散歩道のクリスマスセーター
近所を散歩中、アパートのベランダにダサくて変なセーターが干してあった。赤、緑、金色の配色がとにかく野暮ったく、サンタクロースの顔もつき、超ダサい……。
「何このセーター……」
しかもそのアパートからは、似たようなダサいセーターを着た女性のグループが出てきた。
「これね、アグリー・クリスマス・セーターっていうんだわ」
その一人が私に話しかけてきた。
「クリスマスセーターがダサければダサいほど優勝っていうのなんだ。十二月十二日は、アグリー・クリスマス・セーターの日だからね! さあ、これから酒飲んで騒ぎに行くぞー!」
女性グループはパリピか?
一人残された私を無視し、騒ぎなら繁華街の方へ消えていく。
「そうかぁ」
SNSを見ながらだいぶルッキズムに毒されていた私。美しく、優秀で、金も稼ぎいい女でなければ愛されないと思い込んでいたが、視野が狭かったのだろうか。
幼い頃からネット、スマホ、SNSがあった。身体の一部のように馴染み深いものだったが、リアル世界は案外、広いのかもしれない。
十二月の冷たい風にダサいセーターが揺られていたる。間抜けな光景。見ているだけで、何か笑ってしまう。のんびりと歩き、普段と違うものも見つけられたらしい。
「気が抜けるわなぁ」
今年のクリスマスは、少しは肩の荷も降ろせそうだ。