しており——」


 「つまり……スケベではあると?」


 「結論としては、Yesです」



 「ていうか、わたしが胸押しつけたとき、一瞬ニヤけましたもん!」


 エナが誇らしげに言うと、アリスがチラッと横目を向ける。


 「……それは事実確認済みです。表情筋反応:1.4秒間の口角上昇を検出しました」


 「見てたの!?」


 「録画済みです」


 


 私は頭を抱えた。


 ——性欲は、ちゃんとある。

 ただし、それを完璧に抑え込んでるか、他にもっと“強い制約”が働いてる可能性がある。


 


 推定③ 超奥手・チキン説?


 「これも違うわ」


 私ははっきり言った。


 「リクは怖いもの知らずで、魔王領に単独潜入するような無茶を平気でやるわよ?」


 「“決断力・行動力”の平均値も、戦士ランクで見た場合は明確に高めです」


 アリスが、冷静に分析する。

 


 「てか、あれで“チキン”だったら、世界中の男が鶏小屋に帰らなきゃならないわよ」


 


 ——よって、奥手説も消える。


 


 「……じゃあ、なんで手を出さないのよ、あの男……!」


 思春期男子よ?

 ノーリスク混浴ハーレムよ?

 バスタオル装備の最高級美少女三連星よ!?


 なのに、ゲンコツで終了。

 バグよ。これはもう、人生という名のエロゲの進行バグ。進行不能バグ。


 


 「結論としては……性欲もあるし、女子もいける。でも“行動しない”。」


 「いちばんヤバいやつです、それ……」

 「うん、たしかに……バランス壊れてる……」


 


 私は立ち上がった。


 「——なら、探るしかないわ。なにがブレーキになってるのか。」


 「三人で、ですか?」


 「そう。これはもはや戦争よ。“攻略阻害因子”の正体を暴く。全力で、ね。」


 


 窓の外に、王都の夜景が広がっている。

 明かりの灯る広場、静かに眠る市民たち。

 けれど、ここだけはちがう。


 


 ルル・アリス・エナによる、非公認特殊作戦《ミナト攻略》、ついに始動。


 


 恋とエロスとデータ解析を駆使した、本気の“ハーレム戦争”が、今ここに幕を開けた——!


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