第2食 ヨーグルト
突然だが、みなさんはヨーグルト、お好きだろうか?
乳製品の代表格であるヨーグルトは身体にも良いとされており、大人から子どもまで幅広い世代に日常的に食べられているデザートだ。
かく言う私はヨーグルト好きである。
子どもの頃、スーパーに行く度にヨーグルトを買ってもらっていた。
うちは両親と兄弟、祖父母に私という7人家族だったので、大きいサイズのヨーグルトも無理なく食べきることができる。
大きいサイズのヨーグルトに入っている袋入りの砂糖 (フロストシュガーというらしい)が大好きで、母にせがんで多めに入れてもらっていた。
3連・4連のファミリーパックのヨーグルトで好きだったのはチチヤスだ。
少しレトロな風味が好きで、大人になった今でもスーパーで見かけては買ってしまう。
チー坊がどどんとパッケージにデザインされていて、そのかわいさもたまらない。
中高生の頃は、森永アロエヨーグルトをよく食べていた。
一昔前に流行っていたアロエの食感にハマり、「おなかに良いから」と理由をつけては買い物かごに入れてもらっていた記憶がある。
昨年コロナに罹り、食欲ゼロかつ味覚がおかしくなってしまった時も、その優しい味と食感にとても助けられた。
他にも、なにかとヨーグルトフレーバーに惹かれたり、フローズンヨーグルト屋を見かけるとつい立ち寄ったり、ビジネスホテルの朝食バイキングにカップヨーグルトがあるとテンションが上がったりする、そんな私のベストヨーグルトを今回は紹介したい。
私のベストヨーグルト――それはソフールである。
ソフールは株式会社ヤクルト本社が発売するヨーグルトで、特定保健用食品に位置付けられている(そして、今私はヤクルトの会社の正式名称が株式会社ヤクルト本社(Yakult Honsha Co.,Ltd.)ということを知って、なんだかまたひとつ賢くなったなぁとほくほくしている)
私が初めてソフールを食べたのは、小学生の頃だった。
実家では、住宅街を回ってくるヤクルトレディーさんからヤクルト商品を買うことがたまにあった。
私たちはおやつの時間にミルミルや色とりどりのジョアを楽しんでいた。
或る日、母が見慣れないブルーのパッケージのヨーグルトを冷蔵庫から取り出してきた。
なんと、ヤクルトが出しているヨーグルトだという。
ヤクルトはドリンクしか作っていないと思い込んでいた当時の私は驚き、そしてむくむくと膨れ上がる期待感で胸をいっぱいにした。
ワクワクしながらフタを開いてみると、つるんとした白い表面がぴっちりとその容器を埋めている。これまで私が見てきたヨーグルトとは、少し質感が違うように見えた。
そんな私の第一印象が確信に変わったのは、スプーンで一口分のソフールをすくった瞬間である。
――ふるん
「えっ」
そう、その感触はまるでプリンのようだった。ヨーグルトにしては随分とハードだ。
硬めのヨーグルトというとギリシャヨーグルト等の水切りヨーグルトを想像される方も多いと思うが、あちらはどちらかというとクリームチーズのようなねっとり食感である。
ソフールは原材料にゼラチンと寒天が使用されていて、ヨーグルトは断固硬め派の私にとってどんぴしゃの感触だったのである。
そして、一口食べてみると、普通のヨーグルトとは明らかに味が違った。
確かにヨーグルトではあるのだが、かなりヤクルト感が強い。これはヤクルトと同様に乳酸菌シロタ株が入っているが故なのだろうか。
少し個性的な味に驚きつつも、食べ終わる頃には「これはこれでアリかも」という気持ちに変わっていた。
そういう意味では、私の中でソフールはヨーグルトとは違うジャンルに位置する食べものだったのかも知れない。
しかし、私が成長するにつれて、いつしかヤクルトレディーさんは家に回ってこなくなった。スーパーでソフールを見かけることもなく(どうやら売っている店舗が限られているらしい)、次第にその存在は私の記憶から少しずつ薄れていき――大人になった私にとって、ソフールは思い出の味となっていた。
そんな私がソフールと再会したのは、数年前に今のオフィスに転勤してきた時のことだ。
お昼に食べるパンでも買おうとビル内のセブンイレブンを訪れたところ、そこには子どもの頃の記憶よりも青色を濃くしたパッケージのソフールが鎮座していた。
――えっ、久し振り……!!
あまりの懐かしさに、「あら、ご無沙汰しております」というテンションではなく、ついつい前のめりになった私は、迷わずソフールを手に取ってレジに向かう。
それ以降、ソフールは私のランチデザートの常連となった。
朝セブンイレブンに行く時、今日も忙しそうだなぁ……なんてブルーになる気持ちを、ソフールはほわりと癒してくれる。
いつもありがとう、ソフール。
今日もどうぞよろしくね。
(了)




