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おもしれー女、ラムディア・ストームヴェルン

 魔王城、会議室の前。戦乙女ラムディア・ストームヴェルンは未だに扉の前で佇んでいた。


(さ、30分も早く到着してしまった……。)


 異例の早さで出世した彼女とはいえ、四天王の中では末席の第四位。他の四天王と出会うのも自身の叙任式以来であった彼女は、緊張が限界突破していた。


(うう……他の四天王の魔族ひと、みんな怖いんだよね……。デステール様は私には優しいけど名前が怖いし、他の2人はちょっと近付けないオーラが凄いし……。四天王になってから戦うだけじゃなくなって、あたしバカだから仕事覚えらんないし、さっきも舐められて石投げられちゃったし、四天王なんて無理なんだよぉー……。)

「ふえーん、もうやだぁー。帰りたいよぉー……帰る!!」


 そう意を決して立ち上がった途端、


「ふぎゃん!」


 内側から会議室の扉が開く。


「何してんだ、お前」

「デステール様!?ああいや、私は別に、いえ、本日はお日柄もよく……?」

「何言ってるか全く分からんが、とにかく入れよ。」

「え?あああ、そうですよね。入ります入りますハイ!」

(終わった……!全部見られた!デステール様の中での私の印象、最悪だこれ……!!真面目でいい子路線で行きたかったのに!絶対変だと思われちゃったよぉー!!)

(この新入り、全部顔に出るから面白いんだよな。)


 二人はそれぞれ席に着く。残りの二人はまだ到着していない。


「君の叙任式以来だよね。僕はデステール・グリード。改めてよろしくね。」

「あっ、デステール様、わ、私はラムディアです!ラムディア・ストームヴェルンです!」

「緊張してる?お茶でも飲むかい?」

「あっいや、大丈夫です。頑張ります!」

「話は聞いてるよ。なんてったって歴代最年少の四天王、有名人だもんね。」

「あっはい、いや、それほどでも……」

「てことはさ、妖羽化ヴァンデルンも最年少記録かい?」

「そ、そうです。80歳くらいの時に……」

「へぇー!すごいじゃん!」


 魔族の魔力は激しい修行を長い年月行うことで質と量が大幅に向上し、飽和する性質を持つ。しかしこれを放置すると最終的に肉体が耐えきれなくなってしまう。その前に飽和した魔力で繭を作り、その中で魔力に耐える肉体に作り変える工程を行う。これを妖羽化ヴァンデルンと呼ぶ。当然ながら妖羽化ヴァンデルンの条件として圧倒的な魔力量と緻密な魔力操作が要求され、四天王はこの妖羽化ヴァンデルンが可能であることが最低条件である。妖羽化ヴァンデルン前後の魔族の肉体強度及び魔力量、魔力濃度は比べるべくもなく、四天王をはじめ上位魔族のバトルフォームと呼べる姿でもある。


「お褒めに預かり、光栄です……。」

「どんな修行したの?」

「いえ、私はただ、剣の修行と……少しばかり体質の問題で、人より強くならなければいけなかったんで。」

(いいね、やはりこの娘、面白いよ。)

「……君もうかうかしてられないね、セリバ」


 突如、誰もいなかったデステールの傍らから、1人の魔族が現れる。


「無論です、ダンナ……。久しぶり、()()()()()()()()。」

「君は……。そうか、私が村を出て以来だな。」

「セリバ、知り合いなの?」

「同郷です。まあ、腐れ縁ってやつですよ。」

(セリバ、この私が一切気取られなかった……。相当レベルアップしているな!)

(昔から鼻につく女だとは思ったが、妖羽化ヴァンデルンまで持ってるとはな……。仕掛けてみっか。)

「ダンナ、久々の再会に心踊っちまった。よろしいですかい?」


 デステールは黙って紅茶を飲んでいる。


「感謝しますぜ!」


 セリバは爆発するように飛び出し、ラムディアに襲いかかった。

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