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【1】全ての代償

悲鳴や怒号が響き渡る中私は火の海に飲まれた自国を前に道を駆け抜けていた。

人々とは逆の方向へ走る私に目もくれず自分の事だけを守るように逃げていく。


すると1人の男性が叫ぶ


「お嬢ちゃん!そっちはもう火が回っている!早く逃げるんだ!」


「私はあの城に行かなくてはならないの」


そういいながら目の前へと迫る城へと走っていく


城の兵士とどこの国だか分からない敵兵がお互いを斬りあっていく中私は牢獄の方へと駆けていく


(確か右を曲がったところの階段の途中に牢獄への隠し扉があったはず)


手探りで探しているとカチッとレンガの壁が凹み扉が開いていく


(あの子は…!あの子はどこ?!)


牢獄の中も煙が充満していて目の前がハッキリ見えない。

そして最深部へと降りて走っていると奥から牢獄を見張る兵士達をを片っ端に切る男が目に入る


(そんなっ…!あの子は…)


私は近くに死んでいる兵士の手元を見る

さっきまで戦っていた兵士だろう。剣を離さずに握ったまま死亡しているのが分かる


(あなたの剣を私に少し貸してちょうだい)


それから私は剣を握りしめて抗争の中を駆け抜けた


だいぶ奥に来た時には人の声さえ遠く聞こえていた。

そんな中1人の黒服の男がこちらに向かってくるのが見えた


(あの子の気配はまだするから死んではいない。でも目の前の人が退いてくれるか…)


私は考えた後に首を横に振り剣を力いっぱい握り斬りかかる


「そこを退いてほしいの!」


男は避けるばかりでこちらを襲ってくる気配もないが私は無我夢中で斬り掛かる


「あの子をここからだしてあげなくちゃいけないの!」


一振また一振と剣を振るがかすりもしない


(こんなことしてる場合じゃない…早くあの子の元に行かなくちゃいけないのに、それに腰の剣を抜かないなんて子供だからって手加減されてる…?)


私は男との距離をとり思いっきり剣を投げつけたと同時に走った


投げた剣は弧を描くように男の方へと向くが片手で跳ね除けられてしまった


(片手で跳ね除けた。相当の実力者のようね)


けれどそんなのに構っている暇はなかった


しばらくは私の足音のみが牢獄の中に響き渡るがその瞬間火の煙とは違う煙に包まれた、神は簡単にあの子に会わせてはくれないようだ


戸惑って足を止める…


(警戒して…相手は只者じゃない…!)


喉元に刃物を突きつけられる感覚がする


「あれ?敵だと思ったのに違いましたか」


「誰?!私はあなたに構っている時間はないの!」


「けれどここを通す訳には行かないよ。奥に人では無いものが暴れているからね。君じゃ勝ち目がない」


「いいのよ。元々勝ちに行くわけじゃないわ」


煙が晴れる


(やっぱり魔術だったのね)


だが残りの魔力もあとわずか隙を作るなら1度しかない


「お嬢さんはあの悪魔と知り合いみたいだね。でもここを通す訳には行かない。取り引きするのならチャンスはあげてもいい」


「取り引き……?」


「そう。取り引き」


すると目の前に男性が現れた


「それで取り引きの条件は1つのみ、あの悪魔を止めるすべを君は知っているようだね。その悪魔を止めること…でも僕同伴でね」


(そんな条件でいいの…私にしか利益がない…!なにかしらの罠、、)


「僕はあの悪魔に乗っ取られた子を見捨てられなくてね」


「それにもし君が襲われたとしても守ることが出来るよ。好条件じゃないかい?今僕達の仲間が相手してるけど多分動けているのは1人のみだと僕は推測する。」


(1人のみであの子と退治出来るわけがないわ。それに時間が惜しい)


私は息を吸ってひとつの条件を差し出した


「その話にのる前にひとつ条件があるの」


「何でも言ってごらん」


「あの子を傷付けないで」


「じゃあ契約成立だね」


その瞬間に体が光に包まれた


(眩しい…テレポートか…)


目が慣れて来るとあの子と女性が対峙している


私は急いで駆け出して抱きついた


「ルーファさん!何してるんです?!それに君、やってる事分かってる?最凶と名高いセルフィートが宿っているんだぞ!」


「ヒル大丈夫!落ち着いて!私の事分かる?大丈夫!ゆっくり鎮めてけばいいの。そうゆっくり。あの人たちは敵じゃないよ!」


「……フィ…お姉……ちゃ……」


「そう!私だよ。ヒル!大丈夫?」


「お……姉ちゃん……その傷、、それに服……も…」


「話さなくて大丈夫だよ。私がついてるから」


「ま……た…たくさんの……人…傷付…け…ちゃった……」


「いいの!ヒル気にしなくて!ヒルに手を出すのが悪いの!罰なら私が受けるから!」


「ダ……メ…だ……よ……」


そのまま倒れる彼女を抱きとめ、私は床に座って背中を壁に預けた


「あれだけの兵士をやっておいて…はぁ、オレだって手を焼いたのにさ〜」


「イリヤは兵士の治療して、僕はあの方に連絡するから」


「また雑用?その前に1番この状況にイラついてるリードさんのご機嫌とりもしないとだよね〜。」


(この国は終わりを迎えてしまった。私はどうなるのかしら、あの人達の責任を問われるのかしら、処刑?でもヒル、あの子を私が守らなくちゃいけないのに)


私は考えているうちに眠りについてしまった

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