深淵の森、試される聖女
城門をくぐると、セイラの一行は王国騎士団の列に合流した。甲冑を身にまとった騎士たちの視線は冷たく、ささやきが耳に届く。
「あれが噂の聖女様か…重そうな戦鎚を持って、使い物になるのか?」
「聖女なのに、まるで戦士みたいだな。お飾りかと思ったが…」
「どうやら戦鎚の適性しかないらしいぞ。」
セイラはその視線を感じ、心の中でぎゅっと拳を握り締めた。
「うるさい…私が守るんだ、村を」
マリアがそっと肩を叩き、励ます。
「気にしないで、セイラ様。気負いすぎては良くないわ」
騎士団長が前に進み出て、厳しい声をあげた。
「聖女様、私たち騎士団が共に戦います。油断は禁物だ。これからの道中も、常に警戒を怠らずに」
セイラは深く頷き、戦鎚をしっかりと握り直した。
「…はい。」
冷たい視線も、これからの戦いのための試練だと信じて。
その時、遠くの森から不気味な気配が漂いはじめていた――。
道中、深い森を抜ける頃には、空が徐々に暗くなり、騎士たちの間に緊張感が漂い始めた。
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「この先だ。魔物が現れたのは村の近くにある渓谷だと聞いている」
騎士団長の声が響く中、セイラは周囲を見渡しながら、戦鎚の重みを感じていた。
「セイラ様、大丈夫ですか?」
マリアが囁くように問いかける。
「うん。怖いけど、逃げられないよね」
セイラは笑顔を作ろうとしたが、その瞳には緊張が隠せなかった。
騎士たちはまだセイラを冷たい目で見ている。
「本当に役に立つのか? この聖女様が…」
小声で呟かれた言葉が、セイラの耳に届いた。
「もう聞き飽きた…」
心の中でそう呟くと、彼女は戦鎚を振り上げる仕草をしてみせた。
「私の力を、見せつけてやるんだから!」
その時、森の奥から低い唸り声が聞こえた。騎士たちが一斉に武器を構える。
「来るぞ!」
騎士団長の叫びとともに、暗闇から巨大な狼のような魔物が姿を現した。
「深淵の魔物…!」
騎士たちは一斉に攻撃態勢に入ったが、魔物の鋭い爪と牙に圧倒されていた。
「セイラ様!」
マリアの声が響き、セイラは戦鎚を握り締めて前に出る。
「これが…私の最初の戦い…!」
彼女は震える足を必死に抑え込み、戦鎚を大きく振り上げた。
セイラの初陣…!次回もお楽しみに!
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