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あーかい部! 33話 ク○映画

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「〜♪」




あさぎが独り、鼻唄交じりにスマホをいじっていると




「やっほーあさぎちゃん、ご機嫌ね?」


「あ……!?白ちゃん先生。」


「私はな〜んにも聞いてないから、大丈夫よ♪」


「お心遣い、傷みいります……。」


「ところで……な〜に見てるの?」




白ちゃんがあさぎのスマホを覗き込んできた。




「……なにこれ。」




あさぎのスマホには、雑なCGで人間の足を生やされたサメの軍団が大都会で人間を追いかけ回している動画が表示されていた。




「『ランニングシャーク 2ndラップ』のPVです♪」


「へ、へぇ〜……。」


「この前モーラさんと1作目を見たんですけど、思いのほか尾を引くというか……サメだけに?」


「誰が上手いことを言えと……。まあ、楽しいなら良いわ。」


「……白ちゃん先生、ク○映画だと思ってますね……!?」


「誰がどう見てもク○映画でしょ。サメだし、お金のかかってない雑なCGだし、とりあえずで爆発してるし、サメだし……。」


「わかってるじゃないですか……?」


「そこは怒るところじゃないの?」


「いやいや、『ランニングジョーズ』は純然たるク○映画ですよ。」


「面白そうに続編のPV見てた癖に随分な言い様ね。」


「愛すべきク○ですから♪」


「なんだか頭が痛くなってきたわ……。」


「〜♪」


「またその曲……。」


「はっ!?///」


「無意識に口ずさむなんて、随分お気に入りの曲なのね。なんの曲?」


「『あんよがジョーズ』です♪」


「うっわ……。」


「『うっわ……。』ってなんですか。」


「一応きいておくけど……何かのテーマソングだったり?」


「『ランニングジョーズ』のエンディング曲です♪」


「やっぱりねえ!?」


「公式チャンネルのMVもあるんですよ?」




あさぎが得意げに検索履歴から1つのMVを再生してみせた。




「うっわ……すごい切り貼り感。」


「素晴らしいですね……♪」


「地味に曲が良いのが腹立つわね。」


「口ずさみたくなりません?

Let your name♪

resound in this land♪

lond shark,rush shark,running shark!」



「なりません。」

「なんでですかっ!?」


「しかもどんだけ練習したのよ……めっっちゃ英語流暢じゃない……。」


「好きこそもののジョーズなれ、ですよ♪」


「何がそこまであさぎちゃんを惹きつけるのよ……。」


「むぅ……、」




あさぎはほっぺを膨らませて拗ねてしまった。




「もういいです、1人で楽しんでますから……!」


「はいはい。」




あさぎのク○映画トークから逃れた白ちゃんがパソコンのキーボードを叩いていると、あさぎのスマホから音楽が漏れて来た。




『yeah,bite them ♪ yeah,bite them ♪there's no escape♪』




(無駄に美声なのが腹立つわね……)




あさぎの方を横目で見ると、あさぎは無邪気にスマホの音楽に合わせて口ずさんでいた。




『やつらはくる♪つちーをーふみー♪

ぼくらーをおーおってー♪ あーんよがジョーオズー♪』




(ときどきあさぎちゃんがわからないわ……。)




「ええええ!!??」




突然あさぎが立ち上がり絶叫した。




「どうしたの?」


「『ランニングジョーズ 2ndラップ』の公開日が決定しました……!!」


「良かったわねー。」


「こうしちゃいられない、モーラさんに教えてあげなきゃ……!」




あさぎはスマホを連打し誰かと通話を開始した。




「そんなに急ぐことなの?」


「しっ……!」


「えぇぇ……。」


「もしもしモーラさん!?」


「公式サイト見た!?……うん、そう!決まったよ『ランニングジョーズ 2ndラップ』の公開日……!!」


『よっしゃぁぁぁああ!!』




スマホの向こうでモーラが絶叫しているのがそばで聞いている白ちゃんの所まで聞こえてきた。




「うるさ……。」


「うるさいとはなんです……え?うん、いるよ。……了解。はい、白ちゃん先生。」




あさぎがスマホをビデオ通話に切り替えた。




「え〜っと、モーラ?」


『ねえねえ聞いた!?公開日


「聞いた聞いた……。平日の真っ昼間からアンタも暇ねぇ。」


『なんで落ち着いていられるの……!?』


「なんでって、普通の反応でしょ。」


『信じられない!?すみ姉、心が死んでるんじゃない?』

「そうですよ!?」


「なんでク○映画に心躍らないだけで罵倒されにゃならんのよ……。」


『よし、今週末ウチ来て!『ランニングジョーズ』観るよ!』


「はぁ!?な〜んでク○映画鑑賞なんかにつきあわにゃ……おっと!?




あさぎが白ちゃんに体当たりして画面の中央に映るポジションをぶん取った。



「モーラさん!私も行っていい!?」


『オッケー♪引きずってでもすみ姉連れて来な?』


「うん、噛みついてでも連れてくよ。」


「サメじゃないんだから……。」




こうして週末のク○映画鑑賞会が開催されることとなったそうな。


……ク○映画に幸あれ!






あーかい部!(4)




あさぎ:投稿完了!!


きはだ:テンション高いねぇ


ひいろ:何か良いことでもあったのか?


白ちゃん:あったんじゃない?あさぎちゃんにとってはね


あさぎ:[画像を送信しました]


ひいろ:やっぱり一目でわかるク○映画だな


きはだ:続編出てて草ァ!


あさぎ:そうなんだよ!今日公開日が決定したと思ったらすぐだよすぐ!?


白ちゃん:何がここまであさぎちゃんを熱狂させるのかしらね


あさぎ:今週末お隣さん家で上映会やるけどひいろときはだも来る?


ひいろ:白ちゃん参加は決定事項なんだな


あさぎ:噛みついてでも連れていく


きはだ: yeah,bite them ♪ yeah,bite them ♪there's no escape♪


白ちゃん:きはだちゃんも見たの?


きはだ:観てないけど頭から離れないんだよぉ……


白ちゃん:きはだちゃんまで……


ひいろ:まで?


白ちゃん:私も帰りがけに口ずさんでたら教頭先生に見られちゃって


ひいろ:ああそれで……


あさぎ:ひいろもおいでよ『こっち側』に


ひいろ:すまない、今週末は先約があるんだ


きはだ:わたしもパス〜

きはだ:おデート?


あさぎ:あのひいろが……!?


ひいろ:失礼だな、おばさんとナイトシアターに行くんだ


白ちゃん:仲がいいのね


ひいろ:ああ

ひいろ:さっき突然電話で誘われたんだ


あさぎ:先を越されたか……!


ひいろ:なんの映画か聞いても『ちょっと前のだけどとってもエキサイティングなやつよ』って言って、教えてくれないんだ


あさぎ:やはりサメからは逃れられない運命……!


ひいろ:違うことを祈るよ

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