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訓練の響きと決意の刃

村を救った翌朝、セイラたちは村人たちに見送られながら、王国への帰還の準備を整えた。朝日が昇り始める頃、一行は森の小道を抜け、王国の城下町を目指して進み始めた。


セイラは馬にまたがりながら、遠ざかる村を振り返った。笑顔で手を振る村人たちの姿が次第に見えなくなっていく。


「これで良かったんだよね、マリア?」

セイラは隣の馬に乗ったマリアに問いかけた。


「もちろんです、セイラ様。村の人々が救われたのは、間違いなくあなたのおかげです。」


「でも、あのグルムヴァイトを倒しただけで、本当にこの先も…」

セイラが呟くと、マリアは優しく微笑みかけた。


「まだ始まったばかりです。だからこそ、これからのために備えるのです。」


後ろでは騎士団が整然と行進し、静かに彼女たちの会話を見守っていた。いつしか、彼らの冷たい視線は消え、少しずつ敬意の色を帯び始めていた。


城への帰還

王国の城門が見えてくる頃、騎士団長が号令をかけた。

「到着だ!全員、整列せよ!」


整然とした行列が整う中、セイラは深呼吸をして背筋を伸ばした。王城の大門が重々しく開き、迎える城の侍女たちが一斉に頭を下げた。


城の中に足を踏み入れると、セリオンが静かに口を開いた。

「この先の報告は我々が行う。セイラ様とマリアは少し休まれるといい。」


セイラは頷きつつも、自分の居場所を改めて考えた。

「でも…私も一緒に報告したい。戦ったのは私なんだから。」


その言葉に、セリオンは少し驚いた表情を浮かべ、すぐに微笑んだ。

「聖女としての役割を全うする覚悟か。よろしい。だが、無理はするな。」


セイラはその言葉を受け止め、改めて決意を固めた。これから先、王国のため、そして自分が守りたい人々のために戦うため、力をつけていかなければならないと。

王宮での休息もつかの間、セイラのもとに騎士団長からの伝言が届けられた。


「セイラ様。近々、騎士団との合同訓練が予定されています。詳細は後ほど伝えますが、戦いに備える良い機会になるでしょう。」


セイラはその知らせに驚きつつも、期待と不安が入り混じる複雑な気持ちを抱えていた。


「合同訓練か…。騎士たちと一緒に戦うなんて、今まで考えたこともなかったけど、やってみなきゃだよね。」


隣で話を聞いていたマリアが微笑んだ。

「大丈夫です、セイラ様。騎士団もあなたの実力を認めています。それに、私も全力でサポートしますから。」


セイラはマリアの言葉に背中を押されるように頷いた。

「ありがとう、マリア。頑張ってみる!」


翌朝、城の訓練場にはすでに多くの騎士たちが集まっていた。甲冑が光を反射し、剣や槍を構えた彼らの姿は威圧感さえ漂わせる。


「セイラ様、こちらへ。」

騎士団長が手招きすると、セイラは戦鎚を握りしめながら歩み寄った。


「本日の訓練では、我々騎士団と共に、実戦さながらの連携を学んでいただきます。聖女としての力を発揮する機会と考えてください。」


セイラは緊張しながらも頷いた。

「はい、よろしくお願いします。」


訓練が始まると、騎士たちは円陣を組んで防御と攻撃の連携を繰り返した。セイラもその中に加わり、戦鎚を振るうたびに重厚な音が響いた。


「そこだ!敵の動きを封じろ!」

騎士団長の指示が飛び交う中、セイラは集中して戦鎚を振り下ろす。衝撃で訓練用の木製の人形が粉々になり、周囲から驚きの声が上がった。


「すごい力だ…聖女様の戦鎚は本物だな。」


騎士たちの視線が変わり始めたのを感じたセイラは、少し照れながらも再び構えを取った。


訓練が終わる頃、セリオンが静かに近づいてきた。

「よくやった。だが、次は動きの精度を高める必要がある。」


セイラは息を切らしながらも笑顔で頷いた。

「わかった。もっと上手く動けるように頑張る!」


その様子を見ていた騎士団長も頷き、言葉を続けた。

「今日の成果は素晴らしい。これからも共に力を合わせていこう。」


セイラの胸には、新たな希望と決意が生まれていた。騎士たちとの連携を学び、自分の力をさらに磨いていく。その先には、きっと守りたい人々の笑顔があるはずだと信じて。


こうして、セイラの戦士としての道は新たな段階へと進んでいった。


セイラは聖女なのに当たり前のように戦士として戦っております…w次回もお楽しみにしてくださると嬉しいです

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